【重要なお知らせ】

災害で失われる命を救うために(空飛ぶ捜索医療団“ARROWS”)

寄付受付開始日:2023/10/27

  • 領収書あり
[災害で失われる命を救うために(空飛ぶ捜索医療団“ARROWS”)]の画像
モルドバでの仮設診療所での医療支援の様子(2022年4月11日 モルドバ キシナウ市)

認定特定非営利活動法人ピースウィンズ・ジャパン

プロジェクト概要

更新日:2024/12/26

詳細はこちら

国内外の被災地に、支援の手を。

ピースウィンズ・ジャパンが運営する空飛ぶ捜索医療団“ARROWS”は、大規模災害の被災地で医療支援を行う災害緊急支援プロジェクトです。
「一秒でも早く、一人でも多く」被災者を助けたい。その想いを胸に、被災地にいち早く駆けつけます。

航空機やヘリコプター、医療船などを駆使して、医師や看護師、レスキュー隊員、災害救助犬などの救助チームを現地へ派遣。捜索から野外病院運営まで、医療を軸とした救助・救命活動を行います。

外部パートナーと連携して取り組んでいます

また、自治体・自衛隊・消防などと連携することで、物資支援や避難所運営など被災者に寄り添った活動をスピーディーに実施しています。

●大規模災害「未治療死」をなくしたい
首都直下型地震では、発災後8日間で、約6,500人が病院に搬送されても治療を受けられずに死亡する可能性があるという試算があります。<防災科学技術研究所/日本医科大学の研究グループ>

トルコ大地震の被災状況(2023年2月8日 トルコ ハタイ県)

約10万5,000人の死者・行方不明者を出した関東大震災から2023年9月で100年になりました。この間、私たちは自然の猛威による「想定外」に繰り返し翻弄(ほんろう)されてきました。
阪神大震災(1995年)や東日本大震災(2011年)では多くの医療機関が機能不全に陥り、大勢の人が適切な治療を受けられずに亡くなっています。
発生が見込まれる首都直下地震で約6,200人、南海トラフ巨大地震では約8万人もの「未治療死」が出るとの試算もあります。

空飛ぶ捜索医療団“ARROWS”の紹介、現場での活動について

●「フィールドホスピタル(野営病院)」の整備・運営事業
私たちが運営を目指しているフィールドホスピタル(野営病院)では、診療所レベルの医療体制に併せ、ヘリコプターなどのロジスティクスを活用した患者搬送機能をもちます。
特に大規模な災害が発生した際、多くの医療機関では体制がひっ迫し、本来受けられるはずの治療が受けられず亡くなってしまう「未治療死」による犠牲を減らすことを目的としています。

空飛ぶ捜索医療団によるフィールドホスピタル(2022年12月10日 高知県 田野町)

このフィールドホスピタルを展開できることで、被災地域でひっ迫する医療機関の能力をサポートすることが可能となります。

●民間支援団体による災害医療支援船の運用を開始
大規模災害への備えとして、ヘリパッド付きの災害医療支援船の運用を開始、民間支援団体による3,500トン級の災害医療支援船の運用は、国内初となる取組みです。
 今後起こると予想される南海トラフ地震や首都直下地震などの大規模地震では、陸路が寸断されるため、空と海の活用が災害対応の肝になるとされています。

災害医療支援船 Power of change(2023年5月10日 マレーシア ラブアン島)

●これまでの支援活動
東日本大震災以降、空飛ぶ捜索医療団の前進となる災害支援チームから、私たちはほぼ全ての激甚災害に出動し、民間組織として支援活動を実施してきました。
災害発生が予測される場合に、発生前から対象地域に入って備えることや、声が届きにくい被災者に寄り添い、行政の支援が行き届かない地域や自主避難所などにも支援を行うことは、民間ならではの強みです。

