パレスチナ緊急支援 「天井のない監獄」にいるガザ地区の人々のために(ピースウィンズ・ジャパン)

寄付受付開始日:2023/10/09

  • 領収書あり
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空爆されたパレスチナ・ガザ地区の街の様子(2023年5月)

認定特定非営利活動法人ピースウィンズ・ジャパン

プロジェクト概要

更新日:2023/11/20

ガザ地区では空爆で多くの一般市民が犠牲になっています

2023年10月7日現地時間の朝7時前(日本時間13時前)、パレスチナのガザ地区からイスラエルに向けて大量のロケット弾が発射されました。イスラエル軍は、これに応戦してガザ地区を空爆し、双方に死傷者が出ています。パレスチナ側の武装勢力がイスラエル側に侵入し、各地で戦闘が続いている状況です。

パレスチナ・ガザ地区内の状況
ガザ地区では16年間イスラエル政府による封鎖で人や物の出入りが厳しく制限され、「天井のない監獄」と言われています。
その結果、経済状況は悪化の一途を辿(たど)っており、人口の約半数にあたる若年層の約7割が失業状態にあるなどガザ地区の人道状況は極めて劣悪な状況です。

また、毎年のようにイスラエルによる大規模な空爆が行われ、市民が居住するビルや商業ビルなどにも被害がおよび、空爆の度に子どもを含む民間人が犠牲になってきました。ガザ地区沿岸やイスラエルとの境界付近では、ガザの漁師や農夫がイスラエル兵に銃撃されるなどの事案も日常的に起こっています。このような状況下で、人々は疲弊し、希望を失いつつあります。

2023年9月中旬から連日行われていた数百人の若者も参加するイスラエルとの境界地域での抗議運動にイスラエル軍が発砲して犠牲者が出る等、イスラエルとガザ地区の間の緊張は今までになく高まっていました。

パレスチナのその他の地域の状況
今回の攻撃の背景には、こうしたガザ地区内の緊張の高まりに加え、聖地エルサレムやヨルダン川西岸地区の状況も含まれます。
今年に入ってからはヨルダン川西岸地区の各都市で、イスラエル軍の攻撃が激化していました。2023年8月末時点でのパレスチナ人の犠牲者は167人[1]に上り、「テロ行為を行った、もしくは計画した」と見なされた多くの人が拘束されています。

国際法で不法とされる「行政拘禁」が予防的懲罰的目的で常態化し、その措置に抗議するパレスチナ囚人によるハンガーストライキにより、2023年5月には西岸地区での政治的指導者が亡くなりました。現在も何度目かの長期ハンストを続ける囚人がおり、絶命の危機にあります。

また、2023年10月上旬、ユダヤ教の祝祭であるスコット(仮庵の祭り)の期間中に、数千人のユダヤ教徒がイスラム教の聖地であるエルサレムのアル・アクサー・モスクの敷地内に入るという事案がありました。アル・アクサ―・モスクの敷地は(モスク建造時から)継続してイスラム教の第3の聖地です。その歴史的な事実を尊重して、日本も含め国際的にも「現状維持」が合意されています。

合意では、このイスラム教の聖地に他の宗教の信者が自由に入域すること、また敷地内で礼拝行為を行うことは禁じられています。特に、紛争が続くイスラエルとパレスチナにとっては、この聖地の問題は極めて重要で、イスラエル建国によって郷土を奪われ、難民やイスラエル占領下での不当な境遇を強いられているパレスチナ人にとって、死守すべき最後の砦(とりで)とも言えます。

しかし、この敷地内にかつてのイスラエル王国の神殿があったと主張し、神殿の再建を目指すユダヤ教過激派が、近年はより組織的にイスラエル軍の護衛のもとに入域し、さらにはユダヤ教の礼拝行為を実行し、イスラエル国旗をかざすなど、この聖域を奪取する目的が顕著な行為が繰り返されています。それに抗議するイスラム教徒(パレスチナ人)をイスラエル軍が武力鎮圧し、モスク内を破壊するなど聖地への冒涜も繰り返されてきました。

国際社会が有効な介入をしないまま、現在の極めて右派のイスラエル政権のもとで着々と目的の実行が目指されており、パレスチナ人ひいては世界のムスリムにとっても聖地が奪われる危機的な状況に直面しています。
西岸でもエルサレムでも、イスラエルとパレスチナの緊張は非常に高まっていました。

