寄付受付開始日:2016/08/18
更新日:2016/08/09
東日本大震災で起きた大津波が河口を遡上(そじょう)したとされる北上川のほとりに「イシノマキ・ファーム」はあります。
仮設住宅や復興公営住宅に住む方々と、不登校やひきこもりの若者。
お互いにお互いの苦しさを、言葉で語らなくても協同で作業する中で、支え合い、ともに元気を取り戻していくソーシャルファームとして、長年使われていなかった休耕地を一から耕すところから、「イシノマキ・ファーム」の活動はスタートしました。
はじまりは不登校やひきこもりを経験して地域の中で閉じこもりがちだった数名の若者と一緒に、ニンジンの種を植えることから始めました。
土を耕し、芽が出ることを楽しみに、日々農作業を続けました。
みんな少しずつ外に出ることに慣れ、体力もついてきたところで、さらに活動を広げるために、農作業を一緒にやってくれる方を募集しました。
すると、仮設住宅に住んでいる方や復興公営住宅に移り住んだけれど、居場所がない、働きたいけど自信がないという方たちが集まってきて、「イシノマキ・ファーム」の活動に力を貸してくれました。
「イシノマキ・ファーム」の農業は、地元の農家さんを講師としてお呼びし、自然農法と有機農法のハイブリッドで生産しています。除草剤も殺虫剤も一切使わないので、夏は雑草が伸び放題で、それもすべて手作業で取っていきます。
真夏の炎天下も秋の大雨も、冬の木枯らしも、全てを体に受けて一生懸命手間暇かけて野菜作りをしてきました。
しんどい作業こそ、仲間がいると頑張れます。農作業は、役割を分けて、それぞれが力を合わせてやらないと成り立たない仕事です。
私たちはあえて手間暇かかる農法を取り入れて、体に優しい無農薬野菜を作るとともに、困難を抱えた若者と閉じこもりがちな被災者と地域の人々がともに協力し合って作業を行うきっかけづくりを行いました。
さとしさん(仮名)は震災直後から避難所暮らしを続け、やっと入居した仮設住宅では、最愛の奥さまを津波で亡くした寂しさと、すべてをなくしたこれからの生活の不安から、居てもたってもいられず毎日毎日お酒に手が伸びてしまっていました。
そんなある日、さとしさんのもとに訪問に来られた支援員さんから「イシノマキ・ファーム」に参加してみてはどうかとお話を聞き、少しでも前にすすめたらという思いで活動に参加してくれるようになりました。
震災後はお酒しか体が受け付けず、とても痩せた腕をされていました。
現在のその手は力強くたくましく、若者に優しく農作業のノウハウを教えてくれています。「昔はよく女房と畑やってたんだ。」と、少しずつ奥さまとの思い出をお話してくださるようにもなりました。
時々体調を崩されることもありますが、「イシノマキ・ファーム」では農作業の経験の少ない若者たちに雑草取りの仕方を丁寧に教えてくれる名人として、みんなに頼られています。
「イシノマキ・ファーム」には仮設住宅に住む方だけでなく、さまざまな困難を抱えながら地域で暮らしていく方法を模索している若者が参加しています。
“過去の不登校やひきこもりの経験から、人と関係を築くことに極端に臆病になってしまう”
“やりたいことや将来の夢が見つからなくて、自分の未来を前向きに考えられない”
といった様子です。
あさみさん(仮名)も、そうした若者の一人で、ユースサポートカレッジ石巻NOTEで、働くために必要なスキルトレーニングを受ける傍ら、過去に体調を崩して大学を中退した経験から、これから何を目標に生きていっていいのかわからず、日々将来について悩んでいました。
他の利用者さんに「イシノマキ・ファーム」の活動に誘われたある日、これまで体力仕事で大変そうだなと興味を持てなかった農業に、秋の涼しくなってきたある日思い切って挑戦してみることにしました。
あたたかい土の感触や草の優しい香りに触れて汗を流すたびに、こころの元気を取り戻していくのがわかりました。
