寄付受付開始日:2023/10/27
更新日:2024/12/26
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ピースウィンズ・ジャパンが運営する空飛ぶ捜索医療団“ARROWS”は、大規模災害の被災地で医療支援を行う災害緊急支援プロジェクトです。
「一秒でも早く、一人でも多く」被災者を助けたい。その想いを胸に、被災地にいち早く駆けつけます。
航空機やヘリコプター、医療船などを駆使して、医師や看護師、レスキュー隊員、災害救助犬などの救助チームを現地へ派遣。捜索から野外病院運営まで、医療を軸とした救助・救命活動を行います。
また、自治体・自衛隊・消防などと連携することで、物資支援や避難所運営など被災者に寄り添った活動をスピーディーに実施しています。
●大規模災害「未治療死」をなくしたい
首都直下型地震では、発災後8日間で、約6,500人が病院に搬送されても治療を受けられずに死亡する可能性があるという試算があります。<防災科学技術研究所/日本医科大学の研究グループ>
約10万5,000人の死者・行方不明者を出した関東大震災から2023年9月で100年になりました。この間、私たちは自然の猛威による「想定外」に繰り返し翻弄(ほんろう)されてきました。
阪神大震災(1995年)や東日本大震災(2011年)では多くの医療機関が機能不全に陥り、大勢の人が適切な治療を受けられずに亡くなっています。
発生が見込まれる首都直下地震で約6,200人、南海トラフ巨大地震では約8万人もの「未治療死」が出るとの試算もあります。
●「フィールドホスピタル(野営病院)」の整備・運営事業
私たちが運営を目指しているフィールドホスピタル(野営病院)では、診療所レベルの医療体制に併せ、ヘリコプターなどのロジスティクスを活用した患者搬送機能をもちます。
特に大規模な災害が発生した際、多くの医療機関では体制がひっ迫し、本来受けられるはずの治療が受けられず亡くなってしまう「未治療死」による犠牲を減らすことを目的としています。
このフィールドホスピタルを展開できることで、被災地域でひっ迫する医療機関の能力をサポートすることが可能となります。
●民間支援団体による災害医療支援船の運用を開始
大規模災害への備えとして、ヘリパッド付きの災害医療支援船の運用を開始、民間支援団体による3,500トン級の災害医療支援船の運用は、国内初となる取組みです。
今後起こると予想される南海トラフ地震や首都直下地震などの大規模地震では、陸路が寸断されるため、空と海の活用が災害対応の肝になるとされています。
●これまでの支援活動
東日本大震災以降、空飛ぶ捜索医療団の前進となる災害支援チームから、私たちはほぼ全ての激甚災害に出動し、民間組織として支援活動を実施してきました。
災害発生が予測される場合に、発生前から対象地域に入って備えることや、声が届きにくい被災者に寄り添い、行政の支援が行き届かない地域や自主避難所などにも支援を行うことは、民間ならではの強みです。
【これまで行ってきた支援活動】※一部抜粋
・2019年9月 九州北部での豪雨災害、台風被害への支援活動
・2020年1月 コロナウイルス感染拡大時の物資提供
・2022年2月 コロナウイルス罹患(りかん)者が急増したパラオでの医療支援
・2022年3月 ウクライナ危機における避難民支援
・2023年2月 トルコ・シリア地震での被災地支援
・2023年5月 石川県能登地方地震での被災地支援
・2023年9月 ハワイ・マウイ島山火事被災地支援
地震や豪雨、台風などの災害発生時には、被災地に医師や看護師・薬剤師を即時派遣。医療活動のほか、避難民の捜索や高齢者家庭への戸別訪問も実施しました。
2020年1月、新型コロナウイルスの感染が広がりパンデミック(世界的大流行)が始まって以来、2023年現在に至るまで、全国各地への医療支援および不足している医療物品の物資支援を継続してまいりました。その数は4,300カ所以上にのぼります。
