市民による知恵や工夫のつまった87の「プロジェクト未来遺産」を登録

【これまでの実績】（2025年3月1日時点）
2009年の開始からこれまでの16年間に、全国41都道府県で87の市民による保全・継承活動を「プロジェクト未来遺産」として登録してきました。登録時には、各プロジェクトに対して、20万円の活動応援金を贈呈し、そのほかに企業の社会貢献活動との連携、東日本大震災やコロナ禍など有事の際の支援を実施してきました。

全国87の「プロジェクト未来遺産」では、学校等と連携した民俗芸能の継承、伝統的な町並みや町家の保全・活用、里山の保全と持続可能な利用など、知恵や工夫のつまった多様な市民活動が展開されています。各プロジェクトの活動内容はこちらをご覧ください。

2024年度は、全国から32件の応募があり、有識者やメディア関係者等から構成される未来遺産委員会にて厳正な選考を行い、4件のプロジェクトの登録が決定しました。

近年登録された「プロジェクト未来遺産」の中から、特に子どもたちへの継承に力を注いでいるプロジェクトをご紹介します。

◆小鹿野歌舞伎継承プロジェクト（小鹿野歌舞伎保存会/埼玉県秩父郡小鹿野町）
【2024年度登録】
200年以上、地域の住民によって継承されてきた小鹿野歌舞伎。町内の子どもたちが参加する「子ども歌舞伎」をはじめ、地元の小中学校での指導を通じて、次世代への継承を進めています。

◆「五島に残る玉之浦神楽～子どもたちへの伝承プロジェクト～」（白鳥神社神楽保存会/長崎県五島市）
【2023年度登録】
玉之浦神楽は、400年以上にわたり五島列島に伝承されてきた五島神楽の一つ。地区の高齢化と人口減少に直面する中、子どもたちが神楽に触れられる機会を整え、継承を進めています。

◆「標津遺跡群の魅力世界発信プロジェクト」（NPO法人自然・文化遺産保存活用ネット/北海道標津町）
【2024年登録】
標津遺跡は、一万年にわたる生活の痕跡を伝える日本最大規模の竪穴（たてあな）住居跡群です。約4,400の住居跡が残り、そのうち100以上の住居跡の整備と周辺環境の保護・継承を目指しています。

◆「三石灯りの街～子どもたちと伝える耐火煉瓦（れんが）で栄えたまちの記憶～」（Mプロジェクト協議会/岡山県備前市）
【2022年度登録】
耐火煉瓦（れんが）産業で栄えた三石地区。約5,000個のキャンドルの灯りで特色ある近代建築群を浮かび上がらせる「三石灯りのまち」というイベントの実施を通じて、新たな町の価値を再発見し継承しています。

◆源流大学～知識だけでなく、生きた知恵を次世代へ～（特定非営利活動法人　多摩源流こすげ/山梨県小菅村）
【2022年登録】
多摩川の源流部に位置する小菅村。行政や大学、地域住民などの協働により、体験を通じた学びの場として開始された「源流大学」。この地域の「生きた知恵」と「技」を伝え、源流資源の保全、地域活性化を進めています。