【これまで行ってきた支援活動】※一部抜粋
・2019年9月 九州北部での豪雨災害、台風被害への支援活動
・2020年1月 コロナウイルス感染拡大時の物資提供
・2022年2月 コロナウイルス罹患(りかん)者が急増したパラオでの医療支援
・2022年3月 ウクライナ危機における避難民支援
・2023年2月 トルコ・シリア地震での被災地支援
・2023年5月 石川県能登地方地震での被災地支援
・2023年9月 ハワイ・マウイ島山火事被災地支援

災害発生時のレスキューの様子(2018年9月7日 北海道 胆振東部)

地震や豪雨、台風などの災害発生時には、被災地に医師や看護師・薬剤師を即時派遣。医療活動のほか、避難民の捜索や高齢者家庭への戸別訪問も実施しました。

コロナウイルス感染拡大時のワクチン接種の様子(2021年4月16日 愛媛県 新居浜市)

2020年1月、新型コロナウイルスの感染が広がりパンデミック(世界的大流行)が始まって以来、2023年現在に至るまで、全国各地への医療支援および不足している医療物品の物資支援を継続してまいりました。その数は4,300カ所以上にのぼります。

モルドバでの仮設診療所での医療支援の様子(2022年4月11日 モルドバ キシナウ市)

ロシアからのウクライナ侵攻では隣国モルドバに仮設診療所を設置し、医師・看護師・薬剤師などによる医療支援や物資支援、避難所整備を行いました。

マウイ島訪問時の様子(2023年8月17日 マウイ島 コミュニティーセンター避難所)

また、ハワイ・マウイ島での山火事発生時には、日本の団体としていち早く、現地へのスタッフ派遣を行い、支援活動を行いました。

被災者の皆様の声を聞きながら、私たちだからこそできる支援を継続しています。引き続き安全を第一に活動していきますので、皆さまのあたたかいご支援をお願いいたします。

空飛ぶ捜索医療団“ARROWS”ホームページ

空飛ぶ捜索医療団 災害時に本当に現場に届く支援を ふるさと納税で応援

寄付金の使いみち

災害発生時から復興まで、空飛ぶ捜索医療団の支援活動は多岐にわたります。
みなさまからのご寄付は、災害支援に必要な人や資機材の準備・維持およびそれらを活用した支援活動、現地での医療支援、地域住民の方々のための避難所設営、備蓄品では賄えない医療や衛生用品、食料などの物資購入等に使わせていただきます。

●皆様のご寄付が、次なる災害支援に役立てられます。
1. 緊急時、本当に現場に届く支援を
国内外における災害発生時に「一秒でも早く、一人でも多く」救うため、いち早く現場に駆け付け、レスキュー、医療、物資など、必要とされる支援を届けます。

2. あらゆる場面に適応した資機材や物資の調達を
必要な機材や物資を日ごろから準備・メンテナンスを実施。船舶や野営病院における実際の支援を想定した体制を強化し、被災地域の人々に貢献してまいります。

3. 医療を通じ、安心して住み続けられる地域づくりを
へき地の病院・クリニックの応援を継続。オンライン診療・オンライン面会、訪問看護などにも取り組み、地域の人々の健康を守ります。

●ご寄付の活用例
【1,000円】避難所生活にかかせない衛生キット2箱分になります
【3,000円】薬の継続が必要な方の緊急処方7日分になります
【10,000円】体ひとつで避難した人が3日間過ごせる避難セットになります
【50,000円】ヘリで患者1名を搬送した場合の平均費用7日分になります

※ピースウィンズ・ジャパンへの寄付は、寄付金控除の対象となります。
詳しくはこちら

※ピースウィンズ・ジャパン寄付金など取扱規程は下記をご参照ください。
特定非営利活動法人ピースウィンズ・ジャパン寄付金等取扱規程(PDF)

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活動情報

更新日:2025/06/30

「現地の方々とのつながりを大切に。」ーARROWS2025年6月の活動報告(2025年6月30日更新)

2025年6月も、空飛ぶ捜索医療団"ARROWS"は、現地の方々とのつながりを大切に活動を行いました。
2025年2月26日、岩手県大船渡市で発生した山火事。1週間以上、燃え続けた山火事で、森林や住家だけでなく、地元の人々の生活を支える仕事場や、大切な資材なども焼失。その被害は、山から港にまで広がりました。

