【スリランカ】内戦と災害を生き延びてきた人々の農業再開支援

寄付受付開始日:2010/12/17

  • 領収書あり
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大豊作となった種子用の落花生の仕分けをする女性たち

認定特定非営利活動法人ピースウィンズ・ジャパン

プロジェクト概要

更新日:2024/04/22

ピースウィンズ・ジャパンの支援活動へご協力をお願いします

ピースウィンズ・ジャパンは、26年にも及ぶ長い民族紛争が終結した2009年から、特に紛争の大きな被害を受けたスリランカの北・東部州での緊急支援を開始し、現在は、東部州トリンコマリー県において、他地域に避難をし、紛争終結後に自分の土地に戻ってきた方々が生計を再構築できるよう、農業を中心とした支援活動を行っています。

スリランカの農業の現状
スリランカの農作物は、一般的に「質より量」で取引されているため、日本のように等級分けやキズモノなどの選別が行われておらず、農家にとっては「いかに多くの量を収穫できるか」が重要となっています。

このため、農家は収穫物の「質」は考慮せず、病害虫によるロスを減らすために化学肥料・農薬・除草剤など(以下、農業化学資材)を大量投入し「量の農業」を行っており、政府もこれまで、農業化学資材を大量に輸入し、稲作に必要な化学肥料を無償で農家に配布していました。

農業化学資材の大量使用が農村部での慢性腎臓病患者の増加の要因とも言われており、小さな子どものいる農家の庭や井戸の近くに「毒」と書かれた農薬の空瓶が多数散乱しているなど、農業化学資材の過剰使用に起因する土壌、環境、人体への影響についても十分な知識がなく、対応策の普及もほとんど進んでいませんでした。

スリランカ政府による突然の有機農業への政策変更そして、現在の経済危機
2021年4月にスリランカ政府が農業化学資材に対しても輸入禁止措置をとり、大統領が国を上げて有機農業に転換することを世界に向けて宣言しました。

その後、農業化学資材に対する輸入禁止措置は取りやめましたが政府としては「有機農業の推進」という方針は変更せず、以前のように政府が農家に農業化学資材の配布は行うことはないと発表しました。

さらに2022年5月、膨れ上がった外貨債務の返済ができなくなり、スリランカの歴史上、そしてアジアで初めてのデフォルトが発生。一日最長13時間という停電、燃料やガスを輸入する外貨がなく、毎日ガソリンスタンドには長蛇の列ができるようになりました。

ガソリンスタンドで燃料を待つ人々

化学肥料は解禁されましたが、輸入する外貨はありません。国内で売っていても目が飛び出るぐらいの高値で取引されています。

また、農業で使用するトラクターや揚水ポンプの燃料もなかなか手に入らず、せっかくうまく育った農作物も枯れてしまうなど、農家も苦しい状況に追い込まれています。

有機認証を取得した裨益(ひえき)農家グループとPWJ職員

混乱する農家に私たちができる支援
農業化学資材に頼った農業を行っていた多くの農家は有機農業に対する知識や経験がほとんどないため、農業を継続していくために厳しい状況に直面しています。

ピースウィンズ・ジャパンでは農業支援の一環として、日本NGO 連携無償資金協力を活用し有機農業を普及する活動を行ってきました。この活動によりスリランカ国の有機認証を取得する農家さんも出てきました。

今回の政府の農業方針転換を受け有機農業に対するニーズは増え、現地からも有機農業をもっと普及してほしいという要望を受けており、今後も有機農業を含めた持続可能な農業に対する支援活動を継続していきます。

特に、品質のよい有機堆肥を生産するためには土壌温度計などが必要となるため、土壌温度計などの農業資機材の配付や品質の高い有機堆肥の作り方などのトレーニングを実施してまいります。
皆様の暖かいご支援をお待ちしております。

■領収書の発行について
・2022年6月15日(水)10時以降の新規ご寄付分より、領収書の発行が可能です。
・1回3,000円以上のクレジットカードによるご寄付で、領収書の発行を希望して寄付された方に、領収書を発行いたします。
・手続き完了後の発行や再発行はできません。
・領収書の日付は、お客様の寄付手続き日ではなく、当団体への入金が完了した日(原則として寄付手続き日の翌月末日頃)です。
※Vポイントによるご寄付の場合は、領収書発行の対象外ですのでご留意ください。
 