ロシアからのウクライナ侵攻では隣国モルドバに仮設診療所を設置し、医師・看護師・薬剤師などによる医療支援や物資支援、避難所整備を行いました。
また、ハワイ・マウイ島での山火事発生時には、日本の団体としていち早く、現地へのスタッフ派遣を行い、支援活動を行いました。
被災者の皆様の声を聞きながら、私たちだからこそできる支援を継続しています。引き続き安全を第一に活動していきますので、皆さまのあたたかいご支援をお願いいたします。
空飛ぶ捜索医療団“ARROWS”ホームページ
空飛ぶ捜索医療団 災害時に本当に現場に届く支援を ふるさと納税で応援
災害発生時から復興まで、空飛ぶ捜索医療団の支援活動は多岐にわたります。
みなさまからのご寄付は、災害支援に必要な人や資機材の準備・維持およびそれらを活用した支援活動、現地での医療支援、地域住民の方々のための避難所設営、備蓄品では賄えない医療や衛生用品、食料などの物資購入等に使わせていただきます。
●皆様のご寄付が、次なる災害支援に役立てられます。
1. 緊急時、本当に現場に届く支援を
国内外における災害発生時に「一秒でも早く、一人でも多く」救うため、いち早く現場に駆け付け、レスキュー、医療、物資など、必要とされる支援を届けます。
2. あらゆる場面に適応した資機材や物資の調達を
必要な機材や物資を日ごろから準備・メンテナンスを実施。船舶や野営病院における実際の支援を想定した体制を強化し、被災地域の人々に貢献してまいります。
3. 医療を通じ、安心して住み続けられる地域づくりを
へき地の病院・クリニックの応援を継続。オンライン診療・オンライン面会、訪問看護などにも取り組み、地域の人々の健康を守ります。
●ご寄付の活用例
【1,000円】避難所生活にかかせない衛生キット2箱分になります
【3,000円】薬の継続が必要な方の緊急処方7日分になります
【10,000円】体ひとつで避難した人が3日間過ごせる避難セットになります
【50,000円】ヘリで患者1名を搬送した場合の平均費用7日分になります
※ピースウィンズ・ジャパンへの寄付は、寄付金控除の対象となります。
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※ピースウィンズ・ジャパン寄付金など取扱規程は下記をご参照ください。
特定非営利活動法人ピースウィンズ・ジャパン寄付金等取扱規程(PDF)
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更新日:2025/05/08
2025年4月、空飛ぶ捜索医療団"ARROWS"は、多岐にわたる支援活動を行いました。
2025年3月28日に発生したミャンマー地震では、被災地への緊急支援を開始し、一刻も早いに支援に尽力しました。
また、能登半島地震で行方不明者の捜索活動に奔走した災害救助犬・ロジャーによる勇敢な挑戦も注目を集めました。
さらに、空飛ぶ捜索医療団の支援活動を通じて出会った一人の高校生へのインタビューも必読です。
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ミャンマー地震 緊急支援
地震発生から13日。
お寺の境内にて、テントと呼ぶにはあまりにも簡素な、木に張ったビニールひもにブルーシートをかけただけの日陰で、数十人の避難者が寝泊まりしています。
プライバシーなどはなく、レジャーシートの上で過ごしている過酷な状況に、国内外のさまざまな被災地で支援活動を行ってきたピースウィンズの事業調整員も、思わず
「発災から13日もたっているのに、まだこんな場所で避難生活をしなければならないのか……」
と声を漏らしてしまいました。