ピースウィンズのこれまでの支援と今後行う緊急支援
ピースウィンズは、これまでガザ地区にて子どもや若者への支援、また、空爆後には被害を受けた市民への緊急食糧配付などを行ってきました。
今回も、安全に活動できることが確認でき次第、被害者への支援活動を直ちに実施できるよう、準備を進めています。

ピースウィンズは、いかなる理由があっても武力による暴力には賛同しません
ガザ地区からのロケット弾発射とイスラエルによるガザ地区の空爆は、これまでも繰り返されてきましたが、今回はこれまでと規模が違います。ハマス戦闘員がイスラエル側に侵入し、イスラエル兵士を人質にとっていることに対し、イスラエルは「戦争状態にある」と宣言し、状況のさらなる悪化が懸念されます。

ピースウィンズは、いかなる理由があっても武力による暴力には賛同しません。人々の安全が一日も早く確保されるよう、武力攻撃の停止を求めます。

寄付金の使いみち

皆様からいただいたご寄付は、パレスチナ緊急支援活動に使用します。

(想定される支援例)
・被害を受けた方への緊急支援
・食料支援
・緊急物資支援
・その他被災地のニーズに応じた支援
・支援に伴う事務局運営費

※現地の状況によって支援内容・活動内容が変更・追加となる場合があります。
※ピースウィンズ・ジャパン寄付金など取扱規程は下記をご参照ください。
特定非営利活動法人ピースウィンズ・ジャパン寄付金等取扱規程(PDF)

活動情報

更新日:2023/11/20

ガザ地区の避難所に温かい食事を提供しました(2023年11月20日更新)

パレスチナ・ガザ地区では、イスラエル軍の軍事侵攻により人道危機が悪化しています。2023年10月末に大規模な地上戦が展開されて以降、地域によっては2週間以上も物資支援が届いていません。空爆で多くの商店は破壊され、残った商店でも食料は底をつき、国連世界食糧計画(WFP)は飢餓や栄養失調に警鐘を鳴らしています。
各地の学校や福祉施設では大勢の人々が避難生活を送っていますが、膨れ上がる人数に対して物資不足は極めて深刻です。

(2023年11月 パレスチナ・ガザ)
(2023年11月 パレスチナ・ガザ)

2023年10月末、ガザ地区の市民団体が運営する特別支援学校の代表から、ガザにいるピースウィンズのスタッフに、「学校では約1,300名が避難生活を送っている。人々が飢えないよう何とか支援できないか」と支援の要請がありました。
そこでピースウィンズは、同校にて2023年10月31日から16日間、延べ19,000人に毎日温かい食事を提供しました。

(2023年11月 パレスチナ・ガザ)
(2023年11月 パレスチナ・ガザ)

この間も学校のすぐ傍では大規模な空爆が相次いでいましたが、現場に残っている学校の職員やボランティアの多大なる協力により、その日に手に入った食材を使って、米料理、豆の煮込み、パスタなどを一日も中断することなく用意することができました。

学校を運営する市民団体の代表からは、通信が大変困難な中ほぼ毎日、支援の様子が写真付きで送られてきました。
ガザの人々の底力に圧倒されると同時に、一般市民が言葉に尽くせないほどの非常に厳しい現実にさらされている不条理を痛感します。

(2023年11月 パレスチナ・ガザ)

ピースウィンズは、今後もスタッフの安全確保に留意しつつ、一人でも多くの命を守るために支援活動を継続し、同時に停戦に向けた働きかけを行ってまいります。
 
引き続きのご支援をどうぞよろしくお願いいたします。

緊急支援の第3弾となる食料・衛生用品の配布を行いました(2023年11月14日更新)

2023年11月2日、ピースウィンズはガザへの緊急支援の第3弾となる食料・衛生用品の配布を行いました。

物資配布の様子(2023年11月2日 パレスチナ・ガザ)

今回の支援は、ガザ地区中部を拠点に活動するパレスチナのNGO「Unlimited Friends Association(UFA)」との協働で実施しました。UFAはピースウィンズが過去に実施した子どもの健康と栄養改善を目指す事業でも協働した信頼のおける団体です。2023年10月7日以降、激しい空爆に晒(さら)されて人道物資すら十分に入らない深刻な人道的危機に陥っているガザ地区で、国連機関や国際NGOと協働して、今も休むことなく、積極的にガザ地区中部の住民のために緊急支援活動を続けています。

