【国際NGO CARE】学習雑誌で東ティモールの人々に生きるチカラを!

寄付受付開始日:2017/12/15

  • 領収書なし
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自分の教科書を持たない子どもたちにとって、ラファエックは宝物。届くのを皆楽しみにしています。

公益財団法人ケア・インターナショナル ジャパン

プロジェクト概要

更新日:2024/10/28

アジアで一番新しい国の人たちへ、現地語で書かれた教育雑誌で、生きるチカラを届けたい

2002年に独立したアジアで一番新しい国である東ティモールは、国民の約22%が1日1.9ドル以下で暮らすアジア最貧国の一つ。
特に、農村地域の貧困は顕著で、市場へのアクセス、教育や医療など生活に必要なサービスへのアクセスが限られ、子どもの栄養状態が悪く、ジェンダーに基づく暴力も問題となっています。識字率は、近年増加傾向にあるものの、67%にとどまっており、女性の3人に1人しか字を読むことができません。

親の識字能力の低さは、その子どもの栄養・健康状態、そして就学率にも悪影響となって現れ、貧困の連鎖につながってしまいます。子どもだけではなく、学校の教師や、その家族にもアプローチすることで、世帯全体の生活向上を促す必要があります。

視覚的にわかりやすいラファエックを使った授業で子どもたちも笑顔がこぼれます

そこで、この事業では、東ティモール13県に、この国で最も多くの人々が理解する言語「テトゥン語」で書かれた学習雑誌「ラファエック」を作成、配布します。

成人向け、未就学児~小学校2年生向け、小学3~4年生向け、教員向けの4種類があり、読み書き・計算に加え、生活に必要な情報について、イラストやクイズとともに、分かりやすく紹介しています。
子どもの教育や発育、健康についての知識の習得や、小規模ビジネス、農業、健康、識字と計算の4分野の知識を身に付けることを目指します。

成人向けラファエックには、栄養、農業、読み書きなど生活に役立つ情報を掲載しています
成人向けラファエックに掲載された有機殺虫剤づくりを実演する講習会

また、成人向けには、実生活の中での活用を促すために、同誌を使った住民参加型ワークショップも開催します。

さらに、紙媒体としての「ラファエック」に加えて、デジタル版についてもラファエックの公式ウェブサイトで公開します。また、主に都市部の若年層(13歳~34歳)向けに、日々の生活に必要な情報などをテトゥン語で伝える公式Facebookページも運用していきます。(既に14万人ものフォロワーを擁し、417万人にリーチするなど、人気を博しています)

今日はラファエックが学校に届いた日。みんな大喜び!

【現地の人々からのメッセージ】
ローデスちゃん 12歳
私は12歳です。でも、学校に入れたのが遅かったから、まだ4年生。みんなより遅れているけど、CAREが配布してくれる教育雑誌「ラファエック」を読んで勉強するのが大好きです。大きくなったらラファエックで見たパイロットか警察官になりたいです。

ローデスちゃんは、ラファエックで見た警察官かパイロットが夢です

【寄付によって達成できること】
2,000円のご寄付で、子ども向けの学習雑誌を100冊作成できます。

学習雑誌「ラファエック」が届くまで

寄付金の使いみち

東ティモールにおいて実施している、「学習教材『ラファエック』を通じた自立支援事業」の活動費として使用させていただきます。

活動情報

更新日:2025/05/12

2024年度の「学習教材『ラファエック』を通した自立支援事業」の活動を報告します(2025年5月12日更新)

ニュージーランド大使館のラファエック配布視察の様子(東ティモール 2024年7月)

当財団は、CARE東ティモール事務所とともに「学習教材『ラファエック』を通じた自立支援事業」を実施しています。長年にわたる皆さまからのご支援に、改めてお礼申し上げます。

学習雑誌「ラファエック」は、都心から離れた地域も含めた、全ての幼稚園・小学校、そしてコミュニティーに届いている唯一の読み物です。現地の言葉である「テトゥン語」で書かれた定期刊行物がほとんどない中、学校や家庭での学習を助けるだけではなく、読み書き計算が難しい大人たちにとっても貴重な情報源となっています。

