寄付受付開始日:2025/06/13
![[日本の経験で世界130万人の命を救いたい! 肝炎プロジェクト]の画像](https://donation-pctr.c.yimg.jp/dk/donation/projects/1749544145/f85a82f0-45d4-11f0-882e-ab9799348c4a.jpeg?q=75&w=1100)
更新日:2025/09/11

かつて日本で「国民病」とも言われた感染症、「肝炎」。長年の努力によって、現在は多くの命が救われるようになりました。しかし世界では年間130万人という大勢の人がいまだに肝炎によって命を奪われていることをご存じでしょうか?
すでに治療法があり、予防法もある感染症で、今も多くの人が命を落としている。日本の経験をいかして、この現状を変えようと、私たちピースウィンズ・ジャパンは肝炎プロジェクトを発足しました。検査体制の整備や、予防や治療を促進する啓発活動の支援をしています。

肝炎は世界三大感染症と言われる「結核」や「HIV(エイズウイルス)」、「マラリア」に匹敵する犠牲者を出しているにもかかわらず、国際社会の関心が低く、支援が乏しいのが現状です。WHO(世界保健機関)によると、感染者の多くはアフリカやアジア。最大の感染ルートは出産時の母子感染で、B型肝炎の新規感染の63%がアフリカで起こっています。
日本だからこそできること
日本においても、B型肝炎はかつて国民病と呼ばれるほどまん延した病でした。状況の改善につながったカギの1つは、地道な啓発活動です。症状がすぐに現れず見えにくい病である肝炎の正しい知識を広め、検査や治療を促すことに貢献しました。地道な啓発活動がいかに対策に有効か、それを証明する成功体験を持つ日本だからこそ、今世界で肝炎に苦しむ人々にできることがあります。
西アフリカにある最貧国の1つ、ブルキナファソで生まれたクレール・オルタンス・サノンさんは、日本の肝炎克服の歴史に勇気づけられたという1人です。
■「ブルキナファソでも絶対にできる」親友の遺志を継ぐオルタンスさんの挑戦
身近なのに誰も知らない、見えない病の恐怖
オルタンスさんはブルキナファソ第二の都市、ボボ・ディウラッソで生まれました。アルジェリアの大学でスポーツ学を学びハンドボール選手として活躍、俳優として映画にも出演……と華々しい経歴を持つ彼女は、自身の経験をきっかけに、ブルキナファソでのB型肝炎の患者団体での活動に人生をささげることになります。

「あなたの血液は使えない。重い病気にかかっているから」――。マラリア流行下の1998年、苦しむ人のために少しでも役立ちたいと献血会場に向かったオルタンスさんを待っていたのは、衝撃的な宣告でした。それも、どんな病気なのか、何をすればいいのかすら聞いても教えてもらえません。約1年後に「B型肝炎」の病名が判明してからも、この病気の詳細を分かる人が誰もおらず、極度の情報不足に苦しみました。
肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、自覚症状がないまま時間をかけて病気が進行します。肝炎が進行して症状が出るときには、すでに肝硬変や肝がんなど治療の難しい段階に至っていることが多いのです。腹水や黄疸(おうだん)などの症状で亡くなる人は多くても、それを「肝炎」の結果だと認識している人はほとんどいない、というのがブルキナファソの状況でした。
「看護師だった父を含め、肝炎という病気を詳しく知る人は誰もいませんでした。体に不調は出ていませんでしたが、自分がこれからどうなってしまうのか、とても不安でした」(オルタンスさん)
人生を変えた出会いと別れ
2011年、幼稚園の先生として働いていたオルタンスさんに転機が訪れました。大学進学を機に離れ離れになっていた幼なじみのヤラさんとの再会です。ヤラさんもB型肝炎に感染し、肝炎にまつわる民間団体の先駆け的な存在として手探りで活動していました。彼女と出会ってオルタンスさんは自らを襲う病気のことを初めて知り、患者支援や肝炎対策の活動に身を投じていくことを決めます。
再会後まもなく、2人は今に続く肝炎患者団体「SOS肝炎」を立ち上げました。代表を務めるのはヤラさん。啓発活動、検査や治療の呼びかけ、理解ある医師の協力を得て検査のイベントの開催、肝炎の患者を集めての対話の会――。2022年にヤラさんが急逝するまで、2人は二人三脚で母国の肝炎を巡る状況を少しでも良くしようと奮闘しました。

