寄付受付開始日:2022/03/17
更新日:2022/03/17
2022年1月15日に、トンガで生じた火山噴火は、約1万キロ離れた南米大陸の太平洋沿岸部にも高波をもたらしました。
その影響により、ペルーの首都リマの西に位置する港湾地域ベンタニージャ地区にある製油所から、50万ガロン以上の原油が海に流出。
2つの自然保護区を含む、近隣の海域、沿岸部への影響が懸念されています。
原油の流出は、この製油所に原油を運搬していた船が入港しようとした際に、高波を受けて生じたもので、ペルー政府は緊急事態宣言を発令しました。
今回の油流出が発生したペルー沿岸域は、フンボルト海流(ペルー海流)がもたらす豊富な漁業資源に恵まれた、世界でも屈指の漁場の一つであり、同時に豊かな海洋生態系が育まれている海域でもあります。
この海には1,000種を超える魚類が確認されているほか、多くの海鳥、アシカなどの海獣類、大小の鯨類が生息。
またここでの漁業は、多くの地域住民が生計を立てる基幹産業であり、国内の食料の安定供給を支えているのみならず、その水産物は、数十億ドルの外貨を生み出す重要な輸出品でもあります。
こうした自然環境と漁業の保全は、ペルーにとって、持続可能な経済活動の発展に欠かせない取り組みに他なりません。
現地の沿岸域では、すでに多くの漁業者が出漁できない事態が生じているほか、ペルーカツオドリやフンボルトペンギンをはじめとするさまざまな海鳥、ミナミウミカワウソなどの海生哺乳類への影響が心配されています。
こうした被害に際し、WWFペルーでは緊急プロジェクトを開始。野生生物や漁業への被害を調査し、必要な対応策を講じていこうとしています。ペルー沿岸に暮らす多くの生きものたち、そして、日本ともつながりのある漁業を守るため、ぜひこの取り組みをご支援ください。
皆さまのご寄付は、WWFペルーが行う原油流出事故被害の支援のため、以下の活動に活用させていただきます。
■被害状況と政府対応の状況分析
・流出した油の性質と種類、影響を受けた地域、政府の緊急対応計画、政府と石油会社の被害対応の状況調査
・衛星写真の解析や海洋学的知見に基づいた、生物多様性の豊かな地域、野生生物、漁業、観光、その他の経済的影響についての分析
・社会経済調査の実施と、油流出が地域社会に及ぼす長期的かつ潜在的影響の評価、被害地域の社会的、経済的な代替案の検討と実現のためのロードマップの提案
・海外の対応計画を参考にした、今後のペルーでの油流出に対する予防策強化に向けた規制の検討、油流出を含む環境災害と緊急事態への対応の改善
■漁業者に対する行政的・法的支援
・原油流出事故の影響を受けた漁業者に対する、行政的・法的支援のサポート(補償や文書作成などの行政手続きについて)
■今後の油流出リスクの評価と情報提供
・ペルー政府の油流出対策の計画立案に必要なリスク評価の実施
・ペルー沿岸およびアマゾンで将来起こりうる油流出の可能性
・それらの被害がもたらすと考えられる潜在的な影響とコスト
・より持続可能な代替エネルギー源や他の選択肢への移行の可能性の説明と変化の促進
■ペルー政府の油流出対策計画への提言
・今後の油流出に対する、予防、計画、対応のための勧告
■6カ月間の緊急対応以降のモニタリングおよび影響調査
・中長期的な油の影響についてのモニタリングの方法論を定義、6カ月後の環境・社会的状況と対応の進捗(しんちょく)を考慮し、再現可能な評価を実施する
また、今回の油汚染による直接の被災は免れましたが、WWFジャパンは現在、WWFペルーとともに、日本がペルーから輸入している水産物アメリカオオアカイカについて、持続可能な漁業を目指すプロジェクトを進めています。
ペルーの海の生物多様性が、日本とも確かにつながっていることを認識しつつ、この油汚染についての緊急対応についても、引き続き活動と情報発信に取り組んでいきます。
更新日:2022/03/17
今回の油流出を受け、WWFペルーは現地で緊急プロジェクトを開始。
SPDA、Oceana、TNC、ProDelphinusなどのNGOや民間パートナー、学術機関などが参加する「環境危機のための市民連合(Coalición Ciudadana por la Emergencia Ambiental)」と連携しながら、政府との連携、地域への支援、今後の予防と改善に向けた対応の検討に取り組んでいます。
WWFペルーは油流出から6カ月の実施期間を設定し、約15万ドルをこの取り組みに充当。WWFジャパンも日本から1万ドルの緊急支援を行いました。
引用・参考情報
・WWFペルー
・ペルー政府声明
・Birdlife International
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1961年にスイスで設立されました。
人と自然が調和して生きられる未来をめざして、サステナブルな社会の実現を推し進めています。
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