この度、本事業の2024年1月から12月までの活動報告書が完成いたしました。ぜひ、ご一読いただき、アジアで一番若い国「東ティモール」の子どもたちの学び、そして未来へとお心をお寄せいただけましたら幸いです。

【主な成果】
<配布実績(年3回)>

学習雑誌「ラファエック」は、全国1,769校のすべての幼稚園および小学校に配布されており、ラファエックを効果的に活用するために手助けとなるラファエック・ポスターも各学校に25,000枚以上提供されました。

これに加えて、教育パートナーや、政府機関や自治体、市民社会組織などのステークスホルダーにも広く配布され、今後の参考教材や最新情報を得るためのリソースとして活用されました。

【コミュニティーとの連携】
◆対話型ワークショップ
全国で14の対話型ワークショップを開催し、計720人(うち女性445人)が参加しました。参加者に占める女性の割合は6割を超えます。

ワークショップでは、「ラファエック・コミュニティ」の掲載内容の理解促進を目的に、内容への質問や、経験や知識の共有、今後への提言がなされました。コンテンツとしても取り上げられているジェンダー平等、女性の経済的エンパワーメント、社会的包摂、ジェンダーに基づく暴力 (GBV)の防止についての啓発する機会ともなりました。

さらには、知識の共有だけでなく、料理実演も行い、食生活の改善や副収入を得るための手段として有効な技術を学びました。

料理実演の様子(2024年8月)

◆ラファエック・ジャーナリスト
学生たちがロールモデルとなる人や政府関係者にインタビューするイベントを数多く企画し、その様子がラファエックの誌面に掲載されました。

インタビューの様子(東ティモール 2024年8月)

その一つとして、「ラファエック・キーク・ジャーナリスト」として小学生の男女がロールモデルへのインタビューの機会を得ました。生徒たちの自信を育み、将来の夢を思い描き、明確な目標を設定させることを目的に、例えば、女性のリーダーシップと意思決定の役割について、ロールモデルにこれまでの経験や見解をインタビューしました。

こうした経験は、生徒たちのコミュニケーション能力を向上させることにもつながります。さらに、「ラファエック・ユース・ジャーナリスト」として4人の若者が著名なゲストへのインタビューを担当しました。

そのうちの一つには高名な枢機卿(すうききょう)との「東ティモールにおけるジェンダーに基づく暴力(GBV)の防止に男性や少年をどのように参加させるか」に焦点を当てたインタビューがあります。このインタビューには障がい者を支援する地元団体職員なども参加し、深い議論が行われました。

このほか、影響力のある人物との人脈形成や関係構築を目指し、主要な政府関係者や外交官へのインタビューを実施しました。若者の自信とスキルを強化し、彼ら、彼女らの将来のキャリアを志すきっかけを作りました。

【モニタリング結果】
本事業を効果的に実施するため、モニタリングを行いました。対象者は、「ラファエック・キーク」が全国の幼稚園と小学校1~2年生の生徒340人(うち女子173人)、「ラファエック・プリマ」が小学3~6年生の生徒409人(うち女子219人)、そして「ラファエック・バ・マノリン」が対象校161校の教員183人(うち女性104人)、「リヴル・セマティク・バ・マノリン」が「ラファエック・バ・マノリン」と同じ対象者のうち166名(うち女性99人)となりました。

また、「ラファエック・コミュニティ」は、特に農村地域を中心に161回もの現地訪問を経て、合計290人(うち女性199人)へのインタビューを実施しました。

さらに、74校での授業モニタリングも実施。教師の指導法、クラスマネージメント、子ども中心の教育実践、生徒の参加、教材へのアクセス、ジェンダーに配慮した実践、生徒を管理するための身体的・言語的手段の使用、試験などの評価を行いました。

97.8%の生徒が学校や家庭でラファエックを利用していると回答し、91.5%の生徒が保護者も一緒に雑誌を読んでいると答えました。この結果は、ラファエックが学校レベルでも家庭レベルでも適切かつ重要であり続け、親子での家庭学習において重要な役割を担っていることを示しています。