大船渡周辺の三陸の海で育つワカメは、地元の経済を支える重要な一次産業であり、全国の家庭の食卓にも届けられる名産品です。
1年でもっとも大切なワカメの収穫期を迎えようとする時期に発生した森林火災。
空飛ぶ捜索医療団“ARROWS”は、ワカメ漁の“なりわいを止めない”ための支援を行うことになりました。

また、わたしたちは国内外への緊急支援というかたちに留まらず、他国の医療に対して技術的な向上を目指した教育や、持続可能な医療体制の構築に向けた支援に取り組んでいます。
現在、パラオ共和国の医療の質を向上させるために、パラオ国内で唯一の総合病院に常駐している診療放射線技師より、課題と支援活動についてお伝えします。

【岩手県大船渡市 山火事】春の訪れを告げるワカメ漁を支える。なりわい支援を通して学ぶ被災地の魅力
2025年2月26日、岩手県大船渡市で発生した山火事は、乾燥した空気や強風などの気象状況も影響し、延焼を続けました。市は、1,896世帯4,596人に避難指示を発令。1週間以上、燃え続けた山火事で、森林や住家だけでなく、地元の人々の生活を支える仕事場や、大切な資材なども焼失。その被害は、山から港にまで広がっていきました。

大船渡周辺の三陸の海で育つワカメは、地元の経済を支える重要な一次産業であり、全国の家庭の食卓にも届けられる名産品です。その収穫から出荷までの作業は、3月から4月にかけたおよそひと月の間に集中し、この時期を逃してしまうとワカメの質はどんどん下がってしまい、商品として出荷ができなくなるといいます。

山林火災が発生したのは、まさにこの1年でもっとも大切な収穫期をこれから迎えようとする時期。
例年に比べるとワカメ漁のスタートは大きく遅れてしまいました。ワカメ漁を一刻も早くはじめなければならない――しかし、一部の漁師は資材や作業場となる倉庫を失い、さらに刈り取り開始が遅れたぶん、人手不足も懸念されるなど課題は山積み。

こうした事態を受け、空飛ぶ捜索医療団“ARROWS”は関係各所と話し合い、急きょ、ワカメ漁の“なりわいを止めない”ための支援を行うことを決定しました。

ワカメ漁(2025年3月、岩手)

具体的な支援は、大きくふたつ。ひとつは、火災でワカメ漁の作業を行う倉庫や漁具を焼失した綾里漁協に対して、収穫に必要な資材を補填する支援。もうひとつは、収穫作業を助けるボランティアを集める活動を、現地の方と連携してサポートする支援です。
そこで、ピースウィンズ・スタッフのひとりがボランティアとして、ワカメ漁に参加しました。

ワカメ漁の多くは、家族単位で行われています。秋の種付けから冬の剪定(せんてい)、そして春の収穫・加工処理にいたるまでの作業量は膨大で、期間も集中していることから、ひとつの家族だけでまかなうことはできません。そのため毎年、地元の方々だけでなく近県からも多くの人がワカメ漁を手伝いにやってきます。

ふらっと来て手伝っていく人もいれば、「この後用事あるから」と先に帰る人もいます。ワカメ漁は、地元の人々の生活を支える大切ななりわいであると同時に、大船渡の春の風物詩であり、地域全体で取り組む大切な営みでもあるのです。

今回の“なりわい支援”は、被災された方々の生活再建の一環として行ったものですが、ボランティアとして参加したスタッフにとっても、被災地のことを知る良い機会となりました。
今回の支援は、被災した方々の生計を支えるだけでなく、その大切な文化を紡ぐ一助になれたという点でも、大きな意義がありました。

ワカメがどこで育ち、どのような工程を経て食卓に届けられているのか?
それを知ることでワカメがより美味しく感じられるようになり、多くのことを学び、新しい発見と喜びをも与えてくれた支援となりました。
ピースウィンズ・スタッフがボランティアとして参加したワカメ漁の様子、ぜひご覧ください!

