児童養護施設の子どもは、高校卒業と同時に“ひとり”。その未来を変える、大学生との出会い。

寄付受付開始日:2025/08/04

  • 領収書あり
[児童養護施設の子どもは、高校卒業と同時に“ひとり”。その未来を変える、大学生との出会い。]の画像
トロント短期留学の様子(2024年8月 カナダ)

認定特定非営利活動法人ピースウィンズ・ジャパン

プロジェクト概要

更新日:2025/10/15

日本には、今も約3万人の子どもたちが児童養護施設で暮らしています。

トロント短期留学の様子(2024年8月 カナダ)

虐待や貧困、親の病気や死別――

生まれる環境を、子どもは自分で選べません。
それでも必死に前を向き、未来を信じようとしています。
しかし、多くの子どもたちは18歳になると施設を出なければなりません。
まだ心も生活も不安定なまま、ひとりで社会に飛び込んでいくのです。

18歳で突然一人に ‐施設を出た後の現実‐

高校卒業後、全国の若者の半数以上が進学する一方で、
施設出身の子どもたちの進学率は5人に1人以下。

お金がない、頼れる人がいない――
夢への一歩は、あまりにも遠く、重いものです。

ようやく進学しても、支えのない孤独な暮らしの中で
中退を選ばざるを得ない子も少なくありません。

働き始めても、生活の不安と孤独に押しつぶされ、離職率も高いのが現実です。

児童養護施設退所後の離職率(2017年)

「頑張れば報われる」――そんな言葉が届かない場所で、
それでも彼らは懸命に生きています。

未来をつくる“オーダーメイド支援”

こうした課題を解決するために、私たちは児童養護施設で暮らす子どもたち一人ひとりに寄り添い、個別にカスタマイズされた支援を行います。

支援を行うのは、子どもたちに年齢も近い大学生たち。
彼らがサポーターとなり、1年間じっくり寄り添いながら信頼関係を築いていきます。

内容は「学習支援」にとどまりません。
一緒に好きなことに取り組み得意を伸ばす「自立支援」、金銭管理や生活設計を学ぶ支援、さらに就職や進学の相談に乗る「生活支援」まで含まれます。

マニュアルではなく、子ども一人ひとりの想いや状況に合わせた、“オーダーメイドの支援”を届けます。

さらに、将来の夢や興味に応じて、社会人がインストラクターとして関わる機会も。
さまざまな大人と出会うことで社会との接点が広がり、将来の選択肢を描く力へとつながっていきます。

子どもたちが「私にもできるかもしれない」と未来を思い描けるように――
このプロジェクトは、その一歩をともにつくる取り組みです。

トロント短期留学の様子(2024年8月 カナダ)

支える側へ。循環する支援のかたち

このプログラムの大きな特徴のひとつは、
支援を受けた子どもたちが大学生になったとき、
かつて自分を支えてくれた大学生のように、今度は支える側へ回ることができる点です。

さらに社会人になると、インストラクターとして次の世代を教え、
コミュニティー全体を支える存在へと成長していきます。

こうして支援の輪は世代を超えてつながり、
半永久的に続いていく――
それが、このプログラムが目指す「循環型の支援の仕組み」です。

国内外でのリーダーシップ研修

児童養護施設で育つ子どもたちが、自らの可能性を広げ、リーダーとしての自信と行動力を育めるよう、国内外で実践型の研修プログラムを展開しています。

海外・国内の多様な場所でのフィールドワークや異文化体験に加え、リーダーシップやコミュニケーション、自己表現などを磨くワークショップを数多く実施。
実体験と対話を通して、広い視野と未来を切り開くスキルを身につけます。帰国・帰省後も、仲間やロールモデルと定期的に交流できるコミュニティーやオンラインサポートを用意。挑戦と成長を継続的に後押しします。

あきらめなければ、きっと夢はかなう。未来はえらべる。運命は変えられる。
私たちは信じています。この活動を通じて生まれた希望の灯が、いつの日か世界を明るく照らしてくれることを。

■領収書の発行について
ピースウィンズ・ジャパンは広島県の認定を受けた「認定NPO法人」です。そのため、当団体へのご寄付は税制上の優遇措置(寄付控除)の対象です。

