寄付受付開始日:2021/11/02
更新日:2024/07/23
カンボジアでは1970年代ポル・ポト独裁政権時代、医師や教師など知識層の多くが殺害され、保健や教育など社会サービスの基盤が壊滅的に破壊されました。復興には多くの国際的支援を受け、近年は著しい経済成長を遂げています。しかし農村部は取り残され、都市部との格差が広がっています。農村部では経済的な問題で朝食をとれずに登校する子どもたちが少なくありません。
おなかを空かせて出席しても授業に集中できず、勉強が身につかないので進級試験に合格できないまま中途退学してしまいます。それが初等教育の修了率向上を阻む要因のひとつとなっていました。
プランは子どもたちの学習効率を上げ、初等教育の修了率を向上させるため、2013年から世界食糧計画(WFP)と連携して3州の学校に給食を導入する取り組みを行いました。調理室や給水設備、学校菜園の整備をはじめ、調理や食材管理、運営についてトレーニングを行って345校に給食を定着させ、貧困世帯への食料支給を続けた結果、修了率を向上させることができました。
今回のプロジェクトでは、さらに学校給食や菜園の導入校を広げるほか、給食が確実に継続されていくように現地政府への支援に力を入れます。同時に男性優位の考え方が残るこの地域で教師やコミュニティーリーダー対象の研修を通してジェンダー平等を促進し、女の子や女性がより能力を発揮できる地域づくりを支援します。
●支援策
・学校給食の導入、運営支援(221校)
・学校菜園の導入、運営支援(600カ所)
・給水設備の設置(20校)
・燃料節約型かまど付き調理室の建設、整備(150校)
・教師対象ジェンダートレーニング(330人)
・現地教育省への引継ぎ
●支援対象者
対象校の生徒のべ約17万8,000人、保護者、教師
●目指す成果
学校給食が確実に運営されるように必要な設備の整備と運営ノウハウのトレーニングを合わせて行います。事業終了後も地域の人々が力を合わせて安定的に給食を継続していくため食材調達メカニズム構築や予算確保のための調整において学校や現地政府を支援します。
また、教師対象のトレーニングを通してジェンダー平等を促進し、学校や家庭で女の子がより能力を発揮していける環境づくりを目指します。
更新日:2024/07/23
2023年10月にプロジェクトの最終フェーズとなる3年間の活動を開始し、学校の能力強化や、支援を州や郡行政へ引き継ぐための取り組みを進めています。プロジェクト名にある通り、学校給食を定着させ、外部からの支援なしで継続させていくためには、地域の一人ひとりがその重要性を理解し、協力していかなければなりません。そのために効果的なのは、啓発イベントです。
栄養について学ぶ「栄養デー」のイベント
カンボジアでは、政府が11月6日を「栄養デー」と定めて、食料安全保障や栄養に関する啓発を行っています。2023年10月26日、栄養デーに先駆けて、生徒たちが心待ちにしていたイベントが、プロジェクト対象校269校で開催されました。当日は、保護者や校長、給食の調理係も学校に招かれました。
栄養について学んだことを生徒が発表したほか、食べ物が描かれたカードのなかから、体によいもの、悪いもの、タンパク質が含まれているものなどを選んで当てるゲームなども行いました。
参加した全員で食事をし、楽しく学ぶ時間を過ごしました。イベントに参加した人数は合計2万4,989人(うち女性9,403人)に上り、多くの参加者から、「毎年開催してほしい」という声が寄せられました。イベントにかかる費用は100校分をプランが、残りの学校分はWFP(世界食糧計画)が支援しました。
水の大切さや管理方法を学ぶ「世界水の日」イベント
3月22日は、水の大切さを伝えるために国連が定めた「世界水の日」です。毎年、世界各地で啓発活動が開催されています。2024年のテーマは「平和のための水」。プランは、カンボジア農村開発省と教育スポーツ省と連携して、プロジェクトの対象校から選定された50校でイベントを開催しました。イベントには、保護者や近隣住民8,029人(うち女性4,753人)が参加し、水の適切な保管方法や水源の保護について学びました。
参加者の理解度を測るためにクイズの時間も設け、閉会の際には「家族や地域みんなのために水を大切に使おう」と書かれた横断幕に参加者の代表が署名して、責任ある行動を誓いました。
このようなイベントの企画や実施は、生徒をはじめ、学校給食に関わる多くの人々を巻き込んで行われています。3年後のプロジェクト完了に向けて、地域の人々が学校給食の運営を主導していけるように、これからも多岐にわたるトレーニングやイベントが計画されています。今後の報告にもご期待ください。
カンボジアの農村地域で栄養・水の大切さを学ぶイベントを開催~地域主導型の小学校給食プロジェクト~
新型コロナウイルス感染症拡大の影響で長きにわたって給食の提供が中断されていましたが、今期は全対象校で給食が再開され、支援からの自立に向けて本格的に動き出しました。
自立した給食運営にむけて、学校がまず実現しなければならないのは食材の確保です。今期は、学校菜園の収穫量を増やすため、農業省から専門家を招いて栽培技術のトレーニングを行いました。
まずは教師を対象に、土の準備、苗の種類によって異なる育成のサイクル、摘果や水やりの頻度、ペットボトルや古いタイヤの活用法など、幅広い内容を指導しました。
その後は教師たちが、学んだことを生徒たちに段階を踏んで伝えていきました。生徒が使いやすい鍬(くわ)やシャベル、野菜の種、肥料を支給したほか、教師と生徒それぞれにジェンダートレーニングを実施しました。女の子と男の子が話し合い、性別に関係なく役割分担をして、空心菜やナス、ゴーヤー、レモングラスなどのハーブを協力し合って育てました。