綾里のワカメ大作戦!! 地域の誇りを守る支援の記録

“撮る”ことから始まる医療支援──放射線の現場、パラオで奮闘中
空飛ぶ捜索医療団"ARROWS"では、現在、パラオ共和国の医療の質を向上させるために、パラオ国内で唯一の総合病院であるベラウ国立病院(Belau National Hospital:BNH)へ、看護師1名が外科病棟で、診療放射線技師1名が放射線画像診断部門で活動を行っています。
今回は現地に常駐している診療放射線技師の濵野から、放射線画像診断部門での課題と支援活動についてお伝えします。

MRIの稼働(2025年3月、パラオ)

放射線部門には7名の診療放射線技師(technician)が在籍しています。
X線を使うためには安全管理が大事になってきますが、先進国には当たり前の様にある、医療用放射線の安全管理に関する法律がパラオにはありません。

被ばくに関しての意識が根付いていないことは大きな課題で、X線撮影において適切な線量、撮影方法で撮影されるよう、わたしたちが支援に入ることでルールなども整備し、改善に向けて取り組んでいます。
BNHは、日本をはじめアメリカや台湾などからのさまざまな支援を受けていますが、その中でも一番高額といえるのがMRIです。

日本の支援により、2023年7月からMRIの稼働が始まりました。
装置自体は日本政府の支援で整備され操作研修もありましたが、実際のところ現地医療スタッフは十分に使いこなせていないのが現状です。そのため日本からの機材支援に加え、私たちが実際に使うスタッフたちの技術面のサポートにはいり、MRIの撮影技術の向上を目指して日々レクチャーにあたっています。

CT検査についても、2年程前に装置が故障し、日本の支援を経て2024年11月より新たなCT装置が導入されました。使用している医療スタッフは、CT装置の使用経験はあるので取り扱いはおおむね可能ではあるものの、こちらも十分に活用できている状況とは言えません。撮影法がスタッフ間で統一されていないため、誰が撮っても同じく正確に処理ができるように、統一性を持った方法でレクチャーを行っています。

実際に、現地医療従事者のみなさんも真面目でひた向きで、私たちが行っている支援からさまざまな技能を学び、人々に貢献したいという熱にあふれたスタッフばかりです。私たちから現在行っている現地での取り組みの内容を日本政府にも随時報告しています。それによって日本政府からの今後の国際支援がより一層現地の人々の生活に貢献できるものになれればと願っています。

さらに、パラオには画像診断を専門にする医師が不在なため、検査の適切な選択や依頼内容、撮影した画像に基づく診断にも課題を抱えています。
この課題を解決へと導くためには適切な画像診断ができる医師を育成する必要があると考え、今現在パラオ人医師がピースウインズのプロデュースで来日し、パラオ人として初めての放射線科医を目指して日本国内で研修に励んでいます。

パラオの医療事情はまだ発展途上であり多くの課題を抱えていますが、さまざまな国際的な支援が現地の医療現場で着実に実を結びつつあります。
空飛ぶ捜索医療団"ARROWS"は、引き続き現場の医療従事者の声を聞きながら、改善を図っていきたいと思います。

日本国内で研修に励んでいるパラオ人(2025年5月、パラオ)

「一秒でも早く、一人でも多く。」ーARROWS2025年5月の活動報告(2025年5月27日更新)

2025年5月、空飛ぶ捜索医療団"ARROWS"は、多岐にわたる活動を行いました。

令和6年能登半島地震と豪雨で被害を受けた石川県珠洲市。仮設住宅や避難所では、現在も仮設住宅での避難生活が続いている方が多く、本当の日常を取り戻すまでには、まだまだ時間がかかります。その中で、保健医療の観点も取り入れたイベントが企画されました。

また、2025年3月21日に韓国で山火事が発生してから間もなく2カ月。災害から時間がたち、報道が途切れがちになっても、生活再建や復興への道のりはまだまだこれからです。ピースウィンズは、緊急支援活動の範囲を拡大。支援が行き届きにくい地域を含めて、被災者に寄り添ったきめ細やかな支援を続けています。