1回3,000円以上のクレジットカードによるご寄付で、領収書の発行を希望して寄付された方に、領収書を発行いたします。

※お手続きの際に「領収書を希望する」のチェックボックスにチェックを入れてください。お手続きが完了した後での発行希望(再発行含む)への対応はできませんのでご注意ください。
※当団体からの領収書発行時期:寄付手続き日から約2カ月~3カ月程で発行いたします。
※領収書の日付は、お客様が寄付手続きを行った日、またはプロジェクトオーナーに入金された日(原則として寄付手続き日の翌月末日頃)のいずれかになります。具体的な日付については、プロジェクトオーナーにご確認ください。

詳しくはヘルプページをご参照ください。

領収書に関するお問い合わせは、下記までご連絡ください。

<お問い合わせ先>
認定特定非営利活動法人ピースウィンズ・ジャパン
メールアドレス:support@peace-winds.org

寄付金の使いみち

皆様からいただいたご寄付は、児童養護施設で暮らす子どもたちを支援するために、大切に活用させていただきます。

国内外での越境体験(現地での宿泊費や渡航費、学習体験プログラム費等)や、伴走支援(研修費・交通費・教材費・コーディネート費用等)、社会的養護下にある子どもたちの現状を伝える広報活動(広報映像制作・パンフレット印刷・イベント開催費・ウェブ発信)などにたいせつに活用させていただきます。

※ピースウィンズ・ジャパンの寄付金の取扱規程は下記をご参照ください。
特定非営利活動法人ピースウィンズ・ジャパン寄付金等取扱規程(PDF)

"#StopChildAbuse"
#グッドギビングマーク認証団体
"#Donationdeduction"

活動報告

更新日:2025/11/28

【SIAカナダ研修レポート】問いを立て続けた旅。支え合える仲間とこれからもずっと(2025年11月28日更新)

カナダ滞在6日目は、フードバンクNorth York Harvest Food Bank(NPO)でのボランティアから始まりました。

午前は、地域のフードセキュリティと支援の仕組みについて学ぶセッション。カナダでも物価高や住居費の上昇で食品支援の需要が高まっているという説明に、子どもたちは真剣な表情で耳を傾けていました。
続いて、食品が詰まった大きな段ボールからの仕分け作業へ。ラベルはすべて英語でしたが、英語が得意でない子も周囲の大人に英語で質問しながら自分の役割に没頭します。

「缶詰はこっち?」「賞味期限切れてる!」と確認し合ううちに、自然とチームワークが生まれ、現場の熱が一段上がりました。
最終的に用意できたフードは合計2トン。スタッフの方からは「あなたたちがいたから実現した!」と感謝の言葉がありました。ここから地域の必要な方々へ届けられます。

SIAの参加学生がボランティア体験をしている様子(2025年8月 カナダ・トロント)

7日目は、ナイアガラの滝へ。
クルーズで滝つぼの近くに向かうと、全身が水しぶきに包まれ、びしょぬれになりながらも笑いが止まりません。写真では撮りきれない迫力を体いっぱいに浴びて、自然の大きさにただ見入る時間が流れました。

その後、Niagara on the Lakeを散策。歴史的な建物や穏やかな景色をバックに、馬のひづめの音だけが響くゆったりとした心地いい時間が流れていました。お土産を選んだり、アイスクリームを頬張ったりと、それぞれのペースで観光を楽しみました。

ナイアガラ(2025年8月 カナダ)

8日目は、Black Creek Pioneer Villageに行きました。Pioneer Villageは、19世紀のオンタリオ州の農村生活を体験できる歴史的テーマパークです。
古い校舎や当時の暮らしを再現した建物を巡るうち、時間が巻き戻ったような静けさの中で、歴史好きの子の目が輝きます。職人の道具や黒板の文字、硬い木の床のきしむ音までが、想像力を刺激してくれました。

最終日の前日は自由行動。子どもたちが自分たちで行き先を考えました。美術館組と水族館組に分かれたり、ショッピングを楽しみました。

SIA参加学生がショッピングをしている様子(2025年8月 カナダ・トロント)

