• ヨルダン北部の砂漠地帯に位置するザアタリ難民キャンプ

  • 概要
  • 活動情報 2017年5月15日 更新

長引くシリア危機、先の見えない不安が募る厳しい難民生活。砂漠地帯に位置するザアタリ難民キャンプで暮らすシリアの子どもたちは、間もなく夏休みを迎えます。

6万人のシリア難民が暮らせるようにと作られたヨルダン北部に位置するザアタリ難民キャンプ。敷地の中に、8万人近くが身を寄せ合って暮らしています。ザアタリ難民キャンプ内で生活をしている多くの子どもは、母国シリアで爆撃にさらされたり、家族や親せきを失い、隣国ヨルダンに逃れてきました。いつまで続くのかわからない避難生活や、先の見通しが立てられない不安が解消されない毎日は大人たちから余裕を奪い、その影響は子どもたちにまでおよびます。シリアからザアタリ難民キャンプに逃れた当初、さまざまなトラウマを抱える子どもたちが自分の気持ちを表現し、子どもらしく過ごすことが出来る場所は限られていました。

このような状況を受け、国境なき子どもたち(KnK)は2013年から、このザアタリ難民キャンプにある中学校において、「音楽」、「演劇」、「ストーリーライティング(作文)」の情操教育を主眼に置いた授業を始めました。キャンプという閉鎖的な生活の中、いつキャンプを出られるのか、シリアに戻れるのかわからない、先の見えない不安が募る難民生活の中で、KnKの授業という、自分を表現できる場所は、子どもたちにとって必要不可欠なものです。

3教科にはそれぞれの分野を専門とする教員がついています。中には生徒同様、キャンプ内で生活しているシリア人教員もいます。彼らは、生徒たちと同じ状況で暮らしているため、誰よりも、生徒たちを理解し対応できる存在です。また、シリア人の教員を雇うことは、キャンプ内での雇用の創出にもつながっています。

「演劇」の授業で故郷シリアへの想いを演じる少女たち

まずは、子どもたちが心の傷を癒やし、希望を育めるようにと開始したKnKの授業。昨今では、長期化するキャンプ生活において、子どもたちが「自分の将来像」をどう描くかが課題となっています。そんな子どもたちにKnKの教員は丁寧に寄り添い、活動を続けてきましたが、紛争が長引くにつれ、シリア難民支援が継続の危機に陥っています。

昨年は実施できたこれらのアクティビティが、2017年は公的機関からの助成金の減額の影響を受け、打ち切りの対象となってしまいました。日本の子どもたちが夏休みを楽しみにしているように、シリア人の子どもたちも夏休みを楽しみにしています。キャンプ内で暮らしている人たちは、キャンプの出入りが制限されており、家族で海や山に旅行に行ったり、キャンプの外の公園や遊べる場所に自由に出かけることができません。
KnKは2013年から継続して、公立学校での情操教育と、冬休み・夏休みの課外授業を行ってきました。特に夏は、2カ月もの間学校が休みとなるため、キャンプ内の家や家の近所でしか遊べない子どもたちにとって、KnKの課外授業は、友だちと会い、楽しく一緒に学ぶ貴重な場所となっています。

この夏も、課外授業を実施するには、あと150万円が必要です。
夏休みを楽しみにしている子どもたちに、今年の夏も課外授業を提供できるよう、皆さまのご理解とご支援をお願いいたします。

炎天下、給水タンクに集まる子どもたち

故郷を逃れ、キャンプで避難生活を続けるシリアの子どもたちを、歌や演劇の授業で支援

音楽や演劇の授業において、生徒たちの多くは、歌ったり詩を朗読したりしますが、それはたいてい、彼らの母国であるシリアに関するものです。以前、演劇のクラスで、すばらしい美声の持ち主である当時5年生の生徒が、故郷に焦がれて傷ついているシリアの人々の歌を歌ってくれました。
その歌の中の、「敵が、私たちの家を、モスクを破壊してしまった今、イスラムの仲間たちはどこにいってしまったのだろう」というフレーズにさしかかると、彼女の声は震え始め、ついにその顔に涙が伝い始めました。
歌が終わり、他の生徒たちが拍手をし始めたときの彼女の笑顔は、とても言葉では言い表すことができません。こんなに悲しい歌を、まだあどけない少女が歌っているのです。その様子を見ていたシリア人スタッフは、胸が張り裂ける思いだったそうです。
しかし、これが彼らの現実です。実際に起こっていることから目を背け、何も起こっていないようなふりをすることは、私たちにはできません。この少女が、どのくらいの間、この感情を秘めていたのかは、誰にも分かりません。しかし、子どもたちの自己表現のためにKnKの授業の中で、彼女は、自分の気持ちをすべて吐き出すことができたのです。

歌でシリアに思いをはせる

KnKの行う情操教育には「ストーリーライティング(作文)」の授業もあります。担当教師は、授業中に気をつけていることをこう語ります。
「彼らは厳しいキャンプ内での生活で、少しでも心落ち着ける場が必要なのだと感じています。『学びたい』という生徒たちの意欲に応えられるよう、また、『安心・リラックスできる場所』を提供できるように授業を構成しています。

授業で取り上げるトピックは、(1)幸せな物語、(2)コミュニティ内での生活、(3)信頼です。幸せな物語を採り上げることで生徒たちがリラックスできるようにしています。生徒たちが勇気と希望を持ち、自分を信じて将来への道を進めるようにという願いを込めてこのトピックを挙げています。こうして、授業に参加している生徒たちが、ストーリーライティング(作文)の授業を通じて、さまざまな能力を伸ばせるように工夫しています」
ぜひこの夏も、シリア難民の子どもたちに「音楽」や「演劇」などの課外活動を提供できるよう、皆さまのご支援をよろしくお願いいたします。

作文を発表する少女
先生が演奏する太鼓のリズムに合わせて、元気いっぱいに歌い、表現している生徒を見ていると、こちらも元気になってきます。

寄付金の使いみち

ヨルダン北部にあるザアタリ難民キャンプで中学校2校の夏休みの課外活動として、シリア難民の子どもたち(7~16歳)約280人に対し、情操教育をメインとした課外授業を提供します。

【支援により得られる効果】
1. 難民キャンプ内で、学校でクラスメイトと過ごせる時間は子どもたちにとって貴重な「楽しい時間」です。シリアから逃れてきた子どもたちへ、楽しく安心できる居場所を提供し、心身の健全な成長を促進します。
2. 夏休みも継続して学校での活動に参加することで9月からの新学期の通学に対するモチベーションを高めます。

この夏も、課外授業を実施するには、あと150万円が必要です。
夏休みを楽しみにしている子どもたちに、今年の夏も課外授業を提供できるよう、皆さまのご理解とご支援をお願いいたします。
http://knk.or.jp/special/sp170512/