• バングラデシュに逃れた80万人以上のロヒンギャ難民たちが過ごす難民キャンプで、地域保健員に手を引かれるルマナちゃん[2才](C)UNICEF/UN0219085/MODOLA

  • 概要
  • 活動情報 2019年4月19日 更新

ミャンマーで激化した暴力から逃れるために、少数民族のロヒンギャの人々が隣国のバングラデシュに逃れてから1年半。68万人の子どもを含む120万人が支援を必要としています。

多くの人々が何日もかけて悪路を歩きつづけ、粗末な筏(いかだ)やボートなどで国境をわたってきています。バングラデシュにたどり着いても彼らの戦いは終わったわけではなく、十分な住居スペースがなく雨風にさらされる人もいれば、トラウマや忘れられない傷を抱えた人、疲弊していたり、病気や飢えに苦しんだり、と多くの人たちがケアを必要としています。

ミャンマーから船でバングラデシュにたどり着いたロヒンギャ難民(C)UNICEF/UN0119963/Brown

2017年8月以降にバングラデシュに逃れた人々のうち55%が18歳未満の子どもで、52%が女性で、4%は障がいのある人だという報告もあり、避難する人々の半数はさまざまな場面で脆弱(ぜいじゃく)な立場に立たされ、とりわけ守られる必要があります。保護者を伴っていない子どもは人身売買や児童婚などの危険が高まります。また、ジェンダーに基づく暴力も起きており、女性の57%、女の子の23%がトイレを使用する際に身の危険を感じています。さらに、39%の子どもと97%の青少年が教育の機会を得ることができずにいます。

ミャンマーから船でバングラデシュにたどり着いたロヒンギャ難民(C)UNICEF/UN0136202/LeMoyne

バングラデシュはサイクロンやモンスーンによる洪水の危険も高く、国民の6割が危険を抱えている上に、コックスバザールなどの沿岸地域はそのリスクがさらに高く、なかでも仮設住宅等で暮らす難民たちは、さらに生活の脆弱(ぜいじゃく)性が高くなります。2018年12月には水疱瘡(みずぼうそう)の感染も確認されており、1カ月で1万件以上の症例が報告されています。ユニセフはWHOとともに感染の拡大を防ぐため、住民への啓発活動を行っていますが、過密するキャンプ内ではコレラなどの感染症の蔓延(まんえん)のリスクが常にあります。

堤防からあふれる水をせき止めようとする子どもたち(C)UNICEF/UN0216986/LeMoyne
ユニセフが支援する保健センターで栄養不良の検査を受けるアティカちゃん[10カ月](C)UNICEF/UN0148012/Knowles-Coursin

ユニセフは、支援を必要とする68万人の子どもを含む120万人へ緊急支援活動を行うための資金として、国際社会に1億5,250万米ドル(169億2,750万円 ※1米ドル111円で計算)を国際社会に要請しています。最も支援を必要としている子どもたちとその家族に支援を届けるために、ロヒンギャ難民緊急募金にご協力をお願いいたします。

ロヒンギャ難民危機発生から1年半
ユニセフ事務局長コックスバザール訪問 無国籍のロヒンギャの子ども50万人が人身売買や麻薬密売の標的に教育と職業訓練の機会提供急務

【2019年2月27日  ダッカ(バングラデシュ)発】
バングラデシュ南部のコックスバザール地区に暮らす50万人のロヒンギャの子どもたちは国籍を持たない難民で、自らの将来への不安を募らせ、焦燥感や絶望感を抱えています。
バングラデシュ政府が国際社会の支援を得て進めている大規模な人道支援は、多くの子どもたちの命を守っています。世界で最も大きく、最も過密している難民居住区に暮らすロヒンギャの子どもたちの状況に解決の兆しはありません。圧倒的多数は2017年8月にミャンマーからバングラデシュに逃れることを余儀なくされました。

ミャンマーでは、ロヒンギャの人々の多くが法的な身分証明や国籍を取得できていません。バングラデシュで生まれた子どもたちは出生登録されず、法的身分も難民の地位も持っていません。 ミャンマーの状況が改善され、帰還が可能になるまで、ロヒンギャの子どもたちは無国籍の少数派であり続けます。そのために、子どもたちは公式な教育カリキュラムを学ぶ機会を与えられず、市場で働くための技術スキルの習得を切実に必要としています。

「国際社会に課せられた責任はとても重いものです。世界が『無国籍者』と定義した子どもや若者に、彼らが人並の生活を営むための教育と技術スキルを与えなければなりません」と2月25日と26日に国連事務総長人道担当特使アハメド・アルメライキ(Ahmed Al Meraikhi)と共にコックスバザールを訪問したユニセフ(国連児童基金)事務局長ヘンリエッタ・フォアは述べました。