■涙と言葉が紡ぐ絆─ツアーの振り返りと、未来へ向かう決意
旅の終わりを迎えた夕方、子どもたちと大人たちは、この10日間の旅全体を振り返る時間を持ちました。カメラマン兼事務局リーダーが、この旅で撮りためた映像を一本にまとめ、子どもたちのために特別な動画を制作。映像には公聴会の瞬間、さよなら食事会、日常の中の小さな笑顔など、旅の中で紡がれたすべての奇跡のような瞬間が詰まっていました。

動画の視聴が終わると、会場は静寂の中に大粒の涙があふれる場へと変わり、子どもたちも大人たちも、そのまま振り返りの言葉を一人ひとりが述べました。

そこで交わされた言葉は、人々の胸に深く刻まれるものでした。ある子どもはこう語りました。
──「昔から、“児童養護施設で暮らしてなければこんな自分になっていなかった”と思っていました。でも今は、施設にいるからここに来ることができた。この機会を持てたから、自分のことを誇りに思えるようになったし、自分の考えも受け入れられるようになった。」──

──「このツアーが終わるのがすごく寂しくて、悲しい。でも、すごく成長を感じた10日間でした。この経験を次世代へつなげていけるように、足を止めずに頑張りたい。」──

涙と振り返りの言葉が交差するこの場は、単なる旅の終わりではありませんでした。
それは、それぞれが一歩成長し、新しい未来へ向かう準備を始める瞬間。過去を受け入れ、現在の自分をたたえつつ、未来に向けた心の絆を感じる場となりました。

SIA参加学生(2025年8月 カナダ・トロント)

■「またね」──新たな物語への入り口
最終日。名残惜しさを胸に抱えながら、子どもたちは日本に向かう準備を始めます。スーツケースは旅の間に増えた荷物で少し重たくなったけれど、それを引く彼らの表情にはどこか軽やかさが宿っていました。

長いフライトを終え、空港では別れのときが訪れます。
羽田空港での別れは「またね」という声が自然と重なり合い、想像していたよりも明るく、前向きな空気をまとっていました。子どもたちの口から出る「またね」という言葉は心からのものであり、それは彼ら自身がつながりを信じ、未来を約束している証のように感じられました。

この一言には、ただ単なるあいさつ以上の意味が込められていました。少し前までは地域も生まれ育った環境も異なり、交わることのない存在同士だった子どもたち。その距離を埋め、ともに笑い、涙を流したこの旅の時間が、心からつながることの可能性を教えてくれたのです。気づけば「次に会う約束」が当然のように交わされており、その約束が確実なものとして心に根付いていることが感じられました。

この旅は子どもたちそれぞれの未来を明るく照らす転機となり、「またね」という言葉は「まだまだ続く物語」の始まりを示しているのでしょう。

SIA参加学生の帰国時(2025年8月 カナダ・トロント)

ーーーーー
この旅は終わりではなく、新しい物語の序章です。
このかけがえのない経験を一人でも多くの子どもたちに届けるため、ぜひあなたの力を貸してください。未来への架け橋となるその一歩が、次世代に希望をつなげる大きな可能性となります。寄付という形で、彼らの「またね」を応援してみませんか?

【SIAカナダ研修レポート】心の仮面を外して――公聴会に挑んだ子どもたちの声(2025年11月12日更新)

公聴会へつなぐ一歩――自分自身と向き合う心のワーク「心の仮面を外す」勇気と絆の育む場
公聴会を翌日に控えたカナダ研修4日目は、アドボカシー実践のためのワークショップが行われました。この特別な一日では、大人と子どもがそれぞれの立場で、自分自身と深く向き合う時間を持ちました。

子どもたちはファシリテーターの導きのもと、絵具を使ったペイントを通じて自身の内面を表現。体験型ワークは二つのステップに分けられ、まずはキャンバスに「自分の軸となるもの」を描きました。その後、「仮面」をペイントしながら、自分の外側(人から見られる自分)と内側(自分から見た自分)について考える時間がありました。

SIAに参加する学生が仮面にペイント(2025年8月 カナダ・トロント)

この活動では、「自分に正直であること」と「向き合う勇気」が求められました。

特に、これまでふたをしていた気持ちや葛藤と再び向き合うことは、簡単な瞬間ではありません。しかし、参加した子どもたちはこの場が安心して自己をさらけ出せる空間であると感じることができました。
そして、「自己を表現しても受け止めてもらえるんだ」という温かな感覚が、彼らの内面の壁を溶かし、新たな挑戦への一歩を生み出しました。