<生徒>
・年3回雑誌を受けとった:97.7%(キーク)、99.1%(プリマ)
・雑誌を学校や家庭でラファエックを利用している: 98.2%(キーク)、97.8%(プリマ)
・雑誌のおかげで学校に通うのが楽しい:99.8%(キーク)、98.1%(プリマ)
・家に持ち帰っている回答者のうち、自宅で親が一緒に雑誌を読んでいる:91.5%(キーク)
・親が「ラファエック・コミュニティー」を読んでいるところを見た:86.4%(プリマ)
・雑誌を読んでリーダーシップや意思決定能力が向上した:71.1%(プリマ)

<教師>
「ラファエック・バ・マノリン」を活用した授業の実践
・教師用雑誌などの教材や地域のリソースを授業に活用している:82.0%
・ゲームなどを用いてより活発な教室環境作りに努めている:85.0%
・実習を交えながら授業を展開し、学習をより魅力的なものにしている:83.1%

「リヴル・セマティク・バ・マノリン」(ガイドブック)
・雑誌を受け取った:84.34%
・授業を進めるうえで改善に役立った:84.34%
・積極的に活用している:83.13%

<成人(コミュニティー・メンバー)>
・雑誌は健康・栄養習慣を改善するうえで貴重な情報源である:82.07%
・(手洗いやバランスのとれた食事の準備、家族計画、 清潔な環境の維持など)掲載された健康・栄養情報を実践している:71.72%
・(植物の栽培方法やレシピの使用など)掲載された農業の専門知識を活用している:61.72%

このほか、回答者の75%以上が、女性や女子が機械工や電気技師、溶接工、運転手といった従来の枠にとらわれない役割を担うことができると答え、性別役割分担について進歩的な見解を示しました。また、男女ともに80%以上の回答者が、無断で家を出る、子どもの世話をしない、性交渉を拒否するといった理由による女性への身体的暴力に反対していることが分かりました。

調査結果から、「ラファエック・コミュニティ」が健康や栄養、農作業、女性のエンパワーメント、あらゆるジェンダーに基づく暴力への反対という点において、大きなプラスの影響を与えていることが分かります。

【今後に向けて】
ラファエック事業の持続性を担保し、東ティモール国内の教育分野への長期的な効果を発揮していくため、現在、本事業の実施主体をCARE東ティモールから、独立した地元財団である「ラファエック財団」へと移行するための準備を進めています。

本件については、CARE東ティモールを管轄するCAREオーストラリアによる調査が完了し、承認が下り次第、東ティモール法務省に必要書類を提出し、審査と承認を得る予定です。すべての登録手続きは2025年9月までに完了し、その後「ラファエック財団」が正式に発足する見込みです。

教員用クラス運営ガイダンス本が仲間入り(2024年10月28日更新)

東ティモールで年に3回配布されている学習雑誌「ラファエック」に、今年(2024年)から、これまでの成人向け、未就学・小学校低学年向け、小学3~6年向け、教員向けの4種に加え、特別編として教員用クラス運営ガイダンス本が仲間入り。

効果調査の結果、「学習雑誌のおかげで学校に通うのが楽しくなった」と回答した生徒は、小学校の低学年で96パーセント、小学3年生~6年生で98パーセントとなりました。また、教員の97パーセントが、「教員用ラファエックが教室の教育実践の改善に役立っている」と回答しました。

CAREは、学習雑誌「ラファエック」を制作・配布する活動を通じて、東ティモールの子どもたちの学び、そして農村地域の人々の自立を20年以上にわたり支援し続けています。
詳細の活動内容は以下をご覧ください。

9月8日は「国際識字デー」~ 東ティモールの子どもたちに学習雑誌を届けよう!

9月8日は「国際識字デー」~東ティモールの子どもたちに学習雑誌を届けよう!(2024年9月9日更新)

私たちの活動をいつもお見守りいただき誠にありがとうございます。

9月8日は、UNESCO(国際連合教育科学文化機関)が制定した「国際識字デー」です。

日本では義務教育制度もあり、識字率は99%以上といわれていますが、世界を見渡すと、文字を読み書きできることは当たり前ではありません。

アジア最貧国のひとつとして挙げられる東ティモールも例外ではなく、教育言語であるポルトガル語の成人識字率は都市部で約40%、農村部では約18%ととても低い状況です。農村部では、十分な識字能力や計算能力を身に付けることができないため、経済活動や家計の管理に支障をきたし、親の識字能力の低さが子どもの栄養・健康状態、そして就学率にも悪影響を及ぼしています。