ピースウィンズもUFAと協働して、ガザ地区中部の避難所にて避難生活を送る150世帯に食料や衛生用品をまとめた支援パッケージの配布を計画しました。2023年10月中の実施を目指して準備がほぼ整った矢先に、現地との通信手段が遮断されてUFAの担当者と連絡がとれなくなりました。しばらくは先方の安否が確認できない不安な日々を余儀なくされました。
幸いなことに2023年10月31日にはUFA担当者より連絡があり、支援パッケージ配布にかかる最終確認ができました。

UFAは2023年11月1日に支援パッケージの梱包(こんぽう)作業を行い、翌2日にはガザ地区中部デール・エル・バラハ県の避難所となっている学校にて、老人や障害者のいる家庭、母子家庭など、より困窮している150世帯への配布を完了しました。

物資をまとめて支援パッケージを作る(2023年11月1日 パレスチナ・ガザ)
物資配布の様子(2023年11月2日 パレスチナ・ガザ)

支援パッケージには、各種缶詰、チーズ、砂糖、紅茶、せっけん、生理用品、洗浄液、ウェットティッシュなどが入っています。当初、ペットボトル入りミネラルウォーターを数本入れる計画をしていましたが、市場で手に入らずあきらめました。しかし、UFAは給水車にて避難所施設の給水タンクへの給水を毎日実施しており、この緊急支援でも150世帯へのミネラルウォーター配布に代えて、避難所となっている6校への給水を行うことにしました。

既に2023年11月2日に1校、2023年11月3日にはさらにもう1校への給水を終えました。これにより、各学校に避難している数千人の人々の2~3日分に相当する水を届けることができます。

水支援の様子(2023年11月2日 パレスチナ・ガザ)
食料支援の様子(2023年11月2日 パレスチナ・ガザ)

支援を届けた人々からは、皆さまからの温かい心遣いとご支援に大きな喜びと感謝の声が届いています。引き続き、ガザ地区の人々の命を守る緊急支援へのご理解とご協力をよろしくお願いいたします。

ガザ地区での空爆が激化してから1カ月がたちました(2023年11月7日更新)

2023年11月4日現在で既に3,900人の子どもを含む9,488人が殺害され、イスラエル軍による病院や救急車の車列、一般家屋等への無差別な攻撃が今も続いています。
そこに住む約220万人の人々には逃げる場所もなく、ガザの病院は負傷者と遺体であふれかえり、燃料や物資の枯渇によって平時であれば救えたはずの命さえも失われています。

市内の様子(2023年11月2日 パレスチナ・ガザ)

彼らは毎日のように「死」が目前に迫る恐怖と戦っています。彼らは自分と家族の命を守るので精一杯な状況にあり、最悪の事態を覚悟しつつも、われわれの支援活動を今までと変わらず支えてくれています。

2023年8月、スタッフとガザ市内にて。左端が筆者。(2023年8月 パレスチナ・ガザ)

2023年10月7日以降は水、電気、燃料、食料を始めとする物資の搬入が止まり、今もエジプト国境からごくわずかな物資が入るのみです。地上侵攻の結果、ガザ市を含む北半分は完全に遮断され、物資が届かず、飢える人が出ているという報告もあります。
 
ピースウィンズは、これまでに、ガザ地区内で調達した食料、水、衛生用品、温かい食べ物などを約1,060世帯、約6,900人に提供してきました。

水支援の様子(2023年11月2日 パレスチナ・デール・アル・バラハ県)
食料支援の様子(2023年11月2日 パレスチナ・デール・アル・バラハ県)

ガザ全土で無差別攻撃が強まり、物資の供給もそれを運ぶ燃料も底をつきかけ、今後支援活動は一層困難になることが予想されますが、引き続き「必要な人に必要な支援を」を合言葉に、あらゆる手段を用いて支援活動を行っていきます。
 
私は2023年10月まで毎月一度はガザを訪れてきましたが、少なくとも紛争が激化するまでは、地域コミュニティーは秩序が保たれており、ガザで危険な思いをすることは一切ありませんでした。しかしついに過去に類を見ない無差別攻撃と物資不足により、ガザの社会そのものが限界を迎えつつあると言っても過言ではありません。
 
われわれは、日本政府を含む国際社会に対して、イスラエル・パレスチナ双方でこれ以上無辜(むこ)の市民が犠牲にならないために一早い停戦を、また、現在禁じられている燃料も含めた支援物資の搬入を認めるよう外交の力で当事者に働きかけること強く求めます。
 