そして空飛ぶ捜索医療団は、これまでに台湾・フィリピンの医療チームと共同訓練を実施してきました。その一環として、PMA(フィリピン医師会)とアジア パシフィック アライアンス-フィリピン(A-PAD-PH)等が主催する災害医療支援訓練に参加した際の様子をお届けします。

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【能登半島地震】eスポーツで人々の健康に貢献!
TANOTECH社が開発した「TANO」とは、福祉・介護・教育現場向けのゲーミフィケーションテクノロジー。モーションセンサーを利用することでセンサーの前に立つだけで体がコントローラーとなり、300種類以上の運動・発声・脳活性化プログラムを非接触・非装着で楽しくトレーニングすることができます。運動プログラムはリハビリテーションに適した体の動きを取り入れ、年齢に関係なく誰でも簡単に利用できるのが大きな特徴です。

 もともと「TANO」を地域への貢献事業として介護施設や公民館などに導入していた、NTT西日本様とTANOTECH様。

2024年の能登半島地震を受け、「自分たちにも何かできることはないか」と話し合っていたところ、「より集まりやすく、そして楽しみながら健康をサポートするには、どのような催しを行ったらよいか?」と検討していた空飛ぶ捜索医療団"ARROWS"スタッフとの出会いがきっかけで、「TANO」を活用したコミュニティー支援が実現しました。

 「行けー!」「ゴールまであともうちょっとだ~!」「がんばれ~!」

「TANO」を活用したコミュニティー支援が実現(2025年5月、能登)

空飛ぶ捜索医療団のコミュニティー支援とつながって、これまで26回のイベントを実施、延べ約180名の方が参加してくれました。

新しい環境になかなか慣れず、少しふさぎ込みがちだったという参加者のひとりは、TANOの経験をきっかけにリフレッシュできたことで気分も前向きになり、日々の運動量も回復してきたと話してくれました。

「TANO」で日々の運動量も回復(2025年5月、能登)

【韓国 山火事】被災者の心に寄り添った支援を
2025年3月21日に発生した韓国の山火事でも、お年寄りの被災者が地域の公民館で生活しています。避難生活が長期化するにつれ、こうした場所への支援の届きにくさが現在の問題となっています。

避難されている方々に少しでも元気になっていただくには何をすればいいのか。考えた末、ピースウィンズはいつもと違う温かい食事を用意することにしました。

温かい食事(2025年5月、韓国)

また、市内の銭湯3カ所と協力し、避難中の方々に無料で利用できる「入浴券」を配布。韓国のお年寄りにとって、銭湯は、体を奇麗にするだけではなく、親しい近所の人たちと会話を交わす大切なコミュニティーの場でもあるのです。

入浴券を利用したある被災者の方は、「家は全部焼けてしまったけれど、久しぶりに体を奇麗に洗ったら、まるで羽が生えたような気分です」と満面の笑顔を見せてくださいました。

他の避難所では、山のように積み上げられた衣類が置かれていました。救援物資として届いたものですが、サイズが小さすぎて着られない服や下着だったとのこと。お年寄りが多い地域の特性上、必要なのはゆったりとしたサイズの服だったのですが、ニーズと支援が嚙み合わずこうした残念な結果になっていたのです。

山のように積み上げられた衣類(2025年5月、韓国)

山火事による被害からの復旧は、今まさに始まったばかりです。本当に必要な支援を適切に届けることは、決して簡単なことではありません。相手の話に心から耳を傾け、誠実に対応する姿勢からこそ、適切な支援の前提となる信頼関係が生まれます。人々の生活を立て直し、日常を取り戻すには、長い時間がかかります。小さな喜びを積み重ねることが少しでも心の支えになると信じて、支援を続けていきます。

フィリピンでの国際合同訓練に参加

フィリピンでの国際合同訓練(2025年5月、フィリピン)