CAREは、学習雑誌「ラファエック」を制作・配布する活動を通じて、東ティモールの子どもたちの学び、そして農村地域の人々の自立を20年以上にわたり支援し続けています。

学習雑誌「ラファエック」

<「ラファエック」の成果>
学習雑誌「ラファエック」には全部で5つの種類があります。未就学児~小学校低学年向けの「ラファエック・キーク」、小学校3~6年生向けの「ラファエック・プリマ」、幼稚園と小学校教員を対象とした「ラファエック・バ・マノリン」「リヴル・セマティク・バ・マノリン」、そして成人向けの「ラファエック・コミュニティ」です。

ラファエックは、学校に通う子どもたちや教師、そして特に農村地域の人々にとって欠かせない補助学習教材となっています。2023年には、全国1,645のすべての学校に配布され、授業にラファエックが使用されています。また地域コミュニティでは、東ティモール全世帯の約半数を占める103,000世帯に307,247部が配布されました。

ラファエック最新号から抜粋

唯一のテトゥン語の学習雑誌である「ラファエック」は、子どもたちの学習意欲を高め、親たちが家庭で子どもの学習をサポートし生活に必要な情報を得るために欠かせない手段となっています。モニタリングの結果、「ラファエック・プリマ」を受け取った98.62%の生徒が「ラファエックのおかげで学校に通うのが楽しくなった」と回答し、「ラファエック・キーク」を受け取った96.55%の生徒は「家で親と一緒に雑誌を読んだことがある」と答えました。

<東ティモールの歴史と「ラファエック」>
東ティモールは、インドネシアの隣に位置し、海に囲まれた島には美しい自然が残されています。また、アジアで一番新しい国で、国民の4割が1日1.25ドル以下で暮らすアジアで最も貧しい国のひとつと言われています。

2002年にインドネシアからの独立を勝ち取るまでは、16世紀から続く諸外国からの支配により、子どもたちは自国の文化、歴史、そして地理さえも学ぶことが禁じられていました。

そして、独立をめぐる戦争では、95%もの学校が消失してしまい、インドネシア人教師の大半が離職し、インドネシアに帰国してしまいました。また、多くの尊い命が失われ、独立後、人口の半数以上が就学年齢の子どもたちとなりました。

このような混乱の中で学習雑誌「ラファエック」は生まれ、東ティモールで暮らす人々に学びと生きるチカラを届けてきました。

CAREがラファエックを創刊して20年以上がたち、東ティモールの成人識字率に少しずつ改善が見られてきましたが、依然として子どもたちの就学率や退学率においては課題が残っており、特に農村地域における状況は深刻です。
親世代の貧困からの脱却も含め、より包括的な支援の継続がこれからも求められています。

<ラファエックを通じたコミュニティへの働きかけ>
学習雑誌「ラファエック」を活用し、識字率向上や貧困削減、ジェンダー平等を促進するため、CAREでは、農村部を中心とした地域コミュニティのひとびとにさまざまな働きかけを行っています。

例えば「ラファエック・コミュニティ」には、親子でできる家庭学習方法の紹介や、農業、栄養、妊産婦の健康をテーマとした情報、さらには家庭での男女間の役割分担やジェンダーに基づく暴力の防止に関する内容などジェンダー平等を啓発する内容も掲載されています。

モニタリングの結果では、「ラファエック・コミュニティ」を受け取った83.84%の回答者が、「親が家庭で雑誌を活用して子どもに雑誌を使って教えたり、一緒にゲームしたりする」と答えました。また、ケーキを作る際にラファエックに掲載されているレシピを参考にする親子も。ラファエックは親子に楽しい交流をもたらし、家庭での学習を後押ししています。

成人向け「ラファエック・コミュニティ」最新号から抜粋

また、2023年には全国の14の地域コミュニティにおいて、住民が参加する対話型のワークショップを開催しました。ワークショップでは、ラファエックチームのメンバーが効果的な栄養の取り方を紹介するため調理実演をしたり、雑誌で取り上げた内容をテーマにして地域住民同士が活発に意見を交換し合いました。