「彼女との出会いは人生の選択を豊かにしてくれました。彼女がいなくなっても、SOS肝炎が私にとって大事な場所であることは変わりません」。ヤラさんから団体代表の立場を引き継いだオルタンスさんは、活動を少しでも前に進めたいと決意を新たにしています。
停滞する肝炎対策
ブルキナファソにおける肝炎を巡る課題は大きく2つあります。1つは検査や治療にかかる費用の問題、そしてもう1つは肝炎の認知度の低さや無理解です。

自身も肝炎の情報不足に苦しんだオルタンスさんは、特に2番目の課題が重要だと考えています。オルタンスさんが肝炎を宣告された時代から20年以上の時が過ぎましたが、いまだに状況は改善していないと感じているのです。
自身が肝炎について知ってからは、周囲にも肝炎の知識を伝え、ワクチン接種や検査を受けるよう働きかけているものの、検査・治療を怠ったために亡くなる方は後を絶ちません。最近も妹さんのご友人が、妊娠中の奥さんを遺して亡くなったと言います。
すぐに症状が出なくても、肝炎は恐ろしい病気であること。ワクチンの接種や検査、迅速で適切な治療が対抗策として有効なこと。さらに効果の裏付けのない伝統療法や感染経路など肝炎に関する誤った情報を是正するなど、啓発・広報活動を続けています。
しかし、実際には資金の問題でやりたいことのごくごく一部しか実現できていないのが実情です。メディアにも取り上げられるような集客力・拡散力のあるイベントをもっと開催したいと以前から考えていますが、現状は草の根的な啓発活動ですらも継続的に取り組む余裕はありません。ブルキナファソ全土の問題でありながら、都市部でしか活動できていないことにも忸怩(じくじ)たる想いがあると言います。
日本から希望を与えたい
ピースウィンズでは2023年からブルキナファソでの肝炎プロジェクトを開始。SOS肝炎を含む現地の団体と連携し、これまでに検査機器の提供や検査キャンペーンへの協力といった取り組みを進めてきました。オルタンスさんはその一環で来日した際に、強い希望を感じたと言います。
「ブルキナファソの肝炎感染は非常に深刻で、大勢の感染者を見つけ出して対処するには多大な努力と強い意思の力が必要です。しかし、肝炎から立ち直った日本の姿を見て、ブルキナファソもできる! と強く感じました。絶対に諦めないと決意しています」
ピースウィンズでは、日本の経験を生かし、アフリカで使用できる肝炎の啓発資材の作成、地域に肝炎の正しい知識を伝えるブルキナファソ版「肝炎コーディネーター」の育成などを通じて、オルタンスさん率いるSOS肝炎とともに肝炎に苦しむ人をひとりでも多く救いたいと考えています。
まず足元で取り組んでいるのは、SOS肝炎が実施する検査キャンペーンの支援です。肝炎検査を受ける機会を提供するキャンペーンは、患者を見つけて適切な治療を促すことにつながるだけでなく、会場に訪れた人に肝炎の正しい知識や対処法を伝える啓発活動においても大きな効果を発揮します。
どれだけ多くの人に来てもらえるかがカギですが、自力で用意できる検査キットの数では大規模なキャンペーンの実施は難しい状況です。十分な数の検査キットを用意し、キャンペーンを成功に導くため、この問題に関心を持ってくださった皆様からのご支援を現地につなげます。