支援者の皆様のお力添えを、なにとぞよろしくお願い申し上げます。

ガザ市の避難民に食料を届けました(2023年11月6日更新)

食料配布の様子(2023年10月29日 パレスチナ・ガザ)

パレスチナ・ガザ地区では、2023年10月7日より極めて深刻な人道危機に直面しています。各地の学校では、爆撃で家を失ったり、より安全な場所を求める大勢の人々が避難生活を送っていますが、職員が退避していなくなったところでは、避難している人々への水、食料をはじめ、必要な支援が提供されていません。各避難所では、残った職員や避難民自身が日々の必要をまかなうべく奮闘しています。

そこで2023年10月27日、ピースウィンズは大型小売店の在庫を活用して、ある小学校に避難する人々へ食料品を届ける緊急支援を決定し、翌2023年10月28日の実施を目指して準備を進めました。

この小学校には、279世帯合計1,388名(うち2歳以下が180名)が避難生活を送っていました。ピースウィンズのガザにいるスタッフは大型小売店と調整し、280個分の食料パッケージを小学校まで届けてくれることで合意できました。実施に向けてエルサレム事務所との最終確認を終えたのは、2023年10月27日午後5時過ぎでした。

その直後、午後7時過ぎに「ガザ地区における未曽有の空爆が開始され、通信手段が全滅し、ガザ地区との連絡が一切遮断された」と報じられました。2人の同僚とは携帯電話でもインターネットでも連絡がつかなくなり、翌2023年10月28日までは、予定していた食料支援の実施はおろか、同僚2人と緊急支援に関わってくれる方々の安否を案じるばかりでした。

ところが、2023年10月29日朝の4時過ぎに、幸いにも携帯電話とインターネットでの連絡が可能となった一人のスタッフから連絡があり、早朝にもかかわらず、既に大型小売店と小学校と連絡を取っていて、2023年10月29日中に食料支援の実施を完了する了解を取り付けていたこともわかりました。もう一人の同僚の無事も確認できました。

配布の準備(2023年10月29日 パレスチナ・ガザ)

2023年10月27日夜に開始した「未曽有の空爆」はその規模、破壊力、頻度がこれまでをはるかに上回り、アル・ジャジーラの特派員によれば100機ほどの軍用機がガザ地区の隅々まで同時に空爆を続けたと言います。みな一睡もできずに過ごしていたはずです。大型小売店は何とか被害を免れて在庫も確保でき、予定通り午後1時には、従業員が朝から梱包(こんぽう)した280個の食料パッケージが、破壊された町の中を走る小型トラックで無事小学校に届けられました。

トラックで運び込まれた食料(2023年10月29日 パレスチナ・ガザ)
配布された食料(2023年10月29日 パレスチナ・ガザ)

小学校に到着すると、避難している人々に温かく喜んで迎えられたそうです。若者たちが率先して食料パッケージの荷下ろしに励んでくれたことが写真からも伝わってきます。この極限状態にあって、食料パッケージを作り配達してくれた大型小売店の従業員をはじめ、避難所で手伝ってくれた人たちの秩序、高貴さ、覚悟には感服するばかりです。

ピースウィンズは、スタッフの安全確保に注視しながら、今すぐできる支援を実施していきます。
引き続きのご支援をどうぞよろしくお願いいたします。

ガザ地区の人道危機がさらに悪化しています(2023年10月30日更新)

ガザ市内の様子(2023年10月24日 パレスチナ・ガザ)

ガザ地区の人道危機がさらに悪化しています。
ピースウィンズは、2023年10月7日以降、通信状況が悪くなっていく中でも、ガザ地区に住む2人のパレスチナ人スタッフとの連絡を毎日とり、安否確認をするとともに緊急支援を実施してまいりました。

2023年10月27日も次に予定した物資配布について一人のスタッフと電話でやりとりを続けており、17時過ぎに最終確認を終えました。この間も爆撃があり、予断を許さない状況が続いていたので、急ぎ配布の準備に取り掛かることを決めました。

その後、18時11分にもう一人のスタッフからSMSが届き、「この3日間は、新兵器も使われて攻撃が激化しており、(ガザ市では)ここ5時間は(2023年10月27日の13時頃からと思われる)、攻撃が止まず、20~30秒ごとに爆撃がある」と書かれていました。