なお、ワークショップには、CAREや関係パートナーの働きかけにより、参加者577人のうち、半数近くの287人の女性が参加することとなりました。CAREはこれまでも、男女間の不公平な家事分担、重要な意思決定プロセスからの女性の排除といった問題に取り組むため、男性を巻き込んださまざまな研修やワークショップ等を実施してきましたが、雑誌のコンテンツやワークショップ等を通じて、女性の発言力、リーダーシップ、意思決定、ジェンダー平等などに関連する重要なメッセージを伝えています。

<動画で見る「ラファエック」>

2023年度の「学習教材『ラファエック』を通した自立支援事業」の活動を報告します(2024年5月29日更新)

EBF1.2 Batara校を表敬訪問する東ティモール共和国大統領

当財団は、CARE東ティモール事務所とともに「学習教材『ラファエック』を通じた自立支援事業」を実施しています。長年にわたる皆さまからのご支援に、改めてお礼申し上げます。

学習雑誌「ラファエック」は、都心から離れた地域も含め、全ての幼稚園・小学校、そしてコミュニティに届く東ティモールにおいては唯一の読み物です。現地の言葉である「テトゥン語」で書かれた定期刊行物がほとんどないなか、学校や家庭での学習を助けるだけではなく、読み書き計算が難しい大人たちにとっても貴重な情報源となっています。

この度、2023年の本事業の活動報告書が完成しました。ぜひ、ご一読いただき、アジアで一番若い国「東ティモール」の子どもたちの学び、そして未来へとお心をお寄せいただけましたら幸いです。

【事業概要】
CAREは、東ティモール全域にて、学習雑誌「ラファエック」を配布しています。創刊21年を迎えた「ラファエック」は、識字能力、計算能力、批判的思考力、ジェンダー平等、障害者のインクルージョン、衛生、女子のリーダーシップ、女性の発言力、生徒中心の教育方法、家族の経済的・社会的幸福を支える農業、健康、栄養における生産的な家事実践の向上に重点をおく学習雑誌として制作され、同国で広く知られる媒体となっています。

また、遠隔地域のすべての学校、生徒、コミュニティに届く唯一の読み物であり、家庭での活用が図られています。加えて、現地教育省や保健省などと共同で開発された「ラファエック」の雑誌の内容は、国のカリキュラムに密接に沿ったものでもあり、全国の生徒、教師、コミュニティにとって不可欠な補助学習教材となっています。さらに、雑誌として印刷・配布されるだけではなく、「ラファエック」の公式ウェブサイトでデジタル版としても、公開されています。

【ジェンダー(ダイバーシティ)&インクルージョン】
ジェンダー平等とインクルーシブ教育は、本事業におけるすべての活動の中心を成しています。例えば、「ラファエック・プリマ」や「ラファエック・コミュニティ」の内容は、一貫して女性のリーダーシップと意思決定を促進。雑誌のコンテンツやワークショップ等を通じて、女性や女子の役割を継続的に促進し、自尊心、自信、人前で話す能力等を高めています。

また、ジェンダーに基づく暴力の防止に関する内容にも触れ、4誌すべてにおいてホットラインの番号を掲載するほか、関連するサービス提供者とつなぐ役割も果たしています。同時に、ジェンダー平等の推進は、男性や男子の理解や協力なしには達成できないことから、ワークショップ等への男性や男子の積極的な参加も促しています。

さらに、障がいのある学生や生活者は、学校や社会から排除されることが多く、多くの親は、学校や地域社会全体が障がい者を受け入れないことを恐れ、障がいのある子どもを学校に通わせません。CAREは、このような現状を踏まえ、特に障がい者のエンパワーメントの促進し、障がいを持つ学生や人々が自信を持てるよう支援しています。本事業の一環として、彼ら・彼女らを選んで主要な政府指導者や市民社会代表とのインタビューに参加してもらうなど、主体的な活動への参加を通じて、学びと経験の機会を提供しています。

【主な活動実績】
当報告年度において、生徒、教師、家庭、学校図書館を含むパートナー向けの教材をそれぞれ3回にわたり制作、印刷、配布しました。現在、雑誌の種類は、以下の5種類(ガイドブックを含む)あります。