かつて「国民病」と言われた肝炎を克服した日本だからこそ、アフリカの命を救うためにできることがある。あたたかいご支援をどうぞよろしくお願いいたします。
■領収書の発行について
ピースウィンズ・ジャパンは広島県の認定を受けた「認定NPO法人」です。そのため、当団体へのご寄付は税制上の優遇措置(寄付控除)の対象です。
1回3,000円以上のクレジットカードによるご寄付で、領収書の発行を希望して寄付された方に、領収書を発行いたします。
※お手続きの際に「領収書を希望する」のチェックボックスにチェックを入れてください。お手続きが完了した後での発行希望(再発行含む)への対応はできませんのでご注意ください。
※当団体からの領収書発行時期:寄付手続き日から約2カ月~3カ月程で発行いたします。
※領収書の日付は、お客様が寄付手続きを行った日、またはプロジェクトオーナーに入金された日(原則として寄付手続き日の翌月末日頃)のいずれかになります。具体的な日付については、プロジェクトオーナーにご確認ください。
詳しくはヘルプページをご参照ください。
領収書に関するお問い合わせは、下記までご連絡ください。
<お問い合わせ先>
認定特定非営利活動法人ピースウィンズ・ジャパン
メールアドレス:support@peace-winds.org
皆様からいただいたご寄付は、肝炎による犠牲者をなくすための活動費として、以下のような取り組みで大切に活用させていただきます。
・現地の肝炎啓発イベント、検査イベントの開催支援
・肝炎の啓発資材作成費用
・現地の肝炎コーディネーターの育成支援
・現地医療体制の整備支援
※ピースウィンズ・ジャパン寄付金など取扱規程は下記をご参照ください。
特定非営利活動法人ピースウィンズ・ジャパン寄付金等取扱規程(PDF)
#グッドギビングマーク認証団体
"#Donationdeduction"
更新日:2026/07/03
啓発資材の作成から今回の出張に至るまで、私たちのプロジェクトのアドバイザーとしてブルキナファソから力を貸してくださっているのが、同国の国立研究所に所属する感染症研究の第一人者であり、肝炎患者団体「アソー・エパティット」創設者のドラマン・カニア博士です。そのカニアさんに、ブルキナファソの現状や肝炎対策への思いを伺いました。

私がウイルス性肝炎に関心を持ち始めたのは、2010年頃のことです。もともとHIV(エイズウイルス)を中心に研究を行っていましたが、そのなかで、ウイルス性肝炎がブルキナファソやアフリカにおいてもっと大きな問題を引き起こしていることに気が付きました。
アフリカにおけるウイルス性肝炎の有病率は8%以上です。ブルキナファソではさらに高く、地域によっては10%を超えます。日頃の生活でも、身近な人々が肝臓の病気を抱え、深刻になってから病院に行き、肝炎だと告げられるのをよく目にしました。

そのような状況にもかかわらず、誰も肝炎への対処を重要視しておらず、実質的に何の対策も講じられていなかったのです。そこで私は、ウイルス性肝炎に関する研究を始めることに決めました。
ブルキナファソでは、かつてHIVの有病率が7%に達しましたが、さまざまな対策により現在は1%未満に抑えることができています。肝炎の研究を進めるなかで、肝炎についても対策を進めるには市民レベルでの行動、そしてHIV対策で役割を果たしたような団体が必要だと感じるようになりました。
それが、肝炎患者団体「アソー・エパティット」を設立した理由です。団体の代表を4年間務めた後、仲間に後を託し、現在は国とも連携して肝炎研究・対策を続けています。啓発活動、病気に関する知識の普及、市民への医療介入といったあらゆる活動を通じて、肝炎の根絶に貢献したいと考えています。
そのためには、検査、治療、ワクチン接種を進める必要があります。まず最初の課題は、国民にウイルス性肝炎とは何かを知ってもらうにはどうしたらいいかということです。感染のリスク、予防策、どうすれば感染しないか、そして感染してしまった場合、どこへ行けば必要な情報や治療を受けられるのか。適切なメッセージを、適切な啓発によって伝えることが必要です。

金銭的な負担も大きな課題です。確かに政府は、多くの意義ある対策を始めています。例えば、C型肝炎の治療は無料になりました。しかし問題は、自分がC型肝炎であることをどうやって知るかです。検査にはお金がかかり、わざわざ受けようという人は多くありません。B型肝炎については、新生児への予防接種、検査で陽性だった妊婦の治療は無償で提供されています。しかし、出産後の女性には治療費の補助がなくなるなど、課題が多いのが実情です。
問題は山積していますが、進展もあります。一部の関係者だけではなく国レベルで、肝炎の深刻さが認識され始めました。国家戦略としてウイルス性肝炎の対策室が設置され、HIVと統合した対策の計画が進んでいます。医師から地域レベルのASBC(健康普及員)に至るまでの、研修モジュールも作成されました。これによって現場の人々の対応を、場当たり的ではなく、国の基準に従ったものに変えていくことができます。
2020年以降、赤ちゃんが生まれてすぐにワクチンを接種するようになったことも大きな進歩です。それ以前は、生後8週間以上経過した子どもにワクチンを接種していたので、ワクチンを接種するまでの間に感染してしまうリスクがありました。