そのため、エルサレム事務所のスタッフが、18時45分から21時6分までに複数回のSMSのメッセージを送りましたが、返信がありませんでした。メッセージは送れていたので届いたと思っていたところ、未曽有の攻撃が開始されて通信網が全滅との報道があり、22時前に急ぎ二人の携帯に電話しましたが、すぐに電話会社による「通話不能」との自動メッセージにつながりました。その後も連絡は途絶えたままです。

ガザ市内の様子(2023年10月25日 パレスチナ・ガザ)

イスラエルによる地上侵攻を含めた攻撃の拡大は心配されていましたが、イスラエル軍は、2023年10月27日、激しい空爆に加え、限定的な地上侵攻を始めたこととともに、攻撃の継続と、地上部隊の軍事行動を拡大すると発表しました。アルジャジーラは、ガザ地区には100近い軍用機からの空爆が実施されたと報道しています。

さらに、イスラエルは、シファ病院の地下にトンネルネットワークが構築され、ハマスの拠点になっているとして、シファ病院への攻撃を警告しています。イスラエルは過去にも同様の理由でシファ病院の爆撃を示唆しましたが、ハマスは事実無根と否定しています。現在、シファ病院には数多くの患者と4万人以上の避難民が身を寄せています。病院への攻撃はもちろん、市民への攻撃は国際法に違反する行為です。ガザの危機はさらなる局面に入ったようです。
  
私たちの同僚とその家族、これまでに活動で出会った人々の顔が思い出されます。また多くの人たちでにぎわっていた繁華街、一緒に食事をしたレストラン、通学中の子どもたち、ロバや馬が車の間をぬって物を運んでいる様子など、平時のガザの様子が目に浮かび、胸がつぶれる思いです。

今の時代、インターネットのみならず電話も通じないなどの通信手段の遮断が生活に及ぼす影響ははかり知れません。すでに電気も止まり、食料や水、燃料の備蓄もどんどん少なくなっているなか、文字通り命を救う支援の継続が必要です。

ガザ市内の様子(2023年10月24日 パレスチナ・ガザ)

いかなる理由があろうと武力による解決は許されず、私たち国際社会は、人の命が守られることを第一に考えていかなければなりません。日本政府を含め各国の政府には、武力の応酬をなんとか外交で止めてほしいと考えています。
 
私たちは、ガザのスタッフとの連絡をなんとか確保する方法を探しだし、今後の対応を考えてまいります。
皆さまの温かいご善意は、この未曽有の危機を彼らが何とか生き抜く支えになります。本当にありがとうございます。
そして、これからもガザ地区のパレスチナの人たちを応援していただければ幸いです。

「餌も水もあげることができない……」養鶏場から鶏を買い取り困窮家庭に配布(2023年10月18日更新)

2023年10月7日から続くパレスチナ・イスラエル間の武力紛争で、ガザ地区はイスラエル軍による激しい空爆にさらされています。加えて、イスラエルは水、電気、燃料、医薬品、食糧など全ての生活必需品のガザ地区への搬入を止めているため、220万人以上が住むガザ地区では、その規模・質ともに未曽有の人道危機が引き起こされています。ピースウィンズは、ガザにいる2人の同僚、サミーラとハデルに毎日連絡をとり、安否確認を続けています。
 
電気もないためにインターネットはもちろん携帯電話による通信事情も悪いのですが、同僚の1人サミーラは、自宅マンションの屋上にある太陽光パネルから携帯電話の充電ができたからと、2023年10月14日にはいつもよりもゆっくりと話をすることができました。その会話中、ガザ中部アル・ブレイジ地区にある養鶏場では、飼料不足に陥って餌も水も鶏にあげることができなくなってしまい、飼育している鶏を翌2023年10月15日には何とかしなくてはいけなくなったとの話題になりました。

爆撃による破壊や物資不足により、農業、漁業、養鶏などに従事する多くの人々の生計手段が奪われていることは、国連の報告書でも目にしたばかりでした。一方、その養鶏場の周辺にも、爆撃にさらされ経済的にも極めて厳しい多くの困窮家庭が必死に生きています。そこで、急遽(きゅうきょ)その養鶏場に残っている1,000羽の鶏を買い取り、地元アル・ブレイジ地区の困窮家庭に鶏肉を配布する緊急支援を決めました。
 
