寄付受付開始日:2017/10/04
更新日:2019/12/03
「私はこの目で見たのです。兵士たちは、村の人たちを男と女に分けました。きれいな女の人たちはどこかに連れていかれました。年上の男の人たちは、殺されてしまいました」
12歳の少女、ジョウラさんは、隙を見て逃げ出しました。
「川に落ちて、銃撃されました。なんとか川から這い上がって、墓地に逃げました。そこで、見たのです。姉が、倒れていました……顔を撃たれて、血だらけでした。私は気を失ってしまいました。気が付くと、誰かが私をかついで逃げていました」
その後、ジョウラさんは10歳の弟と再会し、一緒に難民キャンプまで来ましたが、16人いた家族は2人きりに。
「他の子たちには何かあれば名前を呼べる親がいるけれど、私にはもういません。両親を呼びたいのに呼べない時は、心の中の平和を失ってしまいます」
「何が起きているのか分からないまま、ご近所さんたちが私をボートに押し込んでくれました。服の1枚も持ってくる余裕はありませんでした。夫は亡くなりました……あの人たちに殺されたんです。あの日起きたことを思い出すと、死にたくなります。自分で胸を刺して死にたいという気持ちに」
「叔父といとこ2人が目の前で撃たれて殺されました。私の両親がひどく殴られるのも見ました」
このつらい経験がトラウマとなり、難民になってしまったつらさも加わり、モハメドさんは心の病を患い、国境なき医師団の診療を受け始めました。
「ここでの生活は気が晴れることもなく、私の脳みそは制御不能になってしまったんです。眠れずに、叫んで回ったり、人を殴ったりしていました。治療を受けたおかげで、かなりよくなりました」
「難民キャンプで暮らしつづけたくありません。でも、帰る家も、畑も、すべて焼かれてしまったのです」
ミャンマーでの少数民族ロヒンギャに対する掃討作戦をきっかけに、安全を求めて数十万という人々が国境を越えてバングラデシュに避難しはじめたのは2017年8月のこと。それ以前に逃げてきたロヒンギャ難民とあわせ、100万人もの人々が、いまも過密な難民キャンプやその周辺に、ビニールや竹を組み合わせて作った仮住まいで暮らしています。
国境なき医師団は、2017年8月の緊急事態発生から2018年12月末までに、難民キャンプ内外で100万件以上の診療を実施。負傷者の治療のほか、不衛生な環境で起きる感染症の対策、妊産婦のケア、そして心に傷を負った人々への心理ケアの提供にも取り組んでいます。
(詳しくは活動報告ページをご覧ください)
「世界中どんなところでも、災害や紛争が起こるとレイプの件数が増えるものです。ミャンマーから大勢のロヒンギャ難民がバングラデシュへ避難してくる事態を受け、国境なき医師団はいち早く現地に入って対応しましたが、レイプの相談数がかなり増えたことから、性暴力ケアの活動を拡大することになったのです」
「性暴力ケアの活動では、経験豊富な現地の助産師が中心となって、被害者のカウンセリングを行います。難しいケースなどは相談しあい、人工妊娠中絶が必要なケースも多かったので、産科部門とも調整しました」
「ロヒンギャ難民のなかから女性のコミュニティー・ボランティアを募り、キャンプ内で性暴力被害の啓発活動をしました。“性暴力被害は緊急を要することであり、いち早く治療に来てほしい”ということ、また、“誰にでも起こりえることであり、秘密厳守、治療は無料である”ことなどを女性たちに伝えます」
「性暴力被害はどこの国にもあることですが、対応の方法や、ケアが必要な患者さんを見つけ出すことに難しさを感じました。被害を受けた大勢の女性たちと接し、その被害の深刻さには言葉が出ませんでした」
「家族の前で性的暴行を受けた、家族を目の前で殺された、幼い兄弟を火の中に投げられた、最後は裸で逃げてきたが、逃げている途中に撃たれて家族を失った、など、本当に凄惨(せいさん)な話を聞きました。被害者の受けた心の傷は大きく、一生癒えることはないでしょう」
「命に直結するわけではないと思われがちな性暴力被害ですが、危険な中絶で命を落とす女性がたくさんいるのを目の当たりにして、決して忘れてはいけない医療の一つであると実感しました」