しかし肝炎克服の目標に結び付けていくためには、官民が協働でさらなる取り組みを進めることが必要です。国は、国民が肝炎について正しく理解できるような啓発に率先して取り組むとともに、必要な人が検査や治療を受けられる体制を整えるべきです。複雑なウイルス性肝炎の治療に適切に対処できるよう、医療従事者への教育も必要です。
HIVとの闘いでは、地域レベルの市民社会組織(CSO)や医療関係者、それに国が手を取り合って対策を進めたこと、さらにプロジェクトの最高責任者を大統領が務め、進むべき方向を明確に定めたことが成功の鍵となりました。肝炎においても、病との闘いを主導し、前進させるための陣頭指揮をとる存在が必要だと思います。
肝炎を克服してきた日本の経験と知識を生かすことは、ブルキナファソの肝炎対策にとって非常に重要です。日本はグローバルファンド(世界エイズ・結核・マラリア基金)のメンバーですので、ここにウイルス性肝炎対策を組み込む働きかけも期待しています。特にHIVと肝炎は、感染経路、検査ツール、治療薬が共通であり、同じ内容の支援をHIV患者のみに限定する理由はありません。

日本から思いを寄せてくださる皆さんが、これからも私たちの肝炎との闘いを応援してくださるなら、これほど嬉しいことはありません。
本プロジェクトの概要欄では、ある女性の半生をご紹介しています。提携団体としてピースウィンズとブルキナファソの架け橋となってくれている患者団体・SOSエパティット(SOS肝炎)の代表、クレール・オルタンス・サノンさんです。
親友の遺志を継ぎ、団体代表としてウイルス性肝炎との闘いを率いてきたオルタンスさんは、実は現在、がんで闘病中です。私たちはワガドゥグにあるご自宅にお見舞いに伺い、2年ぶりの再会を喜び合いました。

オルタンスさんは以前来日された際、日本で肝炎と闘ってきた患者の方々と交流し、国を超えて親交を深めていました。そこで今回、私たちがお見舞いに伺うことを知った日本の肝炎患者団体の皆さんが、「オルタンスさんに」とたくさんのお見舞いやお手紙を預けてくださったのです。オルタンスさんは手渡されたお見舞いの品やお手紙一つ一つに本当に感激された様子で、何度も何度もお礼の言葉をいただきました。

闘病のため、今は肝炎に関する活動はお休みしています。しかし、オルタンスさんやSOS肝炎の皆さんがこれまでブルキナファソで行ってきた活動は、少なからず人々の肝炎への関心を呼び起こし、政府が肝炎対策に本格的に乗り出す今の変化につながりました。
「病気を治して、きっとまた花開きます」と決意を話してくれたオルタンスさん。彼女がまた現場に戻るその時までに、もっと肝炎との闘いを前進させるべく、私たちピースウィンズも決意を新たにしました。
肝炎の有病率が高いにもかかわらず病気の知名度は低く、適切な治療を受けないまま病が進行する患者さんが後を絶たない。そんな苦境にあったブルキナファソは今、国を挙げて肝炎に取り組もうと一歩を踏み出し、肝炎対策の国家計画を策定しました。

啓発面では、「無症状のため検査が重要」、「肝炎は日常の接触では感染しない」といった核とすべきメッセージを保健当局が公開しています。私たちの作成した紙芝居(※前回の活動報告参照)も、ブルキナファソ当局の意をくんで、このメッセージを意識した構成となっています。
一方で、この対策計画が機能するのか、真価を問われるのはこれからです。政府が主導して公式の啓発資材を作成したり、実際に啓発、検査、治療の流れを遍く全土に展開するためにはまだまだ長い道のりが待っています。
例えば、前回の報告に登場したカポレさんのような、ASBCと呼ばれる地域の健康啓発を担う人たちが肝炎の啓発を行うようになれば、地域レベルでの地道な啓発によって着実な効果が期待できます。しかしこれまで、医療の専門家ではない彼らに肝炎を含む感染症の啓発を任せることはありませんでした。現在は、ASBCの啓蒙(けいもう)は衛生面などに関する一般的な内容が中心で、感染症は助産師など医療に携わる人が担っているといいます。