さらに避難者を苦しめているのは、40度近い猛暑と横殴りのスコールです。避難テントが増えるにつれて、全員がここで避難できるのか? 増え続ける避難者の数にトイレの数は足りるのか? 密集する避難生活の中で感染症の予防はできているか? など、新たな課題も出てきています。
空飛ぶ捜索医療団が支援するのは、医療だけではありません。被災者にとって必要なものは人それぞれ異なり、長い目で心に寄り添う支援を考えていくことが大切です。
子どもたちの姿も増え、看護師たちが、「とにかく明るい気持ちになれる診療所にしたい」と、受付待ちの間に遊べる塗り絵を準備するなどの工夫を凝らしています。先行きが見えない厳しい環境のなか、ほんの少しでも笑顔になってもらうために。
災害救助犬ロジャーの挑戦記
空飛ぶ捜索医療団“ARROWS”には、医師、看護師、ロジスティシャンのほかに、レスキュー部隊として救助犬の隊員がいます。
ロジャーは、先代救助犬の後を継ぎ、2024年1月1日に能登半島を襲った「令和6年能登半島地震」に隊員として被災地に駆け付け、ハンドラーとともに行方不明者の捜索活動に奔走しました。
災害地における捜索では、一秒でも早い発見と救助が求められると同時に、漏れがないように広域を捜索していかなければなりません。
欧米に比べて日本ではまだ災害救助犬の制度や仕組みづくりが十分に確立されておらず、各団体や個人の判断で出動しているのが現状ですが、それでも大きな災害があるごとに救助犬が出動し、ひとつずつ成果を積み重ねてきた結果、その存在と能力は着実に必要とされるようになり、捜索現場での活動においても、官民の各団体が連携してスムーズに活動できるようになってきました。
能登半島地震においてもロジャーを含めた救助犬で数名の行方不明者を発見しました。
災害救助犬の仕事は、「姿が見えない不特定多数の人」を探すこと。訓練された災害救助犬は、呼気のにおいや体臭など、本当にあらゆるにおいを分析して、周りにいる人とは異なる人のにおいをかぎ分けることができます。
ハンドラーとの信頼関係も、とても重要です。救助犬の試験では救助犬の能力だけでなく、ハンドラーとの関係性も重要な評価項目になっています。ある資格にその犬が合格してもハンドラーが変わればその資格はまた一から受け直す必要があるほどです。
ロジャーは、ヨーロッパ・アジアに広く認知されている国際救助犬連盟(IRO)が認定している救助犬の資格取得を目指し、日々訓練を重ねています。災害救助犬としてのスキル向上、そして空飛ぶ捜索医療団のミッションでもある「一人でも多くの命を救う」ために。
2025年春|ふるさと奥能登からの旅立ち。
幼い頃からご近所さんたちとも仲がよく、豊かな自然と家族の愛にあふれている珠洲が大好きだと話す番匠さん。
地震が起こる直前も、自宅のすぐそばにあるおばあちゃんの家に家族みんなで集まり、お祝いをしていました。突然の大きな揺れに頭が真っ白になり、ご近所さんの家が崩れているのを見たそうです。
近くの小学校に行くと避難してきた人たちでいっぱい、番匠さん家族は寒さをしのぎながら3日間車中泊で過ごしました。
その後も不自由な暮らしが続くなかで、番匠さんは支援活動をしている人たちと接していくうちに、
「次は反対の立場となって、同じ気持ち、同じ立場にある人を手助けできれば」
と思うようになりました。
自分にできることはなんだろう? と、本やインターネットで調べていくうちに「災害支援ナース」という存在を目にした番匠さん。
震災を体験したからこそ、多くの方に寄り添える自分になりたいという心境から、自分も「災害支援ナース」になろう、と強く決意したそうです。番匠さんはこの春から、看護学校で同じ志を持った同級生や先輩たちと一緒にたくさん勉強をしたいと考えています。
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これからも空飛ぶ捜索医療団は、自然災害の被災地や支援を必要とする方々に寄り添い、さまざまな活動を展開していきます。
