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  • 活動情報 2018年5月16日 更新

すべての子どもが「生まれてよかった」と思える社会に

宮城県の小中学校の不登校割合は、1,000人あたり17.6人と全国で1位になっています(2017年10月発表 文部科学省調査)
かねてより、子どもたちはさまざまな問題を潜在的に抱えていたと思われますが、「それが顕在化したのが、東日本大震災。それまで地域の力でどうにかなっていたものが、コミュニティーの崩壊によって支えきれなくなったんです」と、NPO法人TEDICの代表理事である門馬優さんは語ります。

TEDICは、2011年にスタートしたNPO法人。虐待、ネグレクト、経済的困窮、親の精神疾患、不登校など、さまざまな困難を抱えている子どもたちの支援を行っています。
その活動は、不登校の子どもへの拠点型・訪問型での自立支援、学校や地域と協働した居場所づくり、生活困窮世帯の子どもへの拠点型・訪問型での学習支援、困難を抱える子ども、若者へのアウトリーチ・相談・伴走支援など、支援が必要な子どものステージに合わせ、多岐に及びます。

「震災があって救われた」こんな言葉は、もう聞きたくない。

TEDICの始まりは、震災直後の避難所での学習支援でした。当時早稲田大学の学部を卒業し、大学院への進学が決まっていた門馬さんが、「生まれ故郷である石巻の子どもたちの役に立ちたい」と、学習支援のために仲間と避難所を訪れたことに端を発します。

「その時に出会った男の子が『震災があって救われた』と、私に言ったんです。彼は、お父さんがお母さんに暴力をふるう家に育ち、経済的にも困窮していた。自身も引きこもりになっていたけれど、誰にも助けを求めることができなかったんです。『震災によって自分は支援者と出会うことができた』という意味で、彼は救われたと言ったのですが、それは私にとっては衝撃でした」と、当時を振り返ります。

声を上げられずに必死に困難を耐えるしかない子どもたちの存在を知った門馬さんは、法人を立ち上げてしっかりとこの問題に取り組むことを決意します。
学校や児童相談所ではフォローできない個別の案件についての支援が、こうして始まりました。

「私も子どもに関わる仕事がしたい」卒業生が語った、将来の夢

TEDICでは石巻駅前に事務所を構え、市内のあちこちで居場所づくりや学習支援を行っていますが、「ここに来ることができるお子さんはほんの一握り」と、門馬さんは言います。支援を必要としている子どもたちの多くは、外に出ることや人に会うことを拒むからです。
そんな心を閉ざした子どもたちに対して、門馬さんをはじめとするTEDICのメンバーは、支援の拠点で待つだけではなく、各家庭や子どもたちがいる場所に自ら出向き、もつれた糸をほぐすように、働きかけていきます。「例えばゲームが好きな子なら、ゲームの話題から始めて一緒にプレーをする。大人が怖いという子には、手紙を書くことから始める……。いったん子どもたちの目線に立って、働きかけをします。とても道のりは長いし、何が正解か、どこが終わりかわからない。それでも、目の前で助けを必要としている子どもに背を向けることはできません」

子どもたちのもとに向かう門馬さん

強い意志をもって、子どもたちの支援を続けるTEDICのみなさん。そのモチベーションは何なのでしょう。「不登校から高校進学、大学進学を果たした子が『私も子どもに関わる仕事がしたいな』と言ってくれたり、引きこもりで家庭内暴力まで起こしていたが『将来独り暮らしがしたいから、仕事をするために高校に行く』と言ってくれたり…。子どもが「変わろう」と一歩踏み出す瞬間、それが、すごくうれしいんです」

(本文:ヤフー取材班)

“ひとりぼっち”がいないまち・石巻の取り組み

◆放課後・夜の居場所づくり 学習支援
市内の小学校や公民館を活用した地域の子どもたちが参加できる居場所です。ご飯を食べたり、一緒にボードゲームをしたり、雑談したり。塾や予備校、家庭教師のような学習支援ではなく、アットホームな"夜のおうち"のような雰囲気です。現在、石巻市で5カ所で実施しています。

◆民間運営のフリースクール ほっとスペース石巻
午前中から午後まで開所しているフリースクールです。自主学習をしたり、お昼ご飯を一緒に食べたり、ちょっと気持ちを休めたり、みんなと楽しく過ごすことも大切な時間です。様々な事情の中で、自宅や自室から出られない子どもたちところへの訪問活動(アウトリーチ)もしています。

◆地域でつくる夜の団らん 子ども食堂
地域の町内会、学校、社会福祉協議会と一緒に運営している子ども食堂。子どもたちはもちろん、地域の方も利用できる食堂です。一人で食べるより、みんなで食べる方が胃も心も満たされる。食べ終わった後の時間も、お楽しみな時間です。

寄付金の使いみち

みなさまからの寄付は、訪問支援、拠点の運営資金など、TEDICの事業全般の効果的な支援のために活用されます。

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