このワークショップのファシリテーターからは、「自分自身を隠して仮面をつけて生きる必要はありません。自分に誠実に、正直に生きていきましょう」という力強いメッセージが送られました。「支えが必要だと感じたら、いつでも呼んでください。抱きしめてほしいときも私たちはそばにいます」と、子どもたちの心に寄り添う温かな言葉で結ばれました。

SIAに参加する学生と現地の学生(2025年8月 カナダ・トロント)

私たち大人も、子どもたちと同様に別室でワークショップを実施しました。
この時間は、私たち自身、そして他者を改めて深く知り、信頼を育むために重要な準備の場となりました。

大人一人ひとりが「なぜここにいるのか」「本当に達成したいことは何か」というテーマについて率直に語り合い、自分たちが果たすべき役割を確認しました。その場には緊張感よりも温かな対話が広がりました。
また、大人たち自身も体験型のワークを通じて、互いの気持ちと立場を理解する姿勢が生まれ、チームとしての結束と信頼関係が強まる瞬間が見られました。

大人たちは決して「支援する存在」で終わらない。ともに歩み、寄り添う存在として、声を届ける準備を整えたのです。

----------------
オンタリオ州の州議事堂で行われた公聴会当日。この特別な日は、子どもたちにとっても、彼らを見守る大人たちにとっても、忘れられない一日となりました。
この場には、カナダ・トロントへ来てから、子どもたちを見守り、支え続けてくれた約40名の大人たちが集い、子どもたちがその声を届ける瞬間を見守りました。

壇上に立った7人の子どもたちは、一人ひとりが自分の生い立ちや感じてきたこと、そしてその奥にある熱い想いを語りました。初めて脚光を浴びる緊張感が彼らの表情に垣間見えましたが、話し始めると、徐々にその場の雰囲気が変わり、会場全体に落ち着きが広がっていきました。子どもたちの言葉をまっすぐ受け止め、真摯(しんし)に耳を傾ける大人たちの視線が、その安心感を育んだのでしょう。

公聴会で大人がコメントをしている様子(2025年8月 カナダ・トロント)

子どもたちの言葉は、ときに自分自身をさらけ出す勇気を必要としながら、誰もが振り返る「自分の核にあるもの」を共有するものでした。そこには、夢を描く願望ではなく、「本当の自分を知ってほしい」という切実な思いが込められていました。
そして、彼らが語る内容はただの事実や情報ではなく、ここに集う大人たちへの信頼、そして未来への希望があふれていたのです。

支える側の大人にとっても、この公聴会は重要な意味を持つ一日でした。
過去に子どもたちと関わりながら築いてきた関係性が、今この瞬間の子どもたちの勇気を支えていることを実感できた場でもありました。彼らの存在が、子どもたちがその心に秘めていた「伝える力」を発揮する助けとなったことは間違いありません。

公聴会は、子どもたちと大人たち双方が互いの存在を改めて感じ取り、未来への最初の一歩を踏み出す象徴的な場となりました。

公聴会後SIAに参加する学生と現地の学生(2025年8月 カナダ・トロント)

子どもたちの語りには、自分の過去や背景に向き合うことで紡ぎ出された言葉がちりばめられていました。単なる一方的な訴えではなく、これまでの経験からの真実の声。子どもたちは、自分たちが直面している現実、そしてその中に根付いた“葛藤”や“望み”を率直に示しました。

児童養護施設や自立支援ホームでの暮らしで感じる対応の差や、声が思うように受け止められないことのしんどさ。これらの具体的な体験が語られるたびに、会場内には真摯(しんし)な静寂が広がりました。どの言葉も、自分が生きてきた環境を振り返り、それを他者と共有しようとする勇気が感じられるものでした。

学校や地域、自分の暮らす“家”という「守られるべき場」で、守られなかった悔しさ、切なさ。大人の伝え方ひとつで当事者が悪者にされてしまう理不尽さや、多数派が正しくて少数派の意見は間違っているような文化があるのか。子どもたちは、その苦しさと不公平さを、まるで心の奥底まで会場に届けるように語りました。その一言一言は、決して抽象的なものではなく、リアルさを伴っていました。