韓国 山火事 緊急支援
2025年3月21日に韓国・南東部の慶尚南道山清(キョンサンナムド・ サンチョン)にて発災した山火事の被害を受け、空飛ぶ捜索医療団“ARROWS”の運営団体であるピースウィンズは、緊急支援チームを現地に派遣。避難所に行けない住民の方々や、懸命に消火活動を続けている消防隊員に向け、下着や靴下などの衣類のほか、飲食料を配布する支援を開始しています。
また、日本国内にいる空飛ぶ捜索医療団“ARROWS”の緊急支援チームが2025年3月28日に出動し、緊急支援を開始しています。
懸命な消火活動と久しぶりに降った雨の影響もあってようやく火の勢いは収まり、政府は発災から1週間がたった2025年3月29日に山火事は鎮圧状態に落ち着いたと発表しましたが、一部山林で再燃が確認されて緊急で消防ヘリが出動するなど予断を許さない状況が続いています。
空飛ぶ捜索医療団看護師・戸田は、避難所で必要な生活のリズムや、ストレスとの向き合い方、症状が悪化した際の病院にいくべき目安など、過去の経験と知識から丁寧にアドバイスをすると、「ありがとう」といって手を握り、涙を流す被災者の方々が多くいました。
焼失してしまった家の再建、インフラの復旧、そして失われた周辺の山林の再生には途方もない時間とお金がかかり、被災者一人ひとり心に寄り添いながら息の長い支援が必要です。
ミャンマー地震 緊急支援
また、2025年3月28日午後3時20分ころ(現地時間)、ミャンマー中部のマンダレー付近を震源とするマグニチュード7.7の大規模な地震が発生。現地の報道によると、マンダレー周辺をはじめミャンマー各地でも被害が報告され、1,700人を超える死者が出ている模様です。
政府は、被害の大きい6つのエリアに非常事態を宣言。現地の道路や通信が遮断されるなど被害は甚大で現在も捜索救助活動は続けられ、今後被害はさらに拡大するおそれがあります。
これを受け、ピースウィンズが運営する災害緊急支援プロジェクト「空飛ぶ捜索医療団“ARROWS”」は、地震発生直後から情報収集を開始、緊急支援を決定。3月31日には日本から医師・看護師・調整員を含めた緊急支援チームが隣国タイに向けて出発しました。
ミャンマーは、2021年2月以降、情勢不安が著しく悪化しており、国内で多くの人々が避難を強いられています。UNHCRによると、国内で推定300万人以上が国内避難民となり、なかでも今回の被災地の中西部にはおよそ160万人以上の国内避難民が生活していました。
そうした状況下で起きた今回の大規模震災は、マンダレーの住民を含め、特に脆弱(ぜいじゃく)な立場にある人々の生活をさらに圧迫し、人道危機はより深刻な状況になることが予想されています。
空飛ぶ捜索医療団“ARROWS”は発災直後から調査を開始し、並行して医師、看護師、調整員を含めた緊急支援チームを編成。
ミャンマーは現在、情勢不安の影響で現地入りするにはさまざまな調整が必要なため、日本やミャンマーの関係各所と連絡を取りながら、医療支援や物資支援などを視野に、あらゆる可能性を模索しています。
ピースウィンズは、韓国で発生した山火事、ミャンマーで起きた大規模地震による被災者を救うための支援をおこなっていきます。みなさまからのご寄付が活動の力となり、被災者の命を救い未来につながります。
災害で苦しむ人々のために、あたたかいご支援をお願いいたします。
2025年2月26日に起きた山火事での被害を受け、空飛ぶ捜索医療団“ARROWS”は2月28日から現在も看護師を含む緊急支援チームを派遣し、緊急支援活動を続けています。
2011年東日本大震災で大きな被害を受けました岩手県の三陸沿岸部において、ピースウィンズは発災後の緊急支援から生活再建・復興支援まで、長く活動を続けてきました。現地のつながりも活用しながら、必要な支援を見極め、迅速に届けていきます。
