寄付受付開始日:2017/11/08
更新日:2024/08/28
ミャンマーから逃れたロヒンギャ難民が暮らすバングラデシュ南東部のコックスバザール県。約100万人が避難生活を強いられ、帰還のめどは立っていません。同県の難民キャンプ地では、特に女性や子どもがさまざまな不安と隣り合わせの状態が続いています。
2017年8月に大規模な避難があり、AAR Japan[難民を助ける会]は同年10月より難民支援を開始。当初は衛生用品や毛布などの緊急支援物資を配布、その後は井戸やトイレ、水浴び場など衛生設備の設置・維持管理を行ってきました。
避難生活が長期化するなか、人身売買やレイプなどの被害が後を絶たず、女性や子どもの保護が喫緊の課題になっています。AARは、チャイルドフレンドリースペース(CFS)とウーマンフレンドリースペース(WFS)を設置し、手工芸などの創作活動や読み書きなどの基礎教育の機会を提供しました。両施設に心理カウンセラーやボランティアを配置し、家庭内暴力や性犯罪に遭った方々への心理的なサポートも実施してきました。
いまだ先の見通しのつかない難民の方々が少しでも安心して暮らせるように、どうか募金にご協力をお願いいたします。
※井戸やトイレなどの水衛生事業は21年3月に終了しました。女性のための施設は支援団体に移管し、2023年度からは子どもの活動施設を国際NGO「Terre des hommes」(本部スイス)に引継ぎ、子どもや若者たちのための多目的施設を運営します。施設は今後、女性と子どもだけでなく、これまで総じて支援が少なかった若者(10代男性)へのサポートを含めて、より幅広い層が参画する多目的施設として活用されます。
※名称表記を「ミャンマー避難民」から「ロヒンギャ難民」へ変更いたしました。(9/15更新)
ご寄付はロヒンギャ難民支援活動のために大切に活用させていただきます。
・子ども、若者、女性たちのための多目的施設の運営など
最新の活動情報は随時AAR公式ウェブサイトで更新してまいります。ぜひご覧ください。
※支援内容の変化に伴い、使途の表現を変更しています。(2023年4月)
#ロヒンギャ難民支援
更新日:2024/08/28
バングラデシュ・ロヒンギャ難民キャンプからの報告
ミャンマー西部ラカイン州で2017年8月、イスラム少数民族ロヒンギャが国軍・治安部隊の武力弾圧を受けて、70万人余りが隣国バングラデシュに流入してから7年。累計100万人超のロヒンギャ難民は祖国に帰還できる見込みもないまま、世界から忘れられつつあります。
現在、難民キャンプは閉そく感に包まれています。2021年2月の国軍による軍事クーデターは、民主化の流れを断ち切り、ミャンマーを内戦状態に陥らせました。ロヒンギャの居住地域であるラカイン州北部の情勢も悪化しています。
祖国に帰還できる見込みがない状況で、バングラデシュ政府はなし崩しの同化や国籍・居住権を認めず、同国の国民感情も悪化の一途をたどっています。2020年以降は、ベンガル湾のバシャンチャール島に造成された10万人規模の収容施設への難民の移送が進められています。
絶望的な状況が広がるなか、一部の難民が密航業者の手引きでキャンプを抜け出し、ロヒンギャに割合同情的なインドネシアへ粗末な木造船で渡航を試みる事態が相次いでいます。インドネシアのスマトラ島北部アチェ州への密航が国際問題になるなか、今年(2024年)3月には約150人の難民が乗った船がアチェ沖で沈没し、多数が死亡する大惨事も起きています。
AAR Japanは、厳しい状況下にある難民の女性や子ども、青少年を精神面でサポートしようと、国際NGO「Terre des hommes」(本部スイス)と連携し、難民キャンプで女性や子どものために開設した多目的施設を共同運営しています。
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難民が集う多目的施設を運営
AAR Japanは今年から国際NGO「Terre des hommes」(本部スイス)と連携し、女性と子ども、若者たちのための多目的施設を運営しています。
事態の長期化に伴い、バングラデシュ政府はキャンプで人道支援にあたる団体を限定したり、キャンプへの入域を制限したりと厳格な管理を敷いています。外部の「目」が少なくなることが、治安の悪化に拍車をかけており、誰もが安心した生活を送れるようにプロテクション(保護)分野の支援が強く求められています。
この多目的施設は難民キャンプだけでなく、難民を受け入れている地域住民にも開放し、従来の女性や子どもに加えて、これまで支援の少なかった若者も対象として、安心した生活を送れるように啓発活動や個別支援を行います。
若者が主導してさまざまな問題を解決する活動には、16~25歳の男女400人が参加。児童婚の予防、女子教育、違法薬物の問題などをテーマにワークショップを開催し、参加者がミニドラマやギャラリー展示を行って理解を深めています。
また、健康や水衛生、防災など幅広いテーマを扱う地域住民への啓発活動、性暴力の被害者支援、子どもたちの歌や図画工作のプログラムなどを実施し、2023年3月以降のべ1,000人が参加しています。
メンタルヘルスケアのワークショップに参加した男性は、「従来のように有給ボランティアとして現金収入を得る機会がなくなり、イライラすることがありましたが、AARのセッションに参加して自分の心の状態を見詰め直すことができました」と話します。
