寄付受付開始日:2019/01/15
更新日:2019/03/31
日本有数のカキの産地として知られる宮城県。2011年の東日本大震災では、津波によってほぼすべての養殖施設が失われました。南三陸町の戸倉地域もそのような地域のひとつです。
しかし戸倉のカキ漁師たちは、震災後の行く末の見えない中、養殖再開にあたり大胆な改革を行います。それは養殖施設を震災以前の3分の1まで減らすこと。実は以前は湾内に所狭しと養殖施設が並んでいたと言います。その過密な養殖のために、海の環境が悪化しただけでなく、カキの成長や品質も低下してしまったのです。
養殖施設を3分の1に減らすということは収入を減らすことになるかもしれないため、彼らにとってこの決断は決して簡単なものではありませんでした。しかし、彼らの英断は早くに成果を出します。それまでは、収穫まで2年、3年とかかっていたのが、なんと驚くべきことに震災のあったその年の冬には、出荷できるサイズまで大きく育ったのです。
WWFジャパンは震災直後から戸倉かき生産部会の取組みをサポートし、さらなる彼らの挑戦を後押ししました。それは、この教訓を忘れずに海の環境に合わせたカキ養殖を続けていくために、第三者の目で取り組みを厳しくチェックをする国際的な養殖認証制度、ASC認証の取得です。さまざまな関係者の協力を得て、戸倉かき生産部会は、2016年3月に日本で初めてこのASC認証の取得に成功し、「南三陸戸倉っこかき」として全国販売が開始されました。
ASC認証とは、自然環境と人権に配慮した養殖に与える国際認証です。戸倉のカキ養殖の事例のように、養殖は時として自然環境を汚染したり生態系のバランスを崩したりします。さらには海外などでは労働者や地域住民の人権侵害などのトラブルも報告され、大きな社会問題となっています。WWFではこれらの問題を解決するためのひとつの手段として、ASC認証の普及拡大をサポートしています。
認証取得から3年がたち、創造的な復興の取り組みとして多くの注目や評価を得た「南三陸戸倉っこかき」ですが、課題もまだ残っています。それは、この取り組みを継続していくためのブランド化と審査費用の確保です。
国際的な養殖認証といっても国内での知名度と需要はまだ低く、高値で取引されるわけではありません。いっぽう認証取得の手続きには毎年多くの手間と費用がかかります。
WWFジャパンは、認証取得をゴールとするのではなく、養殖に取り組む地域が主体となって認証取得を継続できる体制作りまでサポートすることを目標としています。震災を乗り越え、世界に通じる国際認証を取得し、環境負荷に配慮した養殖にチャレンジし続ける戸倉のカキ養殖をぜひ支援してください。皆様のご支援をお願いします。
■WWFの「南三陸町・責任ある養殖推進プロジェクト」の概要
■ASC認証について
■本プロジェクトに関する問い合わせ先
WWFジャパン 海洋水産グループ fish@wwf.or.jp
津波の前には1,000台以上のいかだがあり、過密状態でした。生育が遅くなり、品質も悪くなり、それを補おうとして、新たにいかだを増やした結果、悪循環になっていました。
私たちは自然に生かされ、その恵みで生活をしてきましたが、そのことを私たち自身が忘れていました。自然に負荷をかけてしまったので、これからはASC認証を取得することで、自然の恵みを忘れないようにしたいと思います。
今の生産を減らした漁場改革を続けることで、10年、20年と将来、持続的に安定した生産ができる漁業を目指しています。「さすがASC認証のカキだ!」と言われるよういいものを作っていきますので、応援よろしくお願いします。(戸倉かき生産部会長 後藤清広)
※「戸倉っこかき」の特長について、活動情報欄に記載していますので、ぜひご覧ください。
更新日:2019/03/31
カキは海水中のプランクトンや有機物をエサとしているので、海水をきれいにする働きがあります。ところが「過密養殖」になると、エサの取り合いになり栄養不足となるだけでなく、大量の排せつ物によって海底のヘドロ化を引き起こします。
カキの養殖密度を3分の1に減らしたことで、カキの成長が早まるだけでなく、海を汚さないカキ養殖が実現したのです。
生産量は3分の1になりましたが、養殖期間が3分の1に短縮されたので、損益はプラスマイナスゼロです。さらに、災害リスクを換算すると、経済メリットは大きく変わってきます。津波はともかく、台風や時化(しけ)による気象災害は毎年のようにあります。施設数が多いほど、長期間育てたかきであればあるほど、被害想定額は高くなります。短期間で収穫できるということは、それだけ災害リスクを低減させ、継続しておいしいカキを提供できるということです。
施設数が3分の1になれば、その分作業時間も減ります。以前は早朝から夕方近くまでカキの世話をしていたのが、今ではその半分程度で、週末にはお休みをとれるようになったのだとか。家族と過ごす時間も増えたのだそうです。まさに「養殖業界の働き方改革」ですね。こうした状況変化を受け、最近では若手生産者も増えて活気が戻ってきたと言います。
ASC認証はおいしさを保証する制度ではありません。しかし戸倉っこかきは食にこだわる人からも「おいしい」と評判です。実はカキは年をとると、えぐ味がましてくるのだとか。戸倉っこかきのおいしさの秘密は、たっぷりと栄養を与え、1年で収穫することにあるのです。このおいしさが一段と増すのが、実は、一般的には旬を過ぎたと思われがちな春先。今回ご寄付をいただいた皆様には、このおいしさ満載の戸倉っこかきをお届けします。
※当募金ページに記載の内容については、プロジェクトオーナーが責任を負っており、LINEヤフー株式会社が責任を負うものではありません。詳しくは免責事項をご覧ください。
※本ページの「プロジェクト概要」「活動情報」「寄付金の使いみち」に掲載のリンクは、外部サイトに移動します。
※寄付をするには Yahoo! JAPAN IDの取得(無料)が必要です。
このプロジェクトでは領収書の発行をおこなっておりません。
宮城県漁業協同組合は、組合員の漁業の生産性・効率性の向上と、その事業振興により漁家経済の社会的地位を高めることを目的として、組織・事業運営に取り組んでいます。戸倉かき生産部会は、宮城県志津川湾戸倉地区にてカキ養殖を営む生産者の集まりです。
株式会社丸壽阿部商店は、県内の水産物を加工・出荷をする事業者で、ASCカキのための加工流通認証を取得しています。
Facebookコメントで寄付先への応援をお願いします
記入された応援のコメントは、寄付先団体およびYahoo!ネット募金の広報・宣伝活動(記者会見やプレスリリースでのご紹介等を含む)に 使用させていただく場合がございます。
ご了承の上、コメントを記載いただきますようお願いいたします。(2020年9月23日追記)
※本コメント機能はMeta Platforms Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対してLINEヤフー株式会社は一切の責任を負いません。