今後のご支援をどうぞよろしくお願いいたします。
【大船渡 山火事】2025年3月9日までの主な緊急支援
避難所運営サポート支援
2025年2月28日深夜に現地に到着し、3月1日の早朝より各避難所にて避難者や関係者にフェイス・トゥ・フェイスでヒアリングをおこない、本当に必要なものはなにか、ニーズ調査を開始しました。
それとともに、現地の保健医療福祉調整本部の会議に出席するなど、情報収集を続けています。
大船渡市の保健・医療・福祉・介護調整本部(2025年3月7日より「大船渡地域調整本部」と改名)には空飛ぶ捜索医療団をはじめ、日赤やJRAT、ICAT、DWAT、DCAT、歯科医師会ら災害支援に関わる関係団体が参集し、互いに連携して地域の健康を守る活動をおこなっています。
空飛ぶ捜索医療団は、市の大きな支援ではカバーしきれない細かいニーズを拾い上げ、関係各所と連携しながら主に避難所の環境改善の支援を中心に活動しています。
看護師による避難者の健康チェックを実施
懸命な消火活動が続いていた期間は避難所によっては収容人数の密集度が高く、キャパオーバーになっているという報告もありました。空飛ぶ捜索医療団は支援物資をはじめ、看護師が血圧を測るなど健康面のケアを行いました。
また、ある車いすのおじいちゃんが現状のテントの位置からトイレまでの距離が遠いため少し苦労していることを会話から聞き取れば、避難所の責任者に相談の上、避難所内での“引っ越し”をサポートしました。
避難指示を解除され、帰宅準備を進める方、もう少し避難所生活が続く方が混在する各避難所にて、継続的に保健師と帯同し健康相談を行う巡回をはじめ、避難所環境の改善や生活不活発病対策などをサポートしました。
体調不良者が見つかれば必要な関係団体につなぎ、感染症対応などの支援もおこないました。
感染症を予防するためにも段ボールベッドを設置
2025年3月3日、ある学校の体育館に開設された避難所では、避難者が床に毛布を敷いて寝ていることがわかりました。そのことを避難所の運営者に相談し、段ボールベッドの導入をすすめたところ、責任者の方がすぐに市に状況を報告して段ボールベッドを手配。
その日の夜「段ボールベッドが届いたので、空飛ぶ捜索医療団さんに設置のお手伝いをお願いしたい」と連絡を受け、翌日、設営サポートを行いました。
避難者のなかには高齢者も多く、「段ボールベッドが入ったことで本当に楽になった」との声も聞かれました。それに併せマウスウオッシュなどが入った独自の衛生セットやマスクを配布するなど、感染症のリスクを少しでも小さくし避難者の健康を守るために、できる限りの対策を講じています。
「生活不活発病」を防ぐために、ラジオ体操を実施
ある避難所では、急激に体を動かさなくなることで体の機能が低下してしまい、健康問題にいたる生活不活発病を防ぐために、ラジオ体操を実施。市役所からは「午前に開催したら好評だったから午後もぜひ開催したい、手伝ってもらえないだろうか」と相談を受け、避難者とともに空飛ぶ捜索医療団のスタッフも体を動かしました。
転倒防止の手すりを設置
避難所支援では、特に年配の方への配慮が求められます。ある避難所では慣れない避難所生活で数名の転倒事故が起きていることが発覚。避難所には高齢者も多いことからすぐに避難所責任者と相談し、同日に業者と打ち合わせを行い、その翌日には転倒防止の手すりを設置しました。
避難所への洗濯機設置を支援
車がある人は近くのお店で購入することも可能ですが、家に帰ればある品を購入することにためらう方は少なくありません。そこでニーズとして浮かび上がったのが洗濯機です。市内にはコインランドリーもありますが、やはり避難所にほしいという声が多く聞かれました。
2025年3月9日、山火事は鎮圧。今後懸念される災害の影響とは?