――「なぜ大人の都合で妹弟と離れて暮らさなければならないのか。なぜ大人の都合で学校という信頼できる場所を奪われたのか。」――
過去に両親から離れることを余儀なくされ、妹や弟とともに保護された経験を持っていることを語ってくれる子がいました。その言葉に込められた疑問は、単なる個人的な経験を超え、社会全体が問われるべき課題という重みを持っています。

「家族」というつながり、「学校」という安心の場。それらを奪われることで子どもはどれほどの不安や孤独を抱えることになるのか――そのつらさを自身の体験を通じて語っていました。

「信頼できる大人が一人でもいれば状況は変わると思う。そういった環境をつくってほしい」

この言葉は、社会がどれほど子どもたちの視点に寄り添えているのかを問いただすメッセージとも言えるでしょう。

子どもたちが紡いだこれらの言葉は、立場を超えて考えるべき課題であり、私たちが未来への政策や行動を見直すきっかけとなるものでした。そしてそれ以上に重要なのは、これまで声を届けることが難しかった彼らが、この場でその心の奥底を語る「場」が提供されたということ。公聴会は、彼ら自身の存在とその価値を改めて浮き彫りにした瞬間でもあったのです。

SIAに参加する学生とコーディネーター(2025年8月 カナダ・トロント)

一方で、信頼できる大人と出会えたことで前を向けたという実感や、「普通」は一人ひとり違うという気づきも共有されました。多数派が正しいとされがちな空気の中でも、違いを恐れず意見を表せる社会であってほしいという願い、なぜ子どもが傷つく前に守れないのか、助けの求め方や選択肢をもっと学べるようにしてほしいという問いが、芯の通った言葉として響きました。

子どもたちの発表を聞いた後は、大人たちは一人ひとりの声を受け止め、対話をしました。

「勇気を出してここにきてくれてありがとう。」

子どもたちの勇気ある声への感謝と敬意、胸の内の揺れが率直に語られました。
「一人ひとりの“普通”や意見を尊重し、関係性を深める時間をつくりたい」「対話を続け、旅の後もつながっていたい」「“普通”という言葉に頼らず、つらいときは無理に笑わなくて良い」といったメッセージが続きました。

会の後半には州議事堂を見学し、歴史ある空間に触れました。高い天井や磨かれた木の質感に息をのみ、昼食の場では緊張がほどけ、見学の小さな発見を交わす時間となりました。

----------------
公聴会が終わったその日の夕食には、「さよなら食事会」と題して、子どもたちを5日間支え、見守ってくださったカナダの方々との最後の集いです。
笑顔が広がる温かな場となり、これまでの時間を互いに振り返りつつ、新しい交流を築く場ともなりました。

子どもたちにとって、英語でのコミュニケーションという挑戦も、この特別な夜には欠かすことのできない要素でした。
トロントへ飛び込んだ日、言葉の壁の前で戸惑い、緊張から口を開くことを躊躇(ちゅうちょ)していた子もいました。しかし、この最後の食事会では心の距離が確実に縮まり、“伝えたい”想いを持った子どもたち自ら英語でのコミュニケーションに挑戦する姿がとても印象的でした。

子どもたちが英語で話すことに挑む姿は、この5日間で築かれた支えと信頼の証そのものでした。
こうした対話を通じて、国境を越えた絆や共感が育まれる瞬間が生まれていました。
この夜の出会いと挑戦は、子どもたちにとって「特別な記憶」となり、勇気を与えるものとなると考えます。

言葉はこの場だけでは終わりません。
ここで受け取った子どもたちの主張に、ピースワラベはこれからも向き合い、私たちにできることは何か、やるべきことは何かを、考え続けてまいります。

【SIAカナダ研修レポート】「好き」や「得意」が一つの言語になる(2025年11月12日更新)

SIAの参加者は、児童養護施設で暮らす子どもや離島で暮らす子どもたちです。
彼らの多くは、普段慣れ親しんだ生活の場から離れる経験がほとんどなく、海外へ行くことはもちろん、飛行機に乗るのも初めてでした。