<雑誌名と対象>
ラファエック・キーク:未就学児~小学校低学年
ラファエック・プリマ:小学校3年~6年生
ラファエック・バ・マノリン:プレスクールおよび1年生から6年生までの教員を対象とした指導および教授法
リヴル・セマティク・バ・マノリン:教員がレッスンの計画と実施をサポートするためのガイドブック
ラファエック・コミュニティ:男女平等、農業、健康、栄養など、さまざまな分野の情報を保護者に提供

当年度ラファエック・チームが、雑誌を配布した1,645の公立・私立学校の位置(東ティモール学習教材「ラファエック」を通じた⾃⽴⽀援事業2023年事業報告書より)

当年度、学校での授業計画を補うための参考書として、就学前の教員と1年生から6年生までの教員向けの新しいガイドブック「リヴル・セマティク・バ・マノリン」を導入しました。主に過去の教師向け雑誌「ラファエック・バ・マノリン」に掲載されたコンテンツを再利用し、いくつかの新しいコンテンツと組み合わせる形で編集しました。初版は2023年1月下旬に、ラファエック雑誌の2023年第2版とともに、13県の市町村すべての就学前・小学校教師約1万人に配布しました。

<ワークショップ/デモンストレーション>
全国14のコミュニティにおいて対話ワークショップを開催し、計577人(男性290人、女性287人)が参加しました。地元指導者と緊密に協力し、意識を高めることで、半数の女性参加を達成しました[*]。
ワークショップでは、「ラファエック・コミュニティ」に掲載されている、農業、栄養、妊産婦の健康などの改善策を、ラファエック・チームのメンバーが実演して紹介。古着から通学用かばんを作る実演も人気となっています。

[*]CAREは、男女間の不公平な家事分担、重要な意思決定プロセスからの女性の排除、家庭外活動への女性の参加を促進するために、夫婦間の対話促進や、男性も参加するジェンダー平等研修・ワークシップ等も実施しています。

2023年8月、雑誌で紹介された栄養満点のトマトソースの作り方を実習する地域住民の様子

<オンライン・プラットフォーム>
◆ウェブサイト
インターネットにアクセスできる14歳から35歳までの若者と若い親たちをターゲットにしています。若者の能力向上、就職、社会問題への対応、前向きで模範的なロールモデルの促進、信頼できる情報源としての役割を果たすため、多様なコンテンツを発信しています。

◆Facebook 
フォロワー数が16万9,000人を超え、東ティモールで最もフォロワーの多いFacebookページに成長しました。

◆YouTube
雑誌を家庭で受けとらない都市部の家族をターゲットとして、「ラファエック」のメッセージを補強する長めで詳細なコンテンツが中心となっています。当年度のチャンネル新規登録者数は391人、再生数は19,700回を記録しました。

【事例】2023年5月20日、東ティモールの独立記念日を祝して、アイレウ出身の女子ジョアナを起用したビデオを投稿しました。彼女がどのように社会に貢献したのか、また東ティモールの若者がどのように社会や国の未来に貢献すべきかについて、彼女の経験を共有しました。投稿は227,100人に届き、10,000人以上の人々を魅了しています。

【モニタリング結果】
男性337人、女性402人の計739人の生徒と、対象校360校の教員138人(男性51人、女性87人)のほか、特に遠隔地を中心に合計299人の世帯主(男性63人、女性166人)へのインタビューを実施しました。また、76の授業モニタリングも実施され、教師の指導法、クラスマネージメント、子ども中心の教育実践、生徒の参加、教材へのアクセス、ジェンダーに配慮した実践、生徒を管理するための身体的・言語的手段の使用、試験なども評価しました。

回答者の97%が、親が家庭で雑誌を活用し、子どもと一緒に読んでいると回答しました。この結果は、雑誌が学校レベルでも家庭レベルでも適切かつ重要であり続け、生徒の読書能力を高めていることを示めしています。