岩手県大船渡市で発生した山火事は2025年2月26日の発災から延焼が続いていましたが、3月5日から3月6日かけてまとまった雨によって延焼が収まり、鎮火に向けて前進。3月9日には“火の勢いはおさまり、延焼のおそれがなくなった”と判断され、午後5時に市は山火事の「鎮圧」が宣言されました。
1週間以上の避難生活から自宅に帰れることとあって、各避難所では安堵(あんど)と笑顔が多く見られるようになった一方で、この2日間の調査で山火事の被害状況もあきらかになってきています。
市の調査によると、2025年3月9日の時点で確認された建物の被害は、住宅102棟を含む210棟。一部地域ではインフラの損壊もみられ、断水が報告される地区もあります。
閉鎖の決まったふたつの避難所では、撤収作業がおこなわれ、空飛ぶ捜索医療団のスタッフもサポート。避難所運営者からは、大きなトラブルもなく乗り切ったこの12日間を振り返り、「東日本大震災という大きな被害を受け、その経験、失敗から学んだノウハウを生かして、今回の災害支援ではだいぶ改善でき対応できたのではないかと思っています」と少し安堵(あんど)する声が聞かれました。
実際に空飛ぶ捜索医療団のスタッフは、支援活動を通じて“どんなことも自分たちには乗り越えることができる”という、とても強い意志と自負を感じたといいます。それでも、不安な日々を乗り越え避難指示が解除された地区の人々は帰宅しわが家での生活が再開しますが、これから災害の影響が出てくる可能性は否めません。
関係者へのヒアリングでは、消火に海水が使用されたことによる住宅の塩水被害や、ダムの貯蓄水を大量に使用したことで貯水量が減ったことによる水不足が起きる可能性、また地元産業を支えてきた漁業では用具の焼失が確認されるなど、今後の生活や生業(なりわい)への影響を懸念する声が聞かれました。
明日以降も、火災発生の原因や、火種は完全になくなったのか調査が進められ、再燃の可能性がないと判断されてはじめて「鎮火」となります。復興に向けて生活再建の必要な方に対して何ができるのか、空飛ぶ捜索医療団は引き続き現地にて聞き取り調査を行い、私たちにできることを考え、必要な支援を届けてまいります。
支援活動レポート全文は空飛ぶ捜索医療団ホームページで公開しています。現地の状況も併せてぜひご覧ください。
石川県は、2024年1月1日の令和6年能登半島地震による甚大な被害を受け、倒壊した家屋等の公費解体に取り組んできましたが、震災の影響で申請されていた16市町の公費解体見込み数は、2024年9月の豪雨被害でさらに増加。公費解体棟の見込み数が想定を上回り、2024年12月12日には見込み数を来年1月に見直すことを明らかにしました。
また、本格的な冬を迎える今、珠洲市では仮設住宅の建設が急ピッチで進められています。市の発表では、建設予定とされている仮設住宅は全部で1,640戸。2024年12月20日に完成が予定されている仮設住宅を含めると、年内に1,531戸が完成する予定です。
新入居を見越して暖房家具を事前準備、家電支援を継続
仮設住宅に入居した方への公的支援では「洗濯機、冷蔵庫、テレビ、エアコン」を対象としており、そのほかの家電は対象外となっています。
仮設住宅への入居者は、主に居住していた家が「全壊」判定を受けている方など、被害が大きいため家電をはじめ生活用品を買い直す必要のある方ばかりです。2024年12月下旬に新しく仮設住宅に入居される方からの要望にすぐに応えることができるよう、ホットカーペットやこたつ、ファンヒーターなどの暖房器具をあらかじめ115世帯分の在庫を準備しました。
地域、家族構成だけではなく、季節ごとに変わる支援のニーズは、行政からの支援だけではどうしても「範囲外」とされる部分が出てきます。空飛ぶ捜索医療団は今後も行政との連携を強化しつつ、私たち民間団体だからこそ公的支援の手が届かない範囲も見極めながら、取りこぼしがないように「本当に必要な支援」を届けていきます。
活動報告はホームページにて随時更新しています。ぜひご覧ください。
▶【能登半島地震から1年】震災から二度目の冬。家電支援で暖を届ける
▶【能登半島地震から1年】誘発地震により心身への影響の懸念が続く奥能登