しかし、肝炎啓発を担う人材育成を目指す私たちとしては、この役割分担にこだわる方法は最善ではないと考えています。
というのも、日本の肝炎対策で大きな役割を果たしている「肝炎コーディネーター」の肝は、診察室内の医師・看護師以外にも啓発の担い手を広げる点にありました。ブルキナファソでもやはり、社会にまん延している肝炎を追い詰めるには、限られた医療従事者だけが知識を持っていても不十分なのではないか。こうした私たちの考えも伝えながら、現地にとって一番よいやり方を、官も巻き込んで模索していきます。
日本の肝炎対策で効果を発揮した啓発の形をブルキナファソへ! このプロジェクトを進めるうえで、私たちの考える肝炎啓発がブルキナファソで通用するのか、まずはそれを確かめるのが大事な一歩です。そこで日本から作って持ち込んだのが、現地の啓発活動でよく使われるという「紙芝居」。現地で出会った感染症啓発団体のADAPMI(アダプミ)さんの協力により、妊産婦さん向けの啓発現場で実際に披露していただくことができました。

紙芝居を実演してくれるのは、地域の健康普及員として活動されているカポレさん。ブルキナファソの公用語はフランス語ですが、紙芝居はより住民に身近な言葉であるモレ語(モシ族などの使う言葉)で行います。
定期的に参加者に質問を投げかけるなど、聞き手の集中力が切れないよう工夫したカポレさんのレクチャー。肝硬変などの症状の一つである腹水の男性を表現したイラストを「男性の妊娠?」と解釈した参加者の一言に笑いが起きたり、「スプーンの共有でB型肝炎はうつりますか?」などの質問もたくさん出て、大いに盛り上がりました。参加した13名の妊産婦さんたちは最後まで真剣に聞いてくれました。
「これまで使っていたものよりも妊産婦向けとしてポイントが絞れていて、使いやすい」と紙芝居へのカポレさんたちの評価も上々で、私たちの持ってきた紙芝居を今後の活動でも使ってみていただけることになりました。

私たちにとっても、とても学びの多い経験となりました。なるべく現地の実情に沿ったイラストを用意したつもりだったものの、やはり地元の人たちの目から見ると不自然で、面白みが生まれてしまう点がいくつかあったこと。ただ、そうした「突っ込みどころ」が話のとっかかりになって聞き手を引き込むきっかけになるなど、必ずしも正しさや違和感のなさを追求した内容にすることだけが正解ではないという現実も分かりました。
現地でたびたび聞いたのは、「啓発を担う人に求められるのは知識以上に、伝える力」という考え方です。どんな力を身につけてもらうことが真に役立つのか、啓発人材の育成の枠組みを考えるうえで重要なポイントに気付くことができました。
次の更新では、現在のブルキナファソの状況と、私たちがこれからどう取り組んでいくのかについてお届けします。
かねてお知らせしていた通り、2026年5月下旬、私たち肝炎チームは肝炎啓発人材育成の足がかりを得るため、灼熱(しゃくねつ)のブルキナファソを訪れました。現地事情などを鑑みて、ガンズルグ州訪問の計画を変更し首都ワガドゥグでの活動となりましたが、そこで新たな出会いがありました。

ワガドゥグを拠点とする民間団体「ADAPMI」(アダプミ、感染症患者支援協会)は、25年以上にわたって感染症の啓発活動などを実施しています。不十分な保健・医療体制で取り残される人を救いたいという志に集ったメンバーが、ブルキナファソ各地でエイズや肝炎など感染症の予防・啓発活動に携わっています。
今回の出張で、ADAPMIの皆さんと情報交換を行うとともに、これから協力して肝炎啓発に取り組んでいくことになりました。
さっそく実現した共同プロジェクトが、ピースウィンズが日本で作成し持参した「紙芝居」の実演です。ブルキナファソの妊産婦向け研修の場面で使う想定で作成したこの紙芝居ですが、実際のところ現地の人の目にどう映るのか、伝えたいメッセージは伝わるのか、やってみないと分かりません。現地の方に啓発資材として試していただき、フィードバックを得ることが次のステップに進むうえで重要でした。

日本から持ってきた紙芝居をADAPMIの皆さんにお見せしたところ、普段から感染症啓発に携わり、肝炎についても話しているというカポレさんが、さっそく数日後の活動で使ってみてくださることに!果たして日本制作の紙芝居はブルキナファソで受け入れられるのか?その結果は1週間後の活動報告にてご紹介します。
2026年4月28日~4月30日にかけて、タイ・バンコクでWorld Hepatitis Summit(世界肝炎サミット)が開催されました。ピースウィンズ肝炎プロジェクトリーダーの榛田が参加し、ブルキナファソで私たちが行ってきた活動とその成果を発表しました。