チェックインや保安検査場の列では緊張が張りつめていました。搭乗口が近づくほど、子どもたちの目の奥は不安そうな子、きらきらしている子、さまざま。私たちは出発直前の空港で短いオリエンテーションを行い、今、何を感じているのかを一人ひとり言葉にしました。

SIAプロジェクトリーダーからの一言は「違いを学びに行く旅」。その言葉を胸に、子どもたちはカナダ・トロントへ向けて旅を始めました。

SIAに参加する学生(2025年8月 カナダ・トロント)

----------------
到着した翌日は、Child Youth and Advocacy Center BOOSTを訪問。
BOOSTはトロントで、虐待の報告があった場合、医療、警察、児童相談所を含む児童保護機関など多職種と連携し、調査やケアをできる限り子どもに負担をかけない形で進めています。
子どもが安心して話せるよう、室内は子どもたちの好きな色で彩られ、やわらかな雰囲気に包まれていました。

日本の児童保護機関との違いを肌で感じた子どもたち。その心の中には、すでに問いが芽生えはじめていました。

BOOSTの職員の方々と会議室でお話をしていると、ふと足元に一匹のセラピー犬が。途中で私たちの方へ歩み寄り、優しくあいさつをしてくれました。

緊張や難しいテーマに向き合って固くなっていた子どもたちの表情は一気に和らぎ、自然と笑顔がこぼれます。
おなかを見せてくつろぐセラピー犬を囲む子どもたちの姿に、その場は穏やかで温かい空気に包まれました。

Child Youth and Advocacy Center BOOSTのセラピー犬(2025年8月 カナダ・トロント)

午後には Children’s Aid Society of Toronto を訪問し、その中のPape Adolescent Resource Centre(PARC)らとの交流を行いました。
ここでは、児童養護施設や里親家庭で育ったカナダの若者(ユース)たちと交流する機会を得ました。

子どもたちは、通訳を介したり、拙いながらも自分の英語で一生懸命に話しかけたりしながら、ユースたちとの対話を楽しんでいました。言葉の壁を越えてつながろうとする姿勢が、お互いの笑顔を引き出していました。

好きな音楽や学校での出来事など、たわいない会話から自然に自分の境遇についての話へと展開していきました。

日本の児童養護施設で暮らす子どもたちは、成育歴を他人に “ましてや初対面の相手に” 話すことはほとんどありません。年齢を重ねるにつれて、自分の過去にふたをし、虐待の経験や施設で暮らしている事実を周囲に知られないように生活している子が多いのです。

それは自分を守るためであると同時に、「話したところで結局は“かわいそうな子”と思われるだけ」という半ば“諦めの気持ち”が背景にあります。

しかし、この場では違いました。
互いの話を真剣なまなざしで聞き、深くうなずき合う。
ひとりが語り終えると、自然に次の人が口を開く。
そんな対話の輪が広がっていきました。

SIAに参加する学生と対話する現地コーディネーター(2025年8月 カナダ・トロント)

1日たくさんの学びと想いを抱えた子どもたちは早めに寮に戻り、その夜には、翌日の “Japan Night” で日本の文化を披露するため、海士町伝統民謡「キンニャモニャ」の踊りの練習を行いました。音楽に合わせてダンスを覚える子どもたちの姿には、照れながらも確かな団結が表れていました。

----------------
3日目は、暮らしの場から学びを深めました。滞在している大学寮を案内していただき、大学の図書館に目を輝かせる子どもたちの表情が印象的でした。

SIAに参加する学生(2025年8月 カナダ・トロント)

その後、Native Child & Family Services of Torontoを訪問し、先住民の子どもや家庭を対象とした福祉サービス、先住民の歴史と現在の取り組みについて、静かに、しかし真剣に学ばせていただきました。

午後に社会養護下にある若者(ユース)と家族を中心に支援をしている団体 STEP STONEへ移動すると、子どもたちとユースは、通訳なしに自分たちだけで、スポーツを介してコミュニケーションを図りました。