<学生>
・年3回雑誌を受けとった:97.4%(キーク)、97.8%(プリマ)
・雑誌は家に持ち帰っている:96.6%(キーク)、98.1%(プリマ)
・雑誌のおかげで学校に通うのが楽しい:96.3%(キーク)、98.6%(プリマ)
・家に持ち帰っている回答者のうち、自宅で親が一緒に雑誌を読んでいる:96.6%(キーク)、88.4%(プリマ)
・「ラファエック・プリマ」を読んでリーダーシップや意思決定能力が向上した:98.0%

<教師>
・教師用雑誌を授業に活用している:98.0%
・教育実践の改善に役立った:97.0%
・教師用雑誌には、教室での生徒管理に関する有益な情報が掲載されている:94%
・掲載されている関連コンテンツの中から、授業運営に役立つ例を1つ以上挙げることができる: 93.5%

<コミュニティ・メンバー>
・年3回雑誌を受けとった:83.4%
・子どもが学校に通っている:90.8%
・子どもが家庭で雑誌を読んでいる:90.0%
・家庭でコミュニティ雑誌を読んだり、子どもとゲームをしたりすることが多い:83.8%
・配偶者が雑誌を読んでいる:46.3%

【今後に向けて】
本事業を持続可能にしていくため、さまざまな開発パートナーと民間企業とのパートナーシップを強化しました。「リヴル・セマティク・バ・マノリン」の開発、ビデオ制作サービス、ラファエック・マガジンおよびFacebookページへのスポンサー・コンテンツの掲載を通じて、総額278,916.60ドルのスポンサーシップを獲得しました。

加えて、より資金が集まりやすく、多様なアクターとのパートナーシップも促進できるよう、本事業の実施母体として「ラファエック財団」設立に向けての準備を開始しました。法務省への登記を2024年度末までに完了する見込みです。東ティモールにおける主たるメディアおよびコミュニケーション媒体の1つとして、さらなる社会変革を牽引(けんいん)する役割を目指します。

モニタリング調査結果と今後の計画(2023年4月10日更新)

(東ティモール (C)Josh Estey)

◆モニタリング結果◆
2022年7月1日から12月31日までの半年間で、生徒、教師、コミュニティに対して880件の個別インタビューを実施しました(男性345人、女性535人で、13の自治体で障がいのある生徒3人とコミュニティ・メンバー1人含む)。また、51校の教員を中心に、合計51回の授業観察を実施するとともに、合計212校を訪問し、124人の教師(女性71人、男性53人)と面談しました。調査結果の概要は以下の通りです。

【学生】
・「ラファエック・キーク」を受け取ったことがある:98%
・雑誌は家に持ち帰っており、学校を楽しくするのに役立っている:97%
・家に持ち帰っている回答者のうち、自宅で親が一緒に雑誌を読んでいる:31% 
・「ラファエック・プリマ」の雑誌を受け取った:99%
・雑誌を家に持ち帰っている:87%

【教師】
・教師用雑誌を受け取ったことがあり、教育実践の改善に役立った:97%
・教師用雑誌には、教室での生徒管理に関する有益な情報が掲載されている:94%
・雑誌に掲載されているアクティブ・ラーニングの手法を、教室内で1つ以上使える:98%
・体罰は有益ではない:90%

【コミュニティ・メンバー】
・娘や息子から「コミュニティ・ラファエック」を受け取っており、子どもが学校に通い、家庭で雑誌を読んでいる:98%
・家庭でコミュニティ雑誌を読んだり、子どもとゲームをしたりすることが多い:92%
・配偶者が雑誌を読んでいる:58%

◆今後の計画◆

ラファエック事業を継続していくために、社会的企業へと移行していくことを計画していますが、今後1年はそのための重要な期間となります。FacebookやYouTubeなどのオンライン・プラットフォームを成長させるとともに、子ども向け電子書籍などの新しいアイデアについても前進させていく予定です。

また、教師向けの追加の参考書として、過去に掲載されたコンテンツを主に収録したガイド本「リヴル・セマティク・バ・マノリン」を制作しました。現在は承認プロセスの途中で、完了すれば2023年5月中に印刷され、教師に配布される予定です。

引き続き、本事業へのご支援、ご協力をなにとぞよろしくお願いいたします。

【最新】半年間(2022年7月1日~12月31日)の活動報告(2023年4月3日更新)