学習センターを訪問し、子どもたちと触れ合うヘンリエッタ・フォア事務局長。(C)UNICEF/UN0284214/LeMoyne

2018年12月に終了した調査結果によると、4歳から14歳のロヒンギャの子どもたち18万人が、コックスバザールの「学習センター」に通っており、教育の必要性の高さがわかります。学習到達度にたっした子どもの割合は1年生から2年生で90%以上ですが、3年生から5年生では4%、6年生から8年生では3%のみとなっています。15歳から24歳のロヒンギャの若者で何らかの教育または職業訓練を受けているのはわずかに3%です。

「私たちは今、今の世代のロヒンギャの子どもたちが、現在の生活を改善し、彼らが帰国できたときにミャンマーの社会構造の再構築において建設的な役割を果たせるようにするために、協力して投資することに合意しなければなりません」とアルメライキは述べました。「今も、法的身分のない子どもたちは、人身売買や麻薬密売の標的にされているのです」

4、5年生レベルのクラスで勉強する女の子たち。(C)UNICEF/UN0284179/LeMoyne

ユニセフは現在、4歳から14歳の子どもたち15万5,000人に対して、より質の高い、より構成された学習と技術習得を含めた学習プログラムを提供しています。2019年の優先課題は、年長の若者たちが基礎的な読み書きと算数および適切な職業技術を身に着けられるようにすることです。また、バングラデシュで最も貧しい地区のひとつであるコックスバザールの受け入れ地域にもこれまで以上に重点的に支援をしていきます。

「私たちがしていることは大変重要なことですが、彼らが必要としていることがバケツ1杯の水だとしたら、そのほんの一滴にすぎません」とフォアは言います。「ロヒンギャの子どもと若者の一世代が、彼らの生活を支える教育や技術スキルを持たずに放置されてはなりません。彼らが自力で生きていけるようになれば、彼らが暮らすコミュニティーも自立でき豊かになることが出来るのです。正しい投資によって、ロヒンギャの人々は地域にとっても世界にとっても資産となり得るのです」

ユニセフ・バングラデシュ事務所は2019年に、68万5,000人のロヒンギャ難民と受け入れコミュニティーの住民に対して彼らが切実に必要とする支援を提供するために1億5,200万米ドルを必要としています。2月時点で、得られた資金はその29%に止まっています。

寄付金の使いみち

ユニセフは危機の発生以来、現地スタッフを大幅に増員し、予防接種や栄養治療、給水支援、トイレの建設、巡回診療など、持てる力のすべてを投じて子どもたちの命を守り続けています。

2018年、ユニセフは120万人以上に支援を届けました。38万人が安全な飲み水を手に入れ、2万人の5歳未満の子どもが急性栄養不良の治療を受けました。123万5,475人の子どもが経口コレラワクチンの予防接種を受けました。4-14歳のロヒンギャの子どもたちの半数以上は非正規教育の機会を得ることが出来、4,028人の教員を研修することで、14万5,209人に教育の機会を提供しました。ユニセフは子どもたちとその家族への支援活動を拡大しています。

ユニセフは2019年、以下を目標に、すべての子どもが守られ、権利を享受できるよう、水と衛生、保健、栄養、教育、子どもの保護や開発のためのコミュニケーション(C4D)などを通じた行動変容や政府との連携に取り組みます。

【栄養】
2万4,500人の5歳未満の子どもに急性栄養不良の治療を提供する。
19万1,074人の生後6-59カ月の子どもにビタミンAを投与する。
【保健】
10万5,152人の生後0~11カ月の子どもに5価ワクチン(ジフテリア、百日咳(ひゃくにちせき)、破傷風、インフルエンザ、 およびB型肝炎を予防)を3回接種する。
3,200人の病気の新生児を治療する。
【水と衛生】
55万人が国内の基準を満たす安全な水を利用する事ができる。
55万人が基準を満たす衛生的なトイレを利用する事ができる。
【子どもの保護とジェンダーに基づく暴力】
青少年を含む16万人の子どもが心理社会サポートを受ける。
4万6,930人の青少年がライフスキル教育を受ける。
2万7,000人の女性と青年期の女の子がジェンダーに基づく暴力の予防と対応のサービスを受ける。
【教育】
27万2,000人の4-14歳の子どもが乳幼児期の子どもの教育を含め、教育を受ける。
15-18歳の5万2,000人の青少年がライフスキルを学び、学習、雇用やエンパワーメントの向上について学ぶ。
危機下にあるロヒンギャ難民の子どもたちと家族に、人道支援活動を届けるユニセフの活動を支えるため、みなさまのあたたかいご支援をお願い申しあげます。

■3,000円のご支援で子どもの免疫力を高めて病気にかかりにくくするビタミンA 1,500人(1年間)分に変わります。
■5,000円のご支援で袋から出してすぐに食べられる高カロリーの栄養治療食151袋に変わります。
■10,000円のご支援で命を奪う主な病気のひとつ、はしかから子どもを守る予防接種ワクチン285回分に変わります。
■30,000円のご支援で水容器、浄水剤、石けん、歯ブラシ、生理用ナプキンが入っている「家庭用の水と衛生・尊厳回復キット」5家族分に変わります。
■50,000円のご支援で緊急下でも授業が開けるよう生徒40人分の教材が入った「箱の中の学校」2セットに変わります。