〇小島毬奈助産師のインタビュー記事
「ロヒンギャ難民キャンプに隠れた性被害 日本人助産師が語る」
「キャンプに逃れてきた人々は、着の身着のままで、何日も食べ物を口にしていない人も珍しくありませんでした。キャンプ内の環境は劣悪で、地面がひどくぬかるんでいるだけでなく、トイレは圧倒的に不足しており、その多くはただ穴を掘っただけのようなものでした」
「そのため、数の限られた井戸水への汚染から深刻な感染症の流行を危惧しました。またロヒンギャの人たちの予防接種率はかなり低いと予想されるため、感染症対策も急務でした」
「未曾有(みぞう)の緊急事態を前に、国境なき医師団は援助拡大に取り組んでいます。この危機的な状況が取り返しのつかないことになってしまわないよう、皆さまのご支援を強く心よりお願い申し上げます」
国境なき医師団の「ロヒンギャ難民緊急援助」への寄付は、使途を指定した寄付であり、すべてこの活動に使われるものです。活動に必要な金額を上回る支援が集まった際には、この寄付の受付を終了いたします。
支援でできること一例:
3,000円で基礎医療セット120人分を用意できます。
5,000円で栄養治療食150食分を用意できます。
10,000円で清潔な飲料水600人分を用意できます。
※外国為替により変動します。
国境なき医師団「ロヒンギャ問題の背景とは?」
※「つながる募金(ソフトバンク)」で寄付をいただいた場合、上記の記載にかかわらず、当団体の活動全般への寄付となります。
#ロヒンギャ難民支援
更新日:2019/12/03
日本からも多くの方にご支援をお寄せいただき、国境なき医師団は現在もロヒンギャ難民キャンプの内外で命を守る活動に取り組んでいます。危機が発生した2017年8月から2018年12月までの間に、ロヒンギャ難民と受け入れ地域の人々を対象に合計105万件の診療を提供しました。
105万件の診療のうち、9万2,766件は急性水溶性下痢で、その大半が5歳未満の子どもでした。治療をしなければ命にかかわり、重症の場合は入院治療が必要です。
下痢は、過密で衛生状態の悪いキャンプの環境で起きています。難民の多くは、竹とビニールシートでつくった小さな住居に大家族で生活しています。安全な飲み水と清潔なトイレは下痢予防に必須で、衛生についての健康教育活動も欠かせません。
国境なき医師団は医療活動の他にこうした水・衛生活動も行い、これまでに8,780万リットルの安全な水を供給しています。
また、難民たちがもともと暮らしていたミャンマーでロヒンギャの予防接種率が低かったため、キャンプ内ではジフテリアやはしかの流行も起こりました。国境なき医師団はジフテリア患者6,547人、はしか患者4,885人を治療。集団予防接種も実施しました。
多くのロヒンギャ難民が暴力の被害を受けたり目撃者になったり、親族や親しい友人を失ったりして、心に傷を負っています。帰国を望みながら叶わず、希望を感じられない……心理ケア関連の相談は、診療全体の4.7%(4万9,401件)を占めています。
心理ケアについて知っている難民は少なく、時に偏見の対象にもなるため、まずは活動について認知してもらう取り組みが必要でした。現在は、個別・グループの心理ケアのセッションや、栄養失調児に心理・社会的刺激を与える治療、精神科の治療を提供しています。
認知向上は今も課題ですが、一定の効果は現れており、セッションを途中でやめずに治療を完了できたケースは多く、人々の心の健康に改善が見られています。
その他に、国境なき医師団は、周産期医療や性暴力のケアなどキャンプ内で女性の命と健康を守る活動も続けています。
この未曾有(みぞう)の人道的危機から多くの命を守るため、これからも国境なき医師団のロヒンギャ難民緊急援助にどうぞお力添えを、よろしくお願いいたします。
【あなたの寄付が多くの命を救っています】
ロヒンギャ難民緊急援助、現地から届いた最新ニュースは公式サイト バングラデシュよりご覧いただけます。
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