フィリピンは太平洋の火山帯である「環太平洋火山帯」に位置しており、地震活動の影響を受けやすい地域です。今回の合同訓練は、フィリピンでM7.2の大規模地震が発生し、多くの建物が倒壊、その中には人でにぎわっていた民間病院や学校も含まれており、数千人が負傷またはがれきの下に閉じ込められたという想定で行われました。

国や地域を超えた連携では、初対面の各国際支援チームのスタッフが被災地で支援を展開するため、共通した用語の共有、国際支援のフローなどの認識を合わせていく必要があります。

入国時の手続きや各国から派遣された緊急医療チームの調整機能を担う「EMTCC(緊急医療チーム調整本部)」への受付や、現地診療拠点の準備など、支援活動をスタートさせるまでに必要な具体的な対応についても参加者全員で情報共有、検証にあたりました。

空飛ぶ捜索医療団がこれまで支援活動や多機関訓練で培ってきた知見をもとに、国際支援を受け入れる「受援」ついて、国として今後検討すべき論点も共有しました。

 空飛ぶ捜索医療団プロジェクトリーダー稲葉医師は、今回の訓練をこう振り返ります。

「大地震や危機で医療資源が足りなくなったとき、国際的な支援が必要です。ただし国際支援チームが医療支援を提供しようとするときは、とても複雑で難しいこともあります。だからこそ、こうした訓練が非常に重要なのです。平時にこれらを話し合い、災害発生後ではなく、今こそ準備することが大切です。」

フィリピンでは今後、この訓練の評価結果と教訓がまとめられ、民間防衛局や国家防災リスク軽減管理評議会などの国家機関に提出される予定です。引き続き、国内のみならず国境を越えた支援の輪を広げていきます。

全6種!? 現場で使う包帯法の基本とコツを現役看護師が徹底解説!!
そして、いつ何時、私たちを襲うかもわからない災害や事故。
空飛ぶ捜索医療団ARROWS看護師が伝授する、誰でもできる応急手当!

【全6種⁉︎ 現場で使う包帯法の基本とコツ 】もぜひご覧ください。

全6種!? 現場で使う包帯法の基本とコツを現役看護師が徹底解説!!

初めはなかなかうまくできない場合もありますが、この動画を何度かご覧いただきながら練習しておくと、いざという時に誰かを助けるきっかけにつながるかもしれません。

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これからも空飛ぶ捜索医療団は、自然災害の被災地や支援を必要とする方々に寄り添い、さまざまな活動を展開していきます。

「災害の最前線に立つ」―ARROWS2025年4月の活動報告(2025年5月8日更新)

2025年4月、空飛ぶ捜索医療団"ARROWS"は、多岐にわたる支援活動を行いました。

2025年3月28日に発生したミャンマー地震では、被災地への緊急支援を開始し、一刻も早いに支援に尽力しました。
また、能登半島地震で行方不明者の捜索活動に奔走した災害救助犬・ロジャーによる勇敢な挑戦も注目を集めました。
さらに、空飛ぶ捜索医療団の支援活動を通じて出会った一人の高校生へのインタビューも必読です。

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ミャンマー地震 緊急支援

数十人の避難者が寝泊まりしているテント(2025年4月、ミャンマー)

地震発生から13日。
お寺の境内にて、テントと呼ぶにはあまりにも簡素な、木に張ったビニールひもにブルーシートをかけただけの日陰で、数十人の避難者が寝泊まりしています。

プライバシーなどはなく、レジャーシートの上で過ごしている過酷な状況に、国内外のさまざまな被災地で支援活動を行ってきたピースウィンズの事業調整員も、思わず
「発災から13日もたっているのに、まだこんな場所で避難生活をしなければならないのか……」
と声を漏らしてしまいました。

さらに避難者を苦しめているのは、40度近い猛暑と横殴りのスコールです。避難テントが増えるにつれて、全員がここで避難できるのか? 増え続ける避難者の数にトイレの数は足りるのか? 密集する避難生活の中で感染症の予防はできているか? など、新たな課題も出てきています。