(東ティモール (C)CARE)

2022年7月1日から12月31日までの半年間における、本事業の活動内容をご報告いたします。

◆配布実績
・ラファエック・キーク(未就学児~小学校低学年向け): 228,033部
・ラファエック・プリマ(小学校3年~6年生向け):263,648部
・ラファエック・バ・マノリン(教師向け):24,224部
・コミュニティ・ラファエック(成人向け):103,967部
 計 619,872部

◆ワークショップ
各地域で1回ずつ、計13回のワークショップを実施し、581人(男性289人、女性292人)が参加しました。

ラファエックチームのメンバーが「コミュニティ・ラファエック」に掲載されている、農業、栄養、妊産婦の健康などに関する改善策を実演して紹介。 (東ティモール (C)CARE)

◆「ヤング・ジャーナリスト」によるインタビュー
ラファエック配布対象校の生徒が「ヤング・ジャーナリスト」となり、東ティモール内の主要なステークホルダーや影響力のある人物へ、インタビューを行うプロジェクトを行いました。このプロジェクトは、女性の発言力、リーダーシップ、意思決定、ジェンダー平等などに関連する重要なメッセージを伝えることを目的としたものです。

また、若い学生たちがジャーナリズムの実践的な経験を積み、自尊心、自信、人前で話す能力を高め、ロールモデルとして他の学生を鼓舞することにもつながりました。

障がいを持つWelcianaさんとAntonioさんは、東ティモール青年国民会議所の会長であるMaria Dadi Soares Magnoさんにインタビューを実施しました。

Antonioさん(左)、Maria Dadi Soares Magnoさん(中央)、Welcianaさん(右)(東ティモール (C)CARE)

◆オンライン・プラットフォーム
Facebook 
アクティブフォロワーが150,260人(42%が女性)に達し、東ティモールで最もフォローされているFacebookページのトップ5の1つになっています。

ウェブサイト 
報告期間中、ラファエックのウェブサイトには合計6,231人の訪問者がありました。

YouTube 
YouTubeチャンネルを新たに立ち上げました。現在チャンネル登録者数は183名で、520回再生されています。Facebookページとともに、効果的な資金調達手段として活用することを計画しており、今後より注力してまいります。

次回は、モニタリング調査の結果と、今後の計画をご報告いたします。引き続き、アジアで一番若い国「東ティモール」の子どもたちの学び、そして未来へとお心をお寄せくださいますよう、心よりお願いいたします。

コロナ禍において、ますます高まる「ラファエック」の必要性(2021年11月8日更新)

この1年間、コロナ禍に加えて、50年に1度と言われる甚大な豪雨災害にも見舞われた東ティモールですが、私たちCAREは、日本の支援者の皆さまからのご支援も得て、3回にわたり、子どもたちと教師、計57万人、そして農村地域を中心に計29万世帯に対して、学習雑誌を配布することができました。

また、昨年からの続くコロナ禍において、国内では度々ロックダウンや厳しい移動制限が敷かれる中、インフラ整備が極端に遅れている農村地域に暮らす人々は、これまで以上に情報や社会的なサービス、そして教育などへのアクセスの機会から遠ざかる危機に直面していました。

そのような中、東ティモール全13県での学習雑誌の配布を中心に、ウェブサイトやFacebookなども活用して教育コンテンツや生活に必要な情報を提供する意義は、ますます高まっています。

特に、新型コロナウイルスへの感染予防のための正確な情報を伝えるための媒体としても、重要な役割を担い、例えば、せっけんを使用した手洗いやマスク着用の励行など、衛生啓発にかかるコンテンツも多数掲載し、発信を続けています。

さらに、豪雨災害の際には、過密状態が懸念される避難所に身を寄せる子どもたちに、ラファエックを配布。読み聞かせや読書会なども企画して、感染予防を啓発するとともに、子どもたちの心のサポートも行いました。

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公益財団法人ケア・インターナショナル ジャパン

ケア・インターナショナル ジャパンは、世界100カ国で人道支援活動を行う国際NGOケア・インターナショナルの一員です。災害時の緊急・復興支援や「女性と女子」の自立支援を通して、貧困のない社会を目指しています。

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