冬にはみんなで大切に育てた大きな大根を収穫することができた時、うれしさと達成感にあふれた笑顔を見せてくれました。彼女は現在アルバイトに応募して働こうという意欲にあふれ、さらに「野菜のおいしさを世の中の人に知ってもらいたい」と野菜に関する資格を勉強中です。
人は誰しも、社会の中で役割を求めています。
「イシノマキ・ファーム」はひとりひとりが大事な役割を持って活動し、人と協力して生きていくために必要なコミュニケーションや体力をつけて前に進んでいくための学びが体験できるところでもあります。そして、はたらくことやまなぶことの意欲を取り戻し、支援へつなげることを目的としています。
私たちはここで、被災に負けずにさまざまな課題を抱えた方たちがもう一度元気を取り戻す場として「イシノマキ・ファーム」があり続けられたらと考えています。
現在参加された方々の中には、ふたたび学校に通えるようになった方、震災以前の体力を取り戻した方、新たにお仕事に就く気力を取り戻した方、そしてここでの農業の経験を生かして農業法人に就職された方など、こころとからだの元気を取り戻した方が出てきています。
「イシノマキ・ファーム」の活動をサポートしてくださるボランティア・スタッフの方々にも、思わぬ効果があらわれはじめています。
「震災後は嫌になるほどスコップ握ったけど、新たな畑作りにスコップが握れて良かった」
「仮設に住む方々が元気になるようにと思ったけど、私自身も一緒に土を触って作業をするうちに元気をもらったよ!」
これからも、「イシノマキ・ファーム」に来る方も、来る方をサポートする方も、関わる方々すべてが元気になれるソーシャルワームを目指していきたいというのが私たちの目標です。
今回、わたしたちの募金の目的は二つあります。
ひとつは、「イシノマキ・ファーム」を今後も持続可能なものにするため、品質の高い生産物を継続して生産できる環境を確保できるようにすることです。
そして、「イシノマキ・ファーム」では、本人たちがはたらく喜びを感じるため、作業に必要な工具をそろえると共に、活動に参加してくださった方へ作業日当を支給しようと考えています。
すこしでも活動の成果が本人の手元に渡ることや、経済的な事情があって農場に来ることができない方が交通費を得ることで活動に参加し、自信を取り戻し、よりスムーズな就労への接続が実現できるようになると考えています。
震災後、一度は何もなくなった荒地に、緑が生まれ、作物が育ち、小動物が集い、子どもから高齢者まで、さまざまな困難を抱えた被災者が、再び元気を取り戻して笑顔になれるストーリーが「イシノマキ・ファーム」で生まれています。
もう一度はたらく喜びを感じたい。
人とつながりたいと勇気を出して一歩を踏み出し、少しずつ彼らから出てきた「自立」の芽を育てていくのに、どうか力を貸してください。
皆様からの応援よろしくお願い致します。
更新日:2016/08/09
■イシノマキ・ファーム
地域の使われなくなった畑を利用して地域の住民参加型の農場。
仮設住宅や公営住宅にひきこもらず、さまざまな年代の方が地域で活躍できる場としての機能をもっています。
■イシノマキ・マルシェ
寒空の元でイシノマキ・ファームで収穫された野菜の販売体験。
どうやったら買ってもらえるかみんなで話し合い、ポップも手作りします。
前を通りかかった方に勇気を振り絞って声をかけたら、うれしそうに野菜を手に取ってもらえました。
■イシノマキ食堂
イシノマキ・ファームで収穫された野菜を使用した地域食堂。
農園で作っている野菜を地域の方々に振る舞い、その中で生まれる交流に期待しています。
その他の関連事業
■福祉サービス支援
■メンタルヘルス支援事業
■研究事業
■思春期・青年期の就学・就労支援
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