空飛ぶ捜索医療団が支援するのは、医療だけではありません。被災者にとって必要なものは人それぞれ異なり、長い目で心に寄り添う支援を考えていくことが大切です。

子どもたちの姿も増え、看護師たちが、「とにかく明るい気持ちになれる診療所にしたい」と、受付待ちの間に遊べる塗り絵を準備するなどの工夫を凝らしています。先行きが見えない厳しい環境のなか、ほんの少しでも笑顔になってもらうために。

女の子の患者さん(2025年4月、ミャンマー)

災害救助犬ロジャーの挑戦記

災害救助犬ロジャー(2024年1月、能登)

空飛ぶ捜索医療団“ARROWS”には、医師、看護師、ロジスティシャンのほかに、レスキュー部隊として救助犬の隊員がいます。
ロジャーは、先代救助犬の後を継ぎ、2024年1月1日に能登半島を襲った「令和6年能登半島地震」に隊員として被災地に駆け付け、ハンドラーとともに行方不明者の捜索活動に奔走しました。

災害地における捜索では、一秒でも早い発見と救助が求められると同時に、漏れがないように広域を捜索していかなければなりません。

欧米に比べて日本ではまだ災害救助犬の制度や仕組みづくりが十分に確立されておらず、各団体や個人の判断で出動しているのが現状ですが、それでも大きな災害があるごとに救助犬が出動し、ひとつずつ成果を積み重ねてきた結果、その存在と能力は着実に必要とされるようになり、捜索現場での活動においても、官民の各団体が連携してスムーズに活動できるようになってきました。

能登半島地震においてもロジャーを含めた救助犬で数名の行方不明者を発見しました。
災害救助犬の仕事は、「姿が見えない不特定多数の人」を探すこと。訓練された災害救助犬は、呼気のにおいや体臭など、本当にあらゆるにおいを分析して、周りにいる人とは異なる人のにおいをかぎ分けることができます。

ハンドラーとの信頼関係も、とても重要です。救助犬の試験では救助犬の能力だけでなく、ハンドラーとの関係性も重要な評価項目になっています。ある資格にその犬が合格してもハンドラーが変わればその資格はまた一から受け直す必要があるほどです。

ロジャーは、ヨーロッパ・アジアに広く認知されている国際救助犬連盟(IRO)が認定している救助犬の資格取得を目指し、日々訓練を重ねています。災害救助犬としてのスキル向上、そして空飛ぶ捜索医療団のミッションでもある「一人でも多くの命を救う」ために。

ロジャーとハンドラー(2024年1月、能登)

2025年春|ふるさと奥能登からの旅立ち。
幼い頃からご近所さんたちとも仲がよく、豊かな自然と家族の愛にあふれている珠洲が大好きだと話す番匠さん。

番匠七海さん(2025年4月、能登)

地震が起こる直前も、自宅のすぐそばにあるおばあちゃんの家に家族みんなで集まり、お祝いをしていました。突然の大きな揺れに頭が真っ白になり、ご近所さんの家が崩れているのを見たそうです。
近くの小学校に行くと避難してきた人たちでいっぱい、番匠さん家族は寒さをしのぎながら3日間車中泊で過ごしました。

その後も不自由な暮らしが続くなかで、番匠さんは支援活動をしている人たちと接していくうちに、
「次は反対の立場となって、同じ気持ち、同じ立場にある人を手助けできれば」
と思うようになりました。

自分にできることはなんだろう? と、本やインターネットで調べていくうちに「災害支援ナース」という存在を目にした番匠さん。
震災を体験したからこそ、多くの方に寄り添える自分になりたいという心境から、自分も「災害支援ナース」になろう、と強く決意したそうです。番匠さんはこの春から、看護学校で同じ志を持った同級生や先輩たちと一緒にたくさん勉強をしたいと考えています。

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これからも空飛ぶ捜索医療団は、自然災害の被災地や支援を必要とする方々に寄り添い、さまざまな活動を展開していきます。

韓国 山火事・ミャンマー地震の緊急支援を行っています(2025年4月7日更新)

韓国 山火事 緊急支援

懸命な消火活動(2025年3月、韓国)