サッカーやバレーボール、バスケットボールでの交流は、英語に自信がなくても彼らも視線やパス、ハイタッチで分かり合えることを学びました。
得点が入るたびに「ナイス!」が飛び交い、名前を呼び合う声が自然に増えていきました。手先が器用な子は、日本から持参した折り紙を取り出し、鶴や手裏剣をユースへ教えたり、日本のアニメが好きなユースへ紙にアニメキャラクターを描いて手渡したりしました。

英語が苦手だと言っていた子も「自分にできることはないかと考えたとき絵を描くことにした。喜んでもらえて嬉しかった」と語ります。
子どもたちは、自分の「好き」や「得意」が一つの言語になると気づいた一日になりました。

SIAに参加する学生と現地NPOスタッフの交流(2025年8月 カナダ・トロント)

----------------
この3日間で、いくつもの体験が積み重なりました。寮の受付で“Excuse me”と声をかけ、返ってきた笑顔にほっとする瞬間。有志で「朝ご飯隊」が結成され、翌朝の段取りを話し合い、みんなが過ごしやすくなるように、気づいた人が一歩先に動く姿が自然とみられ始めました。小さな積み重ねは、4日目のアドボカシーワークショップへと自然につながっていきます。

次回の記事では、4日目のワークショップから公聴会へと進み、どのように声が社会へ開かれていったのかお伝えいたします。

【SIAカナダ研修レポート】不安と期待を抱えて、一歩を踏み出した10日間(2025年10月15日更新)

児童養護施設や離島に暮らす子どもたち、カナダのトロント10日間滞在。
子どもの権利とアドボカシーを学び、出会いと実践を重ね、自分の言葉で語り始めた旅。その瞬間と手応えをお届けします。

SIAに参加する学生(2025年8月 カナダ・トロント)

■SIAとは—なぜ「越境」か
私たちピースワラベが実施しているSIAプロジェクトは、社会的養護下や離島に住むの子どもたちが海外での短期留学を通じて、視野を広げ、自分の可能性や将来への夢に気付く機会を提供するプロジェクトです。
越境する・普段生活している環境から離れる、という体験は、新しい視点で物事を考え、アドボカシーの土台をつくり、多文化に触れる実践の場になります。

今回のカナダ研修の目的は「違い」を学びながら「子どもアドボカシー」を知る旅。
問いを立て続けながら、子どもたちは10日間を過ごしました。

「子どもアドボカシー」とは……子どもの権利条約の重要な原則の一つ「自分の意見や考えを表明できる権利」をサポートするために、こどもの声を聴いたりすること。「こどもが成長していく中で自分らしい生き方を取り戻し、人生を全うできる」ための支援をすることがキーになります。

SIAに参加する学生とともに活動するトロントの学生(2025年8月 カナダ・トロント)

■カナダ・トロント研修10日間のハイライト
1日目:初フライト、初めての海外の子どもたち。緊張とワクワクが弾ける日となりました。

2日目~4日目は、現地の子ども支援の団体を訪問し、日本との違いを学んだり、現地の若者との交流を行いました。子どもアドボカシーを実践しているモデルとの出会いや交流、公聴会準備のワークショップを通じて、現地の人々と関係が深まり、子どもたちが自信を持ち、表情が変わっていく姿がありました。

2日目:「Children’s Aid Society of Toronto」で社会的養護下の当事者たちとランチ&ワークショップ

3日目:社会的養護下から自立する若者を支援する団体「STEP STONE」を訪問

4日目:公聴会に向けて、子どもと大人に分かれ、自分自身の生い立ちや人生を振り返る時間と子どもアドボカシーを考えるワークショップを実施。

5日目は、いよいよ公聴会。子どもたちが生い立ちや今、そして望む社会を語り、大人は「何が必要か、私たちに何ができるか」を考えを共有。

公聴会終了後の6日目~10日目は、現地のフードバンクでボランティアをしたり、世界一大きい滝「ナイアガラ」へ行ったり、カナダにしかない異文化体験をしました。

6日目:食料支援団体「North York Harvest Fod Bank」でボランティア

7日目:「ナイアガラの滝」へ。クルーズ船に乗りキラキラの笑顔を見せてくれました。

8日目:Pioneer Villageで歴史に触れ、CNタワーへ。

9日目:自由行動の一日。それぞれが自分の興味の赴くままに過ごしました。カナダ最後の夜は、旅の振り返りと題し、子どもも大人も涙ながらに今までの想いを共有。

10日目:日本へ帰国。

SIAに参加する学生(2025年8月 カナダ・トロント)