サミットではWHOによる最新の世界肝炎レポートが共有され、2024年に肝炎で亡くなった方が134万人に上ることが明らかになりました。同年の結核の犠牲者数(約123万人、WHO推計)を上回り、「世界でもっとも多くの人の命を奪った感染症」になったとみられます。WHOは「2030年までの肝炎撲滅(elimination)」を掲げていますが、このままではその達成が危ぶまれます。
研究者や患者団体の方など、世界中から肝炎と闘う人たちが集まったサミット。思うように対策が進んでいない危機感を共有しながらも、それぞれの成果や課題を報告し合う真剣な姿は、熱意にあふれていました。
プロジェクトリーダーの榛田は「私たちの事業にも取り入れられそうなアイデアや事業について伺ったり、差別や偏見をどう変えていくかをこれまで苦しんだ当事者の方たちが話し合っていたりと、同じ目標に向かって進む仲間たちの存在を実感し、とても励まされました」と話します。
サミットでの学びや出会いを今後の活動に生かし、私たちも「肝炎撲滅」を目指すメンバーの一員としてギアを上げていきます。
私たちは現在、ブルキナファソ現地でのパイロットプログラムの実施に向けて準備を進めています。2026年5月後半に予定する渡航を前に、ブルキナファソのビバタ・ネビエ・ウエドラオゴ大使にご挨拶に伺い、計画についてご説明しました。

今回のプログラムでは、現地で活動する団体や保健省と連携し、妊産婦向けの肝炎啓発を計画しています。妊産婦の方が多く参加する栄養に関する研修の場をお借りして、肝炎を説明する時間をいただく予定です。現在、説明に使うイラストや模型などを準備しています。
プログラムを実施するガンズルグ州では、妊産婦の8%がB型肝炎に感染していると言われています。肝炎が他人事ではないこと、母子感染は対策で防げることを伝え、妊産婦向けには無料で提供されている肝炎検査や母子のワクチン接種を受けてもらうことが目的の1つです。また、感染経路などについて正しい知識を持ってもらい、現地の肝炎対策の妨げになっている肝炎患者への偏見を取り除きたいという思いもあります。
ウエドラオゴ大使からは、肝炎プロジェクトについて「肝炎は大勢がかかっている病気にもかかわらず、感染に気が付かない人が多い。とても有意義なプロジェクトだと思います」と励ましのお言葉をいただきました。

今回のプログラムは規模自体は小さいものの、現地での実践を通じて日本とは違うブルキナファソの事情を把握し、効果的な啓発に必要なことを探る貴重な機会になると考えています。今回の経験を、肝炎啓発に携わる現地人材の育成に生かす計画です。
「肝炎コーディネーター」の取り組みを世界へ!そんな私たちの目標の足がかりにできるように、まずはパイロットプログラムの成功に全力を尽くします。
この度、肝炎プロジェクトが第7回「SDGsジャパンスカラシップ岩佐賞」の医療の部を受賞しました!
皆さまのお力添えによって活動を続けることができ、こうして取り組みを評価していただくことにつながりました。皆さまの温かいご支援に心から感謝いたします。
本プロジェクトは2023年にスタートし、肝炎に苦しむアフリカのブルキナファソを中心に活動してきました。これまで現地の行政や民間団体と連携し、検査機器の寄贈、肝炎啓発・検査の支援などに取り組んでいます。
今後はさらに、日本で肝炎対策に貢献してきた「肝炎コーディネーター」の制度を参考に、現地で肝炎の正しい知識や対策を広める人材の育成を計画しています。並行して、他地域でのプロジェクトの検討も進めています。
引き続き、私たちの挑戦に心を寄せていただけますと幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。
2025年も間もなく終わろうとしています。今年1年、私たちの肝炎プロジェクトを応援いただき、本当にありがとうございました。
皆さまからいただいたご寄付の多くは、すでに肝炎に苦しむブルキナファソに届いています。現地提携団体「SOS肝炎」はこのご支援によって、肝炎の検査キャンペーンに必要な検査キットを購入することができました。加えて、日本から心を寄せてくれる皆さまの存在が、肝炎との長い闘いに臨むうえで大きな励みになっています。