詳しくはヘルプページをご参照ください。
 
領収書に関するお問い合わせは、下記までご連絡ください。
 
<お問い合わせ先>
認定特定非営利活動法人ピースウィンズ・ジャパン・Yahoo!ネット募金係
メールアドレス:support@peace-winds.org
お問い合わせフォームはこちら
 
特定非営利活動法人ピースウィンズ・ジャパンは「認定NPO法人」です。ご寄付は寄付金控除の対象となります。
詳しくは「寄付金控除(認定NPO)について」をご覧ください。

寄付金の使いみち

スリランカの帰還民を含む元内戦地域の農業復興と災害に強い地域づくりのために使用させていただきます。また、調査や物資購入の際に発生した費用としても使用させていただく予定です。

なお、さまざまなサポートをするためにご寄付のうち最大15%は運営費(事務所の管理運営費、調査・提言活動のための費用など)として活用させていただきます。また、今回の支援が終了した場合、今後のレスキューおよび被災者緊急支援の準備に活用させていただきます。

活動情報

更新日:2024/04/22

ナンジャッタラ・マラッカリ!(2022年12月14日更新)

“ナンジャッタラ・マラッカリ”聞きなれない言葉ですが、スリランカのタミル語で「無農薬野菜」という意味です。
ピースウィンズでは、内戦の影響を受けた地域において、荒廃してしまった農業インフラの整備(小規模貯水池、用水路、農業用井戸)、豆類の種子生産の促進および有機農業の促進による農産物の高付加価値化など、主に農業を通じた生計向上支援を行っています。

有機野菜のトライアルマーケットの風景

今回、農家の生計向上支援の一つの取り組みであるファーマーズ・マーケットを紹介したいと思います。このファーマーズ・マーケットのトレーニングはピースウィンズが行う有機農業の技術トレーニングに参加し、それを実践している農家が自らの手で消費者に自分たちの有機野菜を販売するための実践型トレーニングです。

日本では、「地産地消」として青空市場やマルシェにて農家が消費者に農作物を売っていますが、スリランカでは農家が仲買人を介して消費者に売ることがほとんどで、農家が地元の住民に対して農作物を売ることはまれで、「地産地消」の取り組みを促進するファーマーズ・マーケットは、珍しい取り組みです。

マイクを持ち込み客を呼び込む農家

農家が直接販売を行うことで、農家はどのように手間暇かけて有機野菜を作ったかなどの説明を行え、消費者からの感想や意見も直接聞くことができ、消費者もどこの誰が作っているかを知ることができるなど、消費者とのコミュニケーションが生まれるため、この取り組みは農家にも消費者にも大好評です。

最初は、自分で販売することを恥ずかしがっていた農家も徐々に接客に慣れてきて、ディスプレーの仕方や接客の方法を工夫していました。プルモダイの農家グループは、事前に皆で集まり企画し、スピーカーとマイクを持ち込むなど、工夫をしてくれ、道行く人に“バンガ バンガ(いらっしゃい、いらっしゃい)” “ナンジャッタラ・マラッカリ”(無農薬野菜だよ)と呼びかける姿が印象的でした。(シンハラ人のお客さんにはエンナ! エンナ! カーボニカエラワル!)

マイクを手に取り流ちょうなシンハラ語・タミル語で客を呼び込む駐在員
ガソリンスタンドで給油の長蛇の列に並ぶ客への呼び込みに精を出す駐在員

ピースウィンズのスタッフも客寄せのために、現地語によるマイクパフォーマンスやチラシ配りを行い、精力的に客の呼び込み、ファーマーズ・マーケットは多くの客でにぎわいました。お客さんたちからは「近くに有機野菜を購入できる場所ができて便利になった。」「自然農薬や液肥なども買えて、使い方も教えてもらえるので、有機農業をやってみようかな。」など肯定的な声が多く聞こえました。

ピースウィンズの活動地域によっては、このオーガニック・マーケットを自主的に継続し、定期的にマーケットを開催し、自分たちの収入の向上につなげる農家グループもいます。特に、プルモダイという地域の農家グループは、グループ内でミーティングを重ね、自ら郡事務所などと掛け合い、郡事務所から支援も受けて、常設のオーガニック・マーケットを設置しました。農家が開催したオープニング・セレモニーにピースウィンズスタッフも招待され、参加してきました。

