寄付受付開始日:2015/11/11
更新日:2023/06/01
ヨルダン北部にあるザアタリ難民キャンプは、シリアの紛争によって難民となった方々が暮らしており、2022年7月に開設より10年を迎えます。母国を離れ、長く避難生活をおくる中で、シリアの子どもたちは学習の遅れが目立ち、近年はコロナ禍の影響もあり、放っておけば通学を諦めてしまいます。
難民キャンプに暮す子どもたちにとって、自分たちの親から垣間みる現実は、決して豊かな、自由なものではありません。国境なき子どもたち(KnK)が2013年より9年以上支援事業を継続する中で、夢について語る子どもたちの多くが身近な人々の姿しか参考にできず、将来像を大きく描けなくなっていることを痛感してきました。
勉強する意義を見いだせなくてもおかしくない子どもたちが、何かに向かって生きたいと思えるよう、音楽や演劇、作文の授業やキャリア教育の授業を通して、子どもたちに身近な問題を体感してもらい学ぶ機会を提供しています。
KnKがザアタリ難民キャンプ、公立学校の中で授業を実施している大きな目標のひとつは、子どもたちが公教育に留まり、学業を全うできるようにすることです。キャンプ内の公立校はヨルダン政府が運営していますが、教員の養成が追いついていません。子どもたちの心のケアまで目を向けられない先生や、体罰に訴える先生もいます。
KnKの教員控室には、一方的にしかられて言い分を聞いてもらえなかったり、コロナ禍増加している家庭内暴力など複雑な家庭の事情を抱えた子が来ては話をし、心を落ちつかせる場所となっています。
子どもたちにとって、親とは別に、話を聞いたり刺激を与えたりする大人の存在は必要です。KnKの授業は彼らの「生きる力」を育むところであり、大切な居場所となっています。
コロナ禍、日常が少しずつ戻りつつありますが、難民キャンプでは依然として厳しい状況が続いています。子どもたちにKnKの授業を長く届けるべく、ぜひご支援をお願いいたします。
シリア隣国ヨルダン北部にあるザアタリ難民キャンプ内の学校で、5年生~10年生の約1,000人の子どもを対象に、公教育への継続した就学を確保するため、音楽、演劇、作文を通して、アラビア語の基礎学習、学校生活を送る上でのコミュニケーションの習得や生活態度の改善、子どもたちを取り巻く課題についてディスカッションするといった特別授業を提供します。
■ヨルダン/シリア難民支援(活動報告)
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更新日:2023/06/01
ヨルダンでは、1年半の学校閉鎖を経て、2021年9月の新学期より、対面教育に戻っています。教室には、学校再開を待ちわびた子どもたちのにぎやかな声が戻り、KnKの先生たちも張り切って対面授業に臨んでいますが、コロナ禍の学校再開で見えてきた課題もあります。
キャンプ内の学校の子どもたちの多くは、もともと学習に遅れを取っていたため、対面教育の再開前から、オンライン教育による学力低下が懸念されており、特に学習すべての基礎となるアラビア語の学習や理解度に遅れの見られる生徒が多くいました。そのため、今までの授業経験を生かし、演劇、音楽、作文などの情操教育を通じた正則アラビア語の学習に重点を置き、文法、語彙(ごい)などを、生徒が積極的に参加できる方法で授業を実施しています。
さらに、オンライン教育についていけなかったことによる学習意欲の低下やコロナ禍による経済状況の悪化で10代半ばから早期結婚を選択する女子が以前より多く見られるようになりました。この状況を受け、KnKの授業では子育てした後に大学に入り直した女性を先生として迎え、講和や話し合いなどをしてきました。
ですが、早期結婚は女性側だけで解決できる問題ではないため、男子の授業でも早期結婚を題材として扱ったところ、「以前お姉ちゃんに同じような話がきた」「自分の妹がそうなったらかわいそう」などの声が聞かれ、男子生徒もまた、自分や自分の大切な人たちにつなげて、このテーマを真剣に考える機会となっています。
少しずつ、以前の日常が戻ってきていますが、コロナ禍の影響により顕著になった課題に対し、学習に取り組む姿勢作りから就学の継続まで、個別の生徒のサポートを含め、学習環境を改めて整備していくことが求められています。
【参考】裨益(ひえき)者数(2021年実績)
・女子 5年生~10年生
1月から8月(遠隔授業)71名、9月から12月(対面授業)653名
・男子 5年生~8年生
1月から8月(遠隔授業)65名、9月から12月(対面授業)446名
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国境なき子どもたち(KnK)は、1997年に日本で設立された国際協力NGOです。「国境を越えてすべての子どもに教育と友情を」というビジョンのもと、現在はアジアや中東地域など計7カ国(地域)において、困難な状況にある子どもたちの教育支援を行っています。
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