地道な啓発活動が対策の鍵となる肝炎。克服への近道はありませんが、肝炎による苦しみをこの世界から少しでも減らせるよう、私たちは2026年も活動を続けていきます。引き続き、温かい応援をどうぞよろしくお願いいたします。
慢性化した肝炎は病状が深刻になるまで自覚症状がないことが多く、早期の発見・治療を広げるためには、啓発活動が何よりも重要です。識字率の低い地域や、子どもも含めた幅広い年齢層の方にも肝炎のことを知ってもらうにはどんな方法がよいか—―そんな検討のなかで、ゲームを活用した啓発というアイデアが浮上しました。

心強い先行事例が、ほかならぬ日本で開発され、啓発活動で活用されている「肝炎すごろく」です。今回、国立国際医療研究センターからすごろくをご提供いただき、肝炎プロジェクトチームのメンバー2名を含む4名で、いざお試しプレイに臨みました。
肝炎すごろくで勝利するのは「早くゴールした人」ではなく、「肝臓が健康な人」。肝臓の健康度を表す「レバーコイン」の数が勝利条件となります。サイコロを振ってコマを進めながら、各マスのイベントとそれに伴うレバーコインの増減、「ウイルスリスク」など明らかにネガティブな名称のカードの入手を通じて、肝炎のリスクがどこに潜んでいるかが分かってきます。「肝炎クイズ」マスでは、より深い知識を学ぶことができます。

このゲームの最大の分岐点は、ゲーム中盤に訪れる、肝炎ウイルス検査を受けるか否かの選択肢です。ここで検査を受け、さらに治療を受けることで、道中でたまりにたまったウイルス性肝炎の感染リスクをいわばリセットすることができます。
検査・治療をスキップして早々にゴールを目指すこともできますが、手元にウイルスリスクカードを残したまま、終盤に待ち受ける「肝硬変 発症!?」「肝がん 発症!?」という恐怖マスの嵐をかいくぐらなくてはなりません。
今回のお試しプレイでは肝炎についてほとんど知らない参加者もいましたが、「絶対検査に行こうと思います」と、検査の大切さが身に染みた様子。沈黙の臓器・肝臓の病気の恐ろしさを知ってもらう手段として、ゲームが持つ可能性やメリットが実感できました。今後の肝炎啓発資材の開発に、今回の経験を生かしていきます。
※当募金ページに記載の内容については、プロジェクトオーナーが責任を負っており、LINEヤフー株式会社が責任を負うものではありません。詳しくは免責事項をご覧ください。
※本ページの「プロジェクト概要」「活動報告」「寄付金の使いみち」に掲載のリンクは、外部サイトに移動します。
※寄付をするには Yahoo! JAPAN IDの取得(無料)が必要です。
![[認定特定非営利活動法人ピースウィンズ・ジャパン]の画像](https://donation-pctr.c.yimg.jp/dk/donation/projects/1749619936/6fbce350-4685-11f0-ab07-b753076029e1.jpeg?q=75&w=680)
認定特定非営利活動法人ピースウィンズ・ジャパン
認定NPO法人ピースウィンズ ・ジャパンは、日本に本部を置き、国内外で紛争や災害、貧困など人為的な要因による人道危機や生活の危機にさらされた人々を支援する国際NGOです。大西健丞により1996年に設立され、世界各地に支援を届け続けています。
ピースウィンズが運営する、医療を軸とした災害緊急支援プロジェクト「空飛ぶ捜索医療団"ARROWS"」は、国内外の災害被災地にいち早く駆けつけ、専門的な支援活動を行っています。
日本国内での社会課題の解決を目的とした活動にも力を入れており、地域活性化や子ども支援、犬や猫の殺処分ゼロを目指した動物の保護・譲渡活動などに取り組んでいます。
公式リンク(外部サイト)
この団体に関連するプロジェクトはこちらこのプロジェクトでは1回3,000円以上の寄付から領収書の発行が可能です。
※クレジットカードでの寄付に限ります。詳しくはヘルプページをご参照ください。
特定非営利活動法人ピースウィンズ・ジャパンのプライバシーポリシーは、https://peace-winds.org/privacyをご覧ください。
なお、Yahoo!ネット募金に関し、LINEヤフー株式会社より提供を受けた個人情報については、次の目的の範囲においてのみ利用します。
・寄付金に関する領収書の送付(当団体がYahoo!ネット募金での寄付者に対して領収書発行を行う場合)