寄付受付開始日:2025/06/13
更新日:2025/06/13
かつて日本で「国民病」とも言われた感染症、「肝炎」。長年の努力によって、現在は多くの命が救われるようになりました。しかし世界では年間130万人という大勢の人がいまだに肝炎によって命を奪われていることをご存じでしょうか?
すでに治療法があり、予防法もある感染症で、今も多くの人が命を落としている。日本の経験をいかして、この現状を変えようと、私たちピースウィンズ・ジャパンは肝炎プロジェクトを発足しました。検査体制の整備や、予防や治療を促進する啓発活動の支援をしています。
肝炎は世界三大感染症と言われる「結核」や「HIV(エイズウイルス)」、「マラリア」に匹敵する犠牲者を出しているにもかかわらず、国際社会の関心が低く、支援が乏しいのが現状です。WHO(世界保健機関)によると、感染者の多くはアフリカやアジア。最大の感染ルートは出産時の母子感染で、B型肝炎の新規感染の63%がアフリカで起こっています。
日本だからこそできること
日本においても、B型肝炎はかつて国民病と呼ばれるほどまん延した病でした。状況の改善につながったカギの1つは、地道な啓発活動です。症状がすぐに現れず見えにくい病である肝炎の正しい知識を広め、検査や治療を促すことに貢献しました。地道な啓発活動がいかに対策に有効か、それを証明する成功体験を持つ日本だからこそ、今世界で肝炎に苦しむ人々にできることがあります。
西アフリカにある最貧国の1つ、ブルキナファソで生まれたクレール・オルタンス・サノンさんは、日本の肝炎克服の歴史に勇気づけられたという1人です。
■「ブルキナファソでも絶対にできる」親友の遺志を継ぐオルタンスさんの挑戦
身近なのに誰も知らない、見えない病の恐怖
オルタンスさんはブルキナファソ第二の都市、ボボ・ディウラッソで生まれました。アルジェリアの大学でスポーツ学を学びハンドボール選手として活躍、俳優として映画にも出演……と華々しい経歴を持つ彼女は、自身の経験をきっかけに、ブルキナファソでのB型肝炎の患者団体での活動に人生をささげることになります。
「あなたの血液は使えない。重い病気にかかっているから」――。マラリア流行下の1998年、苦しむ人のために少しでも役立ちたいと献血会場に向かったオルタンスさんを待っていたのは、衝撃的な宣告でした。それも、どんな病気なのか、何をすればいいのかすら聞いても教えてもらえません。約1年後に「B型肝炎」の病名が判明してからも、この病気の詳細を分かる人が誰もおらず、極度の情報不足に苦しみました。
肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、自覚症状がないまま時間をかけて病気が進行します。肝炎が進行して症状が出るときには、すでに肝硬変や肝がんなど治療の難しい段階に至っていることが多いのです。腹水や黄疸(おうだん)などの症状で亡くなる人は多くても、それを「肝炎」の結果だと認識している人はほとんどいない、というのがブルキナファソの状況でした。
「看護師だった父を含め、肝炎という病気を詳しく知る人は誰もいませんでした。体に不調は出ていませんでしたが、自分がこれからどうなってしまうのか、とても不安でした」(オルタンスさん)
人生を変えた出会いと別れ
2011年、幼稚園の先生として働いていたオルタンスさんに転機が訪れました。大学進学を機に離れ離れになっていた幼なじみのヤラさんとの再会です。ヤラさんもB型肝炎に感染し、肝炎にまつわる民間団体の先駆け的な存在として手探りで活動していました。彼女と出会ってオルタンスさんは自らを襲う病気のことを初めて知り、患者支援や肝炎対策の活動に身を投じていくことを決めます。
再会後まもなく、2人は今に続く肝炎患者団体「SOS肝炎」を立ち上げました。代表を務めるのはヤラさん。啓発活動、検査や治療の呼びかけ、理解ある医師の協力を得て検査のイベントの開催、肝炎の患者を集めての対話の会――。2022年にヤラさんが急逝するまで、2人は二人三脚で母国の肝炎を巡る状況を少しでも良くしようと奮闘しました。