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ミャンマーへの帰還が見込めず、避難生活が長期化する中、AARは他の支援団体と同じく、知識や技術の向上といった難民自身のエンパワーメント(能力強化)に力を入れてきました。男性たちの井戸の修理技術、女性たちの裁縫の研修はその一例です。ボランティアとして井戸修理に取り組む男性が道具を並べて説明してくれたり、AARの施設に通う女性が自分で飼っている鶏を見せてくれたりした時の、それぞれ満足そうな笑顔がとても印象に残っています。
その一方で、こうした研修後の知識や技術の維持・向上は難しい課題です。難民キャンプでは教育を受ける権利、働いて収入を得る権利、キャンプ外への移動の権利など、基本的な権利が大きく制限されています。
例えば「裁縫をしたくても道具や材料をそろえるおカネがなく、たとえおカネがあったとしても、キャンプ外の店に行くことが許されていない」「個々の井戸はそれぞれ国連機関やNGOから管理を義務付けられているため、すぐ近くの井戸が壊れていても自発的に修理できない」といった声が聞かれます。私たちもできる限り希望をかなえられるように工夫しましたが、残念ながら限界がありました。
それでも、最近はエンパワーメントのための基盤が少しずつできていくのを感じます。特に大切なのは教育です。難民キャンプで暮らすロヒンギャは子どもの割合が高い(2023年1月末時点で18歳未満は52%)のですが、これまでキャンプでは公教育を受ける機会がありませんでした。しかし2022年以降、国連児童基金(UNICEF)が主導して、初等教育の体制が整いつつあります。AARの活動施設を利用する女の子のひとりは「きちんと勉強して将来は医者になりたい」と話します。
AAR Japanは現地協力団体と連携して、ロヒンギャ難民支援に引き続き取り組んでまいります。
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女性に対する暴力を防ぎ、また男性たち自身の意識改革を
AARはロヒンギャ難民、および難民を受け入れている地域住民(ホストコミュニティー)への支援を続けています。
AARは2019年以降、コックスバザール県テクナフ郡の2カ所の難民キャンプで、現地協力団体とともに、女性のためのフレンドリー・スペース(WFS)を運営しています。ここではジェンダーに基づく暴力に関する個別支援、カウンセリング、医療施設などへの照会、啓発講座を実施しています。
ほぼ毎日行っている啓発講座は、新型コロナウイルス感染対策などさまざまな要望やニーズにも対応しています。女性のためのフレンドリー・スペースには授乳室、ミシン、竹製品づくりの材料も用意され、特に用事がなくても気軽に訪れて、安心できる環境で過ごすことができます。
こうした日常的な活動を通じて、GBVの被害を受けたり見聞きしたりした場合、すぐにスタッフに相談できる信頼関係が醸成されています。
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ウーマンフレンドリースペース(WFS)では、ワークセラピー(手工芸などを通じてストレスを緩和する活動)や性差による暴力のカウンセリング、座談会、啓発セッションなどを行っています。女性が交流したり悩みを相談したり、彼女たちの生活を支える、大切な居場所になっています。
利用者のアジュさん(40歳)は、普段は家事や子どもの世話で手いっぱいですが、空き時間にWFSで学んだことを実践しているようです。「WFSは、日常の家の仕事から離れてほっとできる大切な空間です。一番好きなのはワークセラピーですね。生活は大変だけど、少なくともここは平和です」と話します。
ロムジャムさん(27歳)は、夫が他の女性との結婚で家を出たため、母親と子ども2人の世話に追われる日々ですが、「WFSの活動では、裁縫が好きですね。家でも服を直すのに使ったり、人に教えてあげたり、学んだことは日々の生活で実用していますよ。啓発のセッションもとても良いです。WFSに通って、これまで知らなかったことをたくさん学びました」と前を向きます。
WFSができるまでは、女性の多くが「家に居る」しかありませんでした。でも、今はWFSが新たな居場所となり、成長する場にもなっています。WFS・センターマネージャーのリマさんは「彼女たちはここでの活動を通じて、自信をつけています」と話します。
AARは、誰もが尊厳をもって暮らせるように、今後も支援を続けてまいります。引き続き、皆さまの温かいご支援をお願いいたします。
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AAR Japan[難民を助ける会]は1979年に日本で発足した国際NGOです。現在、ロヒンギャ難民支援をはじめ、シリア難民支援や南スーダン難民支援などの難民支援や、障がい者支援、地雷対策などを、世界16カ国で実施しています。「困ったときはお互いさま」の精神で、特に困難な状況にある方たちに迅速に支援を届けることをモットーとしています。世界各国での緊急支援の経験を生かし、いち早く現場に駆け付け活動しています。
このプロジェクトでは領収書の発行をおこなっておりません。
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