2024年9月21日の豪雨によって流れ込んだ土砂や流れてきた大量の枝木を道の脇に集める作業などが、被災地の各所で続けられています。水害の発生から約2週間がたったこの日も珠洲市では雨天が続き、さらなる土砂災害などへの警戒が続いています。
珠洲事務所現地代表の橋本は、なぎ倒された稲穂を前に、深い苦悩を語りました。「やっと何とか、生活が少しずつ元に戻りつつあると感じ始めていたんです。それなのに、この豪雨はあまりにも残酷でした。ただ家が流されたとか、何センチの浸水だとか、そんな話だけではありません。まるで私たちの生活の基盤と、これからの希望すらも根こそぎ奪い去られてしまったような感覚です」
新米の収穫の時期でもある9月。今年の収穫に対しての思いは、例年とは少し違うといいます。
地震の影響で生まれた多くの課題に向き合い、苗を育て、田んぼを耕し、田植えをして定期的に雑草刈りを行う……。日々つらい状況でも日常の仕事を続けること、そして、道行く人も田んぼ全体で輝き始めた稲穂の成長を見守ることが、心の支えにもなっていました。
収穫量がどこまで減少してしまうのか、まだ見通しもつかない状況です。
あらゆる機関と行政との橋渡し役を担い、被災地を支える
私たち独自で行う支援活動と並行して、今でも珠洲市や県と連携し民間の支援団体などと被災地でさまざまな分野で支援を行っている多機関が、円滑に活動を展開できるよう、ハブのような役割を担っています。
その活動のひとつとして、珠洲事務所代表の橋本は、石川県珠洲市復興計画策定委員会有識者会議委員に任命され、復興計画へのコメントやアドバイスを行っています。
また、珠洲市の被災状況・復旧状況などが共有される珠洲市関係機関全体会議に民間支援を代表する形で参加。橋本は珠洲市で活動する民間支援の各団体に、現地での課題や必要な情報を伝え、それぞれが円滑に支援活動を進められるよう調整などを行っています。
【令和6年奥能登豪雨】現在の主な支援活動の内容
・仮設住宅への家電支援
・豪雨災害に伴う水・食料、生活用品などの物資支援
・保健福祉の観点での戸別訪問
・地元医療機関との連携による健康相談
・行政と各支援団体の連携サポート
※被災者への支援は在宅避難・避難所・仮設住宅を問わず行っています。
空飛ぶ捜索医療団は、行政でしかできない取り組み、私たち民間だからこそ実行できる取り組みが、歯車のようにかみ合うことでより一層、被災地を取り巻くあらゆる課題に向き合い、迅速に支援を行うことができると考えています。
被災者の方々の尊い命を守るために、支援者間の懸け橋役として、そして災害支援のプロフェッショナルチームとして、誰一人として取り残さない支援を届けます。
活動報告の全文はこちらから
※当募金ページに記載の内容については、プロジェクトオーナーが責任を負っており、LINEヤフー株式会社が責任を負うものではありません。詳しくは免責事項をご覧ください。
※本ページの「プロジェクト概要」「活動情報」「寄付金の使いみち」に掲載のリンクは、外部サイトに移動します。
※寄付をするには Yahoo! JAPAN IDの取得(無料)が必要です。
認定NPO法人ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)は、紛争や災害、貧困などの脅威にさらされている人々に対して支援活動を行うNGO (Non-Governmental Organization = 非政府組織)です。日本に本部を置き、これまで世界36の国と地域で活動してきました。また東日本大震災や熊本地震、西日本豪雨、2023年のトルコ地震へも出動し、支援を行いました。
このプロジェクトでは1回3,000円以上の寄付から領収書の発行が可能です。
※クレジットカードでの寄付に限ります。詳しくはヘルプページをご参照ください。
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・寄付金に関する領収書の送付(当団体がYahoo!ネット募金での寄付者に対して領収書発行を行う場合)
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