■声が生まれる瞬間
公聴会で語られた子どもたちの言葉は純粋で、そして深く私たち大人の胸に響くものでした。
「一人ひとりの‘普通’を守ってほしい」「信じられる大人に出会える環境がほしい」「田舎でも、小さな島でも対策をしてほしい」「助けの求め方を教えてほしい」一人ひとりのメッセージには、自分自身を尊び、安心できる社会を求める切なる願いが込められています。

これらの言葉は、未来を担う彼らの心の声そのものです。そして、私たち大人に対する強い信頼があってこそ紡がれたものだと感じます。「聞く」ということはゴールではなくスタートです。この場を共鳴の第一歩とし、対話を継続し、行動へつなげていくことが、子どもたちの声に真摯(しんし)に向き合うことではないか、そんな想いを深めた一日となりました。

公聴会の様子(2025年8月 カナダ・トロント)

■Japan Nightと「好き」の力
現地の子ども・大人たちとの交流会「Japan Night」では、島根県海士町の伝統舞踊「キンニャモニャ踊り」を披露。さらに、折り紙を教えたり、日本のアニメの絵を描いてプレゼントしたり、それぞれの「得意」は、言葉の壁を超えました。

■これから—旅を学びに変える
今後、日本で実施するStudy in America(SIA)事後研修も予定。これまでの学びを言語化する機会を設け、この研修を通してできた仲間が再結集します。また、オンラインでの定期的な話す場を設け、コミュニティーとして、関係は残り続けています。

SIAに参加する学生(2025年8月 カナダ・トロント)

引き続き支援を求めています

※当募金ページに記載の内容については、プロジェクトオーナーが責任を負っており、LINEヤフー株式会社が責任を負うものではありません。詳しくは免責事項をご覧ください。
※本ページの「プロジェクト概要」「活動報告」「寄付金の使いみち」に掲載のリンクは、外部サイトに移動します。

寄付総額
774,506
寄付人数
1,351
現在の継続寄付人数:2
毎月の継続的な応援が大きな支えになります。

※寄付をするには Yahoo! JAPAN IDの取得(無料)が必要です。

  • PayPay
    PayPayで1円から寄付できます。※期間限定ポイントはご利用いただけません。
  • Yahoo!ウォレット
    クレジットカードで100円から寄付できます。
  • Vポイント
    Vポイントを使って1ポイントから寄付できます。

プロジェクトオーナー

[認定特定非営利活動法人ピースウィンズ・ジャパン]の画像
認定特定非営利活動法人ピースウィンズ・ジャパン

認定NPO法人ピースウィンズ ・ジャパンは、日本に本部を置き、国内外で紛争や災害、貧困など人為的な要因による人道危機や生活の危機にさらされた人々を支援する国際NGOです。大西健丞により1996年に設立され、世界各地に支援を届け続けています。
ピースウィンズが運営する、医療を軸とした災害緊急支援プロジェクト「空飛ぶ捜索医療団"ARROWS"」は、国内外の災害被災地にいち早く駆けつけ、専門的な支援活動を行っています。
日本国内での社会課題の解決を目的とした活動にも力を入れており、地域活性化や子ども支援、犬や猫の殺処分ゼロを目指した動物の保護・譲渡活動などに取り組んでいます。

  • Facebook
  • X
  • Instagram
この団体に関連するプロジェクトはこちら

領収書発行について

このプロジェクトでは1回3,000円以上の寄付から領収書の発行が可能です。
※クレジットカードでの寄付に限ります。詳しくはヘルプページをご参照ください。

団体のプライバシーポリシー

特定非営利活動法人ピースウィンズ・ジャパンのプライバシーポリシーは、https://peace-winds.org/privacyをご覧ください。

なお、Yahoo!ネット募金に関し、LINEヤフー株式会社より提供を受けた個人情報については、次の目的の範囲においてのみ利用します。
・寄付金に関する領収書の送付(当団体がYahoo!ネット募金での寄付者に対して領収書発行を行う場合)

  • Facebookでシェアする
  • X(旧Twitter)でシェアする

注目のプロジェクト