学校菜園は、食材の供給のみならず、環境教育やジェンダー平等を実践する場にもなっています。
現地の声: マークさん(11歳、小学校3年生)
マークさんが通っているのは児童数432人の大きな小学校で、米と植物油以外の食材を学校で自給しています。学校菜園では26種類の野菜を育て、卵や豚肉や魚は地元の業者から調達しています。マークさんは小児まひの影響で足に障害があり、他の子どもたちと同じように歩くことはできません。担任の教師は彼を気にかけ、学校菜園での活動に参加することを勧め、励ましています。
「遊びも授業も学校菜園の活動も、友だちと一緒だから楽しいです。皆親切で、足のことで差別されたり、笑いものにされたりしたことはありません。僕の家は学校から6キロも離れているけれど、勉強も給食も大好きだから毎日遅れずに学校に来ています」
2022年7月~2023年6月主な活動の成果
■活動地域:シェムリアップ州
■主な支援内容と対象:
・学校菜園の導入・運営支援(268校)
・教師対象の学校菜園トレーニング(13回)
・対象校が自給した食材(2万6,548ドル相当分)
・対象校が給食運営のために集めた資金(1,479ドル)
・男女別トイレの建設(8校、うち3校はスロープ付き)
・教師へのジェンダートレーニング実施(1,332人)
【経過報告】カンボジア「地域主導型の小学校給食」プロジェクト
このプロジェクトでは、貧しい農村地域の小学校への食材の供給や人材育成を通じて、学校給食の運営を定着させてきました。コロナ禍で長期にわたり学校が閉鎖されましたが、現在は通常の授業とともに、給食の提供も再開しています。
地域主導による学校給食の運営にむけて
学校給食の運営・継続には、さまざまな準備が必要です。プロジェクトの一環として支援してきたインフラ整備や食材の供給、倉庫係や調理人への給与の支払いは、学校菜園の導入も支援しながら、徐々に運営の主体をプランから地域に委ねていく段階に入っています。
各学校が自力で食材調達をできるように
これまで給食用の食材は、プロジェクトのなかで提供されてきました。学校菜園の導入によって給食のメニューが増え、栄養バランスもさらに良くなっています。次なる目標は、学校自らが食材を調達できるようになること。これは、学校にとっては、コミュニティー全体を巻き込む一大事業です。プランは対象校から117校を選定し、各校が米やタンパク源となる食材を自力で調達できるようにするための指導を行いました。
給食費用は学校と地元政府が負担
プランから地域への活動主体移管に向けて、すべての費用を学校と地元政府が担い、給食を安定して提供し続けていけるよう各種の準備を進めています。プロジェクト開始当初から連携を密に活動してきた地元政府は、各学校に補助金を交付することを明文化する手続きをしています。
今後の学校、学校を取り巻くコミュニティー、地元政府、それぞれの変化にご注目ください。引き続き皆さまの温かいご支援をどうぞよろしくお願いいたします。
【経過報告】カンボジアの学校が踏み出した自立への一歩~地域主導型の小学校給食プロジェクト~
新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、カンボジアでは、2020年半ばにすべての学校が休校になりました。プランは学校関係者やWFPなどと連携し、子どもたちの健康を守るとともに、工夫しながら活動をすすめました。
貧困家庭への食料支給を実施
対象地域では、休校中に給食の提供がありません。子どもたちの日々の栄養を学校給食に頼っていた貧困世帯にとって、深刻な事態です。
プランは約9,000世帯を対象に食料(米、豆、植物油、魚の缶詰など)の支給を行いました。配布場所ではマスク着用を義務付け、ソーシャルディスタンスを保つなど、感染予防を徹底しました。
教師たちをオンライン研修でサポート
教育省は休校中に公立学校の授業をすべてオンライン化しました。しかし、プランが活動する農村地域には、オンライン授業を受けるために必要なパソコンやタブレットを持っている子どもたちはほとんどいません。
そのため、教師が毎週全生徒の家庭を訪問して宿題を届け、自習を促す取り組みが続けられました。教師にとって大変な労力を要することですが、教育への熱意と、プロジェクト参加への意欲はコロナ禍以前と変わりません。
コロナ禍で、教師対象の学校菜園管理やジェンダー平等促進のトレーニングは、対面では実施できなくなりました。校長や教師と相談し、すべてのトレーニングをオンラインで実施しました。
休校中にインフラ整備に注力
休校中の唯一のメリットは、授業を妨げることなくインフラ整備をすすめられることです。普段の建設工事は、授業の邪魔にならないように、週末や夏休みに集中して行っています。
しかし休校中は、外出禁止期間を除けば、学校と連携して計画的に工事を進めることができます。感染予防対策を講じたうえで、プランの職員が校長や教師と一緒に定期的に学校を訪れ、調理室や燃料節約型かまど、トイレなどの建設の進捗(しんちょく)を確認しました。
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国際NGOプラン・インターナショナルは、誰もが平等で公正な世界を実現するために、子どもや若者、さまざまなステークホルダーとともに活動しています。子どもや女の子たちが直面している不平等を生む原因を明らかにし、その解決にむけ取り組んでいます。子どもたちが生まれてから大人になるまで寄り添い、自らの力で困難や逆境を乗り越えることができるよう支援します。
このプロジェクトでは領収書の発行をおこなっておりません。
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