「彼女との出会いは人生の選択を豊かにしてくれました。彼女がいなくなっても、SOS肝炎が私にとって大事な場所であることは変わりません」。ヤラさんから団体代表の立場を引き継いだオルタンスさんは、活動を少しでも前に進めたいと決意を新たにしています。
停滞する肝炎対策
ブルキナファソにおける肝炎を巡る課題は大きく2つあります。1つは検査や治療にかかる費用の問題、そしてもう1つは肝炎の認知度の低さや無理解です。
自身も肝炎の情報不足に苦しんだオルタンスさんは、特に2番目の課題が重要だと考えています。オルタンスさんが肝炎を宣告された時代から20年以上の時が過ぎましたが、いまだに状況は改善していないと感じているのです。
自身が肝炎について知ってからは、周囲にも肝炎の知識を伝え、ワクチン接種や検査を受けるよう働きかけているものの、検査・治療を怠ったために亡くなる方は後を絶ちません。最近も妹さんのご友人が、妊娠中の奥さんを遺して亡くなったと言います。
すぐに症状が出なくても、肝炎は恐ろしい病気であること。ワクチンの接種や検査、迅速で適切な治療が対抗策として有効なこと。さらに効果の裏付けのない伝統療法や感染経路など肝炎に関する誤った情報を是正するなど、啓発・広報活動を続けています。
しかし、実際には資金の問題でやりたいことのごくごく一部しか実現できていないのが実情です。メディアにも取り上げられるような集客力・拡散力のあるイベントをもっと開催したいと以前から考えていますが、現状は草の根的な啓発活動ですらも継続的に取り組む余裕はありません。ブルキナファソ全土の問題でありながら、都市部でしか活動できていないことにも忸怩(じくじ)たる想いがあると言います。
日本から希望を与えたい
ピースウィンズでは2023年からブルキナファソでの肝炎プロジェクトを開始。SOS肝炎を含む現地の団体と連携し、これまでに検査機器の提供や検査キャンペーンへの協力といった取り組みを進めてきました。オルタンスさんはその一環で来日した際に、強い希望を感じたと言います。
「ブルキナファソの肝炎感染は非常に深刻で、大勢の感染者を見つけ出して対処するには多大な努力と強い意思の力が必要です。しかし、肝炎から立ち直った日本の姿を見て、ブルキナファソもできる! と強く感じました。絶対に諦めないと決意しています」
ピースウィンズでは、日本の経験を生かし、アフリカで使用できる肝炎の啓発資材の作成、地域に肝炎の正しい知識を伝えるブルキナファソ版「肝炎コーディネーター」の育成などを通じて、オルタンスさん率いるSOS肝炎とともに肝炎に苦しむ人をひとりでも多く救いたいと考えています。
私たちは当面の目標としてまず、7月28日の「世界肝炎デー」に合わせた検査キャンペーンを計画しています。肝炎検査を受ける機会を提供するキャンペーンは、患者を見つけて適切な治療を促すことにつながるだけでなく、会場に訪れた人に肝炎の正しい知識や対処法を伝える啓発活動においても大きな効果を発揮します。
どれだけ多くの人に来てもらえるかがカギですが、現状用意できる検査キットの数では大規模なキャンペーンの実施は難しい状況です。この問題に関心を持ってくださった皆様からのご支援で、十分な数の検査キットを用意し、キャンペーンを成功に導きたい。私たちはそう考えています。
かつて「国民病」と言われた肝炎を克服した日本だからこそ、アフリカの命を救うためにできることがある。あたたかいご支援をどうぞよろしくお願いいたします。
■領収書の発行について
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<お問い合わせ先>
認定特定非営利活動法人ピースウィンズ・ジャパン
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・肝炎の啓発資材作成費用
・現地の肝炎コーディネーターの育成支援
・現地医療体制の整備支援
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