多くの人でにぎわうマーケットの様子

ピースウィンズ・スリランカチームは、一人でも多くの農家が農業を通じて収入の多元化を図り、地元経済の活性化のために今後も支援を行ってまいります。
本事業は外務省の日本NGO連携無償資金協力からの助成金とサポーターの皆様からの寄付金を得て支援を行っております。皆さまからのご協力、またスリランカの農業の復興に寄与できるようなお話などもございましたら、ぜひご協力いただけますよう、よろしくお願いいたします。

スリランカの人々の生活の基盤づくりのために(2022年7月12日更新)

スリランカは、既に8世紀には、日本が学ぶほどの灌漑農業(かんがい)農業(貯水池と用水路を整備し、雨期と乾期の二期作ができる農業)を発達させていた歴史を持ちます。

しかし内戦のため、灌漑(かんがい)施設を含むほとんどの土地が荒廃し、貯水池はジャングルに覆われ、逆に農地だった所では砂漠化が進んでいます。

このような極端な土地条件に、近年では干ばつと豪雨が繰り返される極端な気候条件が加わっているため、農業による生計が成り立たず、せっかく帰還したのに海外へ出稼ぎに行かなければならない人が後をたちません。

ジャングルに埋もれた貯水池の水門

ピースウィンズ・ジャパンは2011年より、帰還民たちも帰属する農民組合とともに、灌漑(かんがい)施設の修復とさまざまな農業設備・技術支援を行っています。1カ所の小規模貯水池と主要な用水路を再設計し、組合員自らが労働に携わって修復することにより、最大で約80万平方メートルの農地が復活します。

灌漑(かんがい)施設の修復により、農地に水が行き渡るようになるだけでなく、土地全体の緑化が進み、年間を通してより大きな水量を治水することのできる、災害に強い地域環境を再構築できます。

修繕後の堤防

また農業設備・技術支援として、米以外の野菜や有機栽培による生計向上を促進すると同時に、農作物を収穫した後の売り先まで確保し、労苦した農家自身が確実に収益を得るためのビジネストレーニングを行っています。

また、有機農業に関しては、スリランカでは首都圏コロンボのオーガニックのマーケットが最大規模ですが、そのマーケットへ上市できる認証を得るためのトレーニングと、査定を受けるまでの準備支援を併せて行っています。

農家が直接消費者に販売を試みる実践販売トレーニング

有機農家のタッキーハンさんは次のように話してくれました。

「2019年にピースウィンズ・ジャパンの有機農業支援事業に参加し、有機農業の技術を習得したことでオーガニック認証を取得できました。今では、完全に有機農業に転向し首都圏のコロンボにも有機野菜を出荷しています。

さらにビジネス・会計トレーニングを通じて、マーケット動向や天候を考慮した栽培・営農計画や会計記録の知識を得ることができ、農作物だけでなく野菜の苗の販売、有機堆肥の販売なども始めました。

そして、2021年度の優良農家賞の有機農家部門において2位を獲得したことで、政府関係者などの視察訪問や地元メディアでも取り上げられ、地域でも知られるようになりました。今後も皆さんのお手本となれるように有機農業と事業を続けていきたいと思います。」

タッキーハンさん
テレビ取材を受けるタッキーハンさん

ピースウィンズ・ジャパンはこれからも、スリランカの帰還民を含む元内戦地域の住民への支援を通し、農地の復興と人々の収入向上に貢献していきます。皆さまのご支援・ご協力をよろしくお願いいたします。

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プロジェクトオーナー

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認定特定非営利活動法人ピースウィンズ・ジャパン

認定NPO法人ピースウィンズ ・ジャパンは、日本に本部を置き、国内外で自然災害、あるいは紛争や貧困など人為的な要因による人道危機や生活の危機にさらされた人々を支援する国際協力NGOです。これまでに世界34の国と地域で活動してきました。
日本国内での社会問題の解決を目的とした活動にも力を入れており、地域活性化や犬や猫の殺処分ゼロを目指した動物の保護・譲渡活動などに取り組んでいます。
医療を軸とした災害緊急支援プロジェクト「空飛ぶ捜索医療団"ARROWS"」を運営し、国内外の災害被災地で支援活動を行っています。

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このプロジェクトでは1回3,000円以上の寄付から領収書の発行が可能です。
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