翌2023年10月15日は幸運に恵まれて、比較的空爆が少なく、地元の業者が鶏をさばき、7名のボランティアが各家庭に鶏肉を届ける作業をてきぱきと進めて、その日だけで960羽を、残る40羽も2023年10月16日には配り終わりました。

鶏肉1羽で3~4人分になるそうで、家庭の人数に応じて2~3羽分の鶏肉が約450世帯に配られました。ほとんどはアル・ブレイジ地区に住む困窮家庭ですが、少数ながら近隣のマガージ地区とヌセイラット地区の家庭にも配られました。経済的に厳しい家庭に加えて、避難してきた人々を受け入れている家庭も対象に含められたそうです。

鶏肉配布の様子(2023年10月 パレスチナ・ガザ)
鶏肉配布の様子(2023年10月 パレスチナ・ガザ)
鶏肉配布の様子(2023年10月 パレスチナ・ガザ)

皆さまの温かいご善意は、この未曽有の危機を彼らが何とか生き抜く支えになります。本当にありがとうございます。
そして、これからもガザ地区のパレスチナの人たちを応援していただければ幸いです。

現地駐在員が解説 ガザ地区の今(2023年10月13日更新)

2023年10月7日、パレスチナのガザ地区からイスラエルに向けて大量のロケット弾が発射されました。イスラエル軍は、これに応戦してガザ地区を空爆し、双方に死傷者が出ています。

この大規模衝突を受け、ピースウィンズではガザ地区での緊急支援を準備しています。
ここ数日、ニュースなどでよく報道されているガザ地区。
じつは、空爆前から破壊的な状態でした。
ガザの現状について、駐在員の矢加部が解説します。

【緊急解説】パレスチナ・ガザ大規模攻撃「状況は破滅的」語る現地駐在員

【パレスチナ・ガザ地区】封鎖された街
国家・宗教・民族にかかわらず、窮地に立たされ、虐げられる人々に手を差し伸べるのが、ピースウィンズの支援です。その想いをわれわれ職員全員が心に刻み、最前線で支援を行っています。
その中の事業地のひとつとして、ピースウィンズでは2004年からガザの将来を担う青年や子どもを対象とした支援を実施してきました。

「空爆があって注目されているガザ地区ですが、空爆が起こる前から、ガザの人々は困難を強いられて、希望を失っていた」と矢加部は話します。
空爆前から電気は限られた時間しか使えず、民間人がガザ地区から出るための移動は制限がかけられていました。
停電の間、医療機器はどうなるのか。ガザにはない大きな病院へ治療に行かなくてはならない時、死を待つしかない場合もあります。
このような状況を「構造的暴力」と呼びます。

自然災害のようにいつか復興するものではなく、紛争が根本的に解決しないとこの状況から抜け出すことができません。
「われわれは無力だ」と矢加部は唇をかみしめながら話しました。
それでもガザへの支援を続ける理由。
それは、ガザで自らも危険な状態にありながら働くパレスチナ人の同僚たちの存在でした。

「日本の団体を信頼して、脆弱(ぜいじゃく)な若者を一緒に助けようと励んでくれる彼らがいる。裏切れないですよね」
矢加部は、涙を浮かべながら、自分自身もいつどうなるかわからない状態にあるのに、若者たちのことを考えている同僚について話しました。

最後に矢加部は、ガザの状況を踏まえて、訴えました。

「ガザ地区にいるほとんどの人は、テロリスト集団ではありません。ガザの中に武力で解決しようとする一部の人々がいたら、大半を占める約220万人の罪のない人々を危険にさらしていいのか。われわれはよく考えなくてはいけません。
“ガザからテロもおこなわれているから、攻撃されても仕方ないね”そういった理解をしてほしくない。ガザの中でおびえている人々が日常を取り戻すことができるように、力を貸してください」

ピースウィンズは、いかなる理由があっても武力による暴力には賛同しません。
危機にあるガザの市民に、支援を届け続けます。
皆様のあたたかいご支援をよろしくお願いします。

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認定NPO法人ピースウィンズ ・ジャパンは、日本に本部を置き、国内外で自然災害、あるいは紛争や貧困など人為的な要因による人道危機や生活の危機にさらされた人びとを支援する国際協力NGOです。これまでに世界37の国と地域で活動してきました。日本国内での社会問題の解決を目的とした活動にも力を入れており、地域活性化や日本の犬の殺処分ゼロを目指した動物の保護・譲渡活動などに取り組んでいます。
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