2025年3月21日に韓国・南東部の慶尚南道山清(キョンサンナムド・ サンチョン)にて発災した山火事の被害を受け、空飛ぶ捜索医療団“ARROWS”の運営団体であるピースウィンズは、緊急支援チームを現地に派遣。避難所に行けない住民の方々や、懸命に消火活動を続けている消防隊員に向け、下着や靴下などの衣類のほか、飲食料を配布する支援を開始しています。

また、日本国内にいる空飛ぶ捜索医療団“ARROWS”の緊急支援チームが2025年3月28日に出動し、緊急支援を開始しています。

支援物資の配布(2025年3月、韓国)

懸命な消火活動と久しぶりに降った雨の影響もあってようやく火の勢いは収まり、政府は発災から1週間がたった2025年3月29日に山火事は鎮圧状態に落ち着いたと発表しましたが、一部山林で再燃が確認されて緊急で消防ヘリが出動するなど予断を許さない状況が続いています。

空飛ぶ捜索医療団看護師・戸田は、避難所で必要な生活のリズムや、ストレスとの向き合い方、症状が悪化した際の病院にいくべき目安など、過去の経験と知識から丁寧にアドバイスをすると、「ありがとう」といって手を握り、涙を流す被災者の方々が多くいました。

高齢の被災者(2025年3月、韓国)

焼失してしまった家の再建、インフラの復旧、そして失われた周辺の山林の再生には途方もない時間とお金がかかり、被災者一人ひとり心に寄り添いながら息の長い支援が必要です。

ミャンマー地震 緊急支援

崩れた建物 (2025年3月、ミャンマー)

また、2025年3月28日午後3時20分ころ(現地時間)、ミャンマー中部のマンダレー付近を震源とするマグニチュード7.7の大規模な地震が発生。現地の報道によると、マンダレー周辺をはじめミャンマー各地でも被害が報告され、1,700人を超える死者が出ている模様です。

政府は、被害の大きい6つのエリアに非常事態を宣言。現地の道路や通信が遮断されるなど被害は甚大で現在も捜索救助活動は続けられ、今後被害はさらに拡大するおそれがあります。

これを受け、ピースウィンズが運営する災害緊急支援プロジェクト「空飛ぶ捜索医療団“ARROWS”」は、地震発生直後から情報収集を開始、緊急支援を決定。3月31日には日本から医師・看護師・調整員を含めた緊急支援チームが隣国タイに向けて出発しました。

緊急支援チームが隣国タイに向けて出発(2025年3月)

ミャンマーは、2021年2月以降、情勢不安が著しく悪化しており、国内で多くの人々が避難を強いられています。UNHCRによると、国内で推定300万人以上が国内避難民となり、なかでも今回の被災地の中西部にはおよそ160万人以上の国内避難民が生活していました。

そうした状況下で起きた今回の大規模震災は、マンダレーの住民を含め、特に脆弱(ぜいじゃく)な立場にある人々の生活をさらに圧迫し、人道危機はより深刻な状況になることが予想されています。
空飛ぶ捜索医療団“ARROWS”は発災直後から調査を開始し、並行して医師、看護師、調整員を含めた緊急支援チームを編成。

ミャンマーは現在、情勢不安の影響で現地入りするにはさまざまな調整が必要なため、日本やミャンマーの関係各所と連絡を取りながら、医療支援や物資支援などを視野に、あらゆる可能性を模索しています。

ピースウィンズは、韓国で発生した山火事、ミャンマーで起きた大規模地震による被災者を救うための支援をおこなっていきます。みなさまからのご寄付が活動の力となり、被災者の命を救い未来につながります。
災害で苦しむ人々のために、あたたかいご支援をお願いいたします。

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認定特定非営利活動法人ピースウィンズ・ジャパン

認定NPO法人ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)は、紛争や災害、貧困などの脅威にさらされている人々に対して支援活動を行うNGO (Non-Governmental Organization = 非政府組織)です。日本に本部を置き、これまで世界36の国と地域で活動してきました。また東日本大震災や熊本地震、西日本豪雨、2023年のトルコ地